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  • Img_20190628_0001_new
    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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知られざるクラシック名曲の宝庫を開けるシリーズ 5(更新中)

第201回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

すぎやまこういち(1931ー2021)と言えば、ゲーム音楽 ドラゴンクエストの作曲者として有名です。

彼の生涯は、戦前、戦中、戦後と波乱万丈でした。中学生の頃は戦況の悪化に伴い、岐阜県坂下町に疎開していましたが、その後栄養不良から壊血病に掛かり死にかけたと言われています。

それでも、お父さんが物々交換で手に入れた、ベートーヴェンのレコードやオーケストラの楽譜(交響曲第6番と第7番のスコア)で、独学で勉強したそうです。(Wikipedi情報)

音楽大学への進学を望んでいましたが、ピアノが弾けなかったことから断念し、東京大学に入りました。異色の音楽家です。

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写真 リアルサウンド テックサイトより


すぎやまこういちの楽曲に「おおぞらをとぶ」という美しい作品があります。

ドラクエ3で空を飛ぶ時の音楽に使われました。
不死鳥のラーミアが蘇って空を飛んでいる時に流れる音楽です。

原曲はオーケストラ版ですが、フルートとハープが中心です。今回は、フルートとピアノの二重奏でお楽しみ下さい。


■ おおぞらをとぶ / すぎやまこういち



ドラクエのファンならご存じの曲ですが、旋律は美しく古典的で、「知られざるクラシックの名曲」に相応しい作品と思い、すぎやまこういち氏に敬意を表して選ばせていただきました。






第202回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

当「知られざるクラシック名曲シリーズ」、初登場の マーラー(Gustav Mahler, 1860 - 1911)が今回の主役です。

マーラーは交響曲が有名で、日本では演奏機会も多く人気の作曲家ですが、演奏時間が長いことで知られています。
最も短い交響曲で約60分。長いもので1時間40分にも及びます。聴くにも体力が要るのがマーラーです。

ですから、CDのマーラー交響曲全集は持っていても、生の演奏会で全曲を聴いた人は少ないと思います。

今回は、その中でも比較的演奏時間の短い(約55分)の交響曲第4番、その第3楽章の一部をご紹介します。

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画像 ACワークス(株)

マーラーの弟子で高名な指揮者の ブルーノ・ワルターは、この曲を「天上の愛を夢見る牧歌である」と語っています。

天上の愛を夢見るとは、彼岸の世界に想いを馳せるということです。その意味で、同じマーラーの交響曲第5番「アダージェット」とよく似ています。平和で穏やかな安らぎが満ちています。

マーラーは長いからと言って敬遠されていた方に、是非聴いて欲しいマーラーの世界観です。

 

■ 交響曲第4番 第3楽章より / マーラー




■ ご参考

マーラー交響曲第5番 アダージェット    (11分)

 




第203回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

クラシック曲も YouTube のような動画で見ると面白いものです。

ピアノの動画で良くあるのは、次々とブロックが落ちてくるアニメーションです。
これはゲーム感覚で音楽が聴ける素晴らしいアイデアです。

音の長さや、音の高低、テンポなどが ビジュアルで分かるので、音楽の構造が何となく分かります。


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今回の動画も、この手法を使ったものです。

曲は、ロシアの作曲家 ラフマニノフ( Sergei Vasil'evich Rachmaninov 1873 - 1943)の「イタリアン・ポルカ」です。

彼がイタリアを旅行した際、街で聞いた辻音楽師の演奏から曲想を得たと言われています。

原曲は連弾曲(2台のピアノで演奏)ですが、今回はピアノソロ(アレンジ版)で演奏されます。アレンジしてあるとは言え、二人分を一人で弾く訳ですから、驚異的なテクニックが必要です。


■ イタリアン・ポルカ / ラフマニノフ



この作品は、出来たら3回聴いて欲しいのです。
↑ 上の動画で聴かれたら、

■ 次は吹奏楽で  https://www.youtube.com/watch?v=Nsd5xLmPLeM
ラフマニノフらしくない軽快で乗りの良い音楽です。

■ 最後はアニメを楽しんで下さい https://www.youtube.com/watch?v=3cyS2le3euQ




 


第204回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

日本では連日のように殺人などの凶悪事件のニュースがテレビで流れています。

悲惨な事件に心が痛む人は多いと思います。テレビを付けると朝から気分が悪くなります。


そんな時、YouTubeで「Consolation(慰め)」という曲に出会いました。美しい旋律に癒されました。

作曲は、ポール・イボットソン(Paul Ibbotson)  というイギリス人です。

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画像 カモミール(花言葉 癒し)ACワークス(株)


初めて聞く名前でしたが、彼の作品はロマンティックで、古典的手法で書かれています。

チェロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノソナタなどの他、現在は 最初のピアノ協奏曲に取り組み、最初の交響曲を完成させています。


■ Consolation(慰め)/ ポール・イボットソン



 演奏は、フランスの女性ヴァイオリニスト、エスター・アブラミ(Esther Abrami)さん。

ピアノは、ヨルダン出身のピアニスト、イヤード・スギャエル (Iyad Sughaye)さん。






第205回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

イタリアの作曲家 ドニゼッティ(Gaetano Donizetti 1797 - 1848)は、オペラ「愛の妙薬」で有名です。特に第2幕で歌われる「人知れぬ涙」(テノールのアリア)はオペラファンなら知らない人はいないでしょう。

彼はオペラ作曲家ですが、レクイエム 、弦楽四重奏、協奏曲、シンフォニアなども作曲しました。

そして、最近この「オーボエと弦楽のためのアンダンテ」が発見されたのです。
※原曲はピアノ伴奏曲、後に ヴォルフガング・レンツが弦楽版に編曲

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画像 ACワークス(株)

郷愁を誘うオーボエの音色がとても魅力的な名曲と言えるでしょう。


■ オーボエと弦楽のためのアンダンテ / ドニゼッティ



オーボエ演奏は、クリストフ・ハルトマン氏、 1992年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団オーボエ奏者として活躍中です。

映像の絵画は、ウクライナ出身の画家 イワン・アイヴァゾフスキー氏の「月明かりのナポリ湾」です。






第206回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

大江 光作曲、ピアノのための第1巻「バルカローレ」(Musicwith Barcarolle, for piano Hikari Oe,Vol 1)

YouTube動画には、「小さな窓の花ごよみ 2 薔薇の季節 ときめきの庭」と副題があります。画面いっぱいの花と、大江光の優しい音楽が素敵です。

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画像 ACワークス(株)

大江 光(おおえ ひかり、1963 - )は、日本の作曲家。父はノーベル賞作家の大江健三郎氏、伯父は映画監督の伊丹十三氏。

幼少時から野外の鳥の声を正確に聞き分けて鳥の名前を当てたり、クラシック音楽に極めて強い関心を示した。
11歳のときピアノレッスンを受け始める。13歳で作曲を始める。その後、CD「大江光の音楽」を多数リリース。日本ゴールドディスク大賞を受賞した。

1996年には伯父の伊丹十三監督の「静かな生活」で、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。(以上Wikipediaより一部抜粋)


■ バルカローレ / 大江光 
 小さな窓の花ごよみ 2 薔薇の季節 ときめきの庭



演奏は、ショパンコンクールでも度々審査員を務めたピアニストの海老彰子氏。

大江光の2枚のCDが、日本ゴールドディスク大賞を受賞した際には、ピアニストとして NHKなどで放映され話題になりました。






第207回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける


曲名は、Flocks a Mile Wide(フロックス・ア・マイル・ワイド=1マイルの幅の群れ)。

作曲は、クリストファー・ティン(Christopher Tin 1976 - アメリカ)。

この クリストファー・ティンの名前は覚えておいたほうが良さそうです。

タイム誌は彼の音楽を「興奮する」「賛歌的」と評し、ガーディアン誌は 「メロディーとテーマの知的な出会い」 と評しています。

彼の音楽は、リンカーン センター、ケネディ センター、ハリウッド ボウル、国連、カーネギー ホールなど、世界的に権威のある会場で演奏されており、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団など一流オーケストラとも共演しています。

グラミー賞を 2 回受賞して、世界的に最も注目される音楽家ではないでしょうか。

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画像 ACワークス(株)

動画に付随した説明によれば、この音楽は人間の活動による鳥の 種の喪失 を哀悼するものです。

新しいレクイエムとも言えます。美しさ、希望、平和、再生の象徴としての鳥たちを讃えるものであると同時に、鳥たちの不在を悼むものでもあるのです。


■ Flocks a Mile Wide / クリストファー・ティン



音楽に同期する背景の映像は、絶滅した鳥たちの羽毛を視覚的に表現したものです。

経済を優先するあまり、地球上の自然を破壊し、動植物を駆逐する人間の所業を思う時、私たちは深い悲しみに包まれるのです・・・

 

 

 


第208回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、ブラジルの作曲家 ディレルマンド・レイス(Dilermando Reis 1916 - 1977)のギター曲です。

原題:エテルナ・サウダージ(Eterna Saudade)邦訳 「永遠の憧れ」または「遥かなる郷愁」 / ディレルマンド・レイス曲

彼はサンパウロで生まれましたが、人生のほとんどをリオデジャネイロで過ごしました。日本では知られていませんが、ブラジルで最も知られたギタリストでした。

典型的なブラジルの「サウダージ」の作風は、憧れと悲しみの感覚を表現しています。感傷的でノスタルジックなレイスの音楽は、多くの人に過ぎ去った時代の思い出を呼び起こします。

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画像 リオデジャネイロ遠景  ACワークス(株)


演奏は、中華人民共和国・北京市出身のギター奏者 スーフェイ・ヤン(楊 雪霏 Xuefei Yang 1977-)。

2000年、中国人初の奨学生として、イギリスの王立音楽アカデミー大学院に留学。「アランフェス協奏曲」で王立音楽院オーケストラと共演、「ある貴紳のための幻想曲」ではBBCコンサートオーケストラと共演し、特集が放送されました。

在学中から、中国をはじめ、香港、マカオ、スペイン、オーストラリア、台湾、日本、ポルトガルで、コンサート・ツアーを行っています。

 

 ■ 永遠の憧れ / ディレルマンド・レイス

使用楽器は、ヴィンテージの銘器、1925年製 サントス・エルナンデスです。






第209回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回の知られざる名曲シリーズでは、北ドイツ・ポメラニア州(現在はポーランド)出身の作曲家 オスカー・リーディング(Oskar Rieding、1846 - 1916)のヴァイオリン曲にスポットを当てました。

オスカー・リーディングは、ベルリンの音楽芸術アカデミーに通い 、さらにライプツィヒ音楽院に通いました。その後、1884年から32年間、ブタペスト国立歌劇場の第1ヴァイオリンの職にありました。

その間、ヴァイオリン協奏曲を始め、ヴァイオリンとピアノのための多くの作品を作曲しました。

これらの多くは、初級から中級レベルのヴァイオリン学習者に適しており、現在でも世界中のヴァイオリン学習者によって演奏されています。

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画像 ACワークス(株)

3分ほどの小品ですが、とても愛らしい一曲です。
技巧的な曲ではありませんが、親しみやすい旋律美は名曲に値します。

■ ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op. 35 第1楽章 / オスカー・リーディング



演奏は、Miguel Chamorro (ミゲル・チャモロ)さん、その自然な音楽性に拍手です。






第210回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

クラシックファンなら誰もが知っている ドイツの作曲家 リヒァルト・シュトラウス(Richard Strauss、1864 - 1949) がついに、当「知られざる名曲シリーズ」に登場することになりました。

後期ロマン派を代表する R・シュトラウス の作品は、一般的には意外と馴染みが薄いと言うか、難解に思われる節(ふし)があります。私は、1968年のアメリカ映画「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督)で使用された曲「ツァラトゥストラはかく語り」で初めて、R・シュトラウスを知りました。

その後、ウィーン国立歌劇場の日本公演で「ナクソス島のアリアドネ」を、カラヤン・ベルリンフィル日本公演で「英雄の生涯」などを聴きましたが、重厚な音楽の渦に浸りながらも、緻密で計算された音楽に 親しみを覚えることはなく、R・シュトラウスの音楽を好んで聴くことは避けてきました。

しかし、今回ご紹介する「 Morgen ( 明日 あした!)4つの歌 Op.27-4 より」は、旋律を奏でるヴァイオリンが極めて美しく、ロマンティックな名品です。

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画像 ACワークス(株)

この曲は、R・シュトラウスが、新婚の妻パウリーネのために書いた曲です。当時彼は30歳でした。

明日、輝く太陽のもとで、愛し合う二人が再び一つになるだろう、という希望に満ちた愛の詩は、やや感傷的ですが、儚く、繊細な詩でもあります。シュトラウスもそれを受けて、繊細の極みといってよい音楽を付けました。

ピアニストのジェラルド・ムーアは、この曲について『壊れものにつき、取扱注意』のラベルを張るべきである、と述べています。(Wikipedia参照)


■ Morgen ( 明日!)/ リヒァルト・シュトラウス



Morgen !

John Henry Mackay

Und Morgen wird die Sonne wieder scheinen,
und auf dem Wege, den ich gehen werde,
wird uns, die Glücklichen, sie wieder einen
inmitten dieser sonnenatmenden Erde...

そして明日、太陽はまた輝くだろう
僕が行く道で 再び僕たちは出会い
幸せになる
この太陽の輝きにみちた大地で…

(対訳 ArtoneMagさんのサイトよりhttps://masenoblog.com/strauss-morgen/


演奏は、アラベラ・スタインバッハー(ヴァイオリン)、 アンドリュー・ステイプルズ(テノール)
2014年の「ハノーバー・プロムス」 の映像 (2022/06/20公開)







第211回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

スタマティス・スパノウダキス  (Stamatis Spanoudakis 1948- )は 現代ギリシャの古典作曲家です。ギリシャでは国民的作曲家ですが、日本での知名度はありません。

Wikipedia(海外版)によると、
彼は早い段階でクラシックギターを学び、その後ヴュルツブルク国立音楽院に通い、アテネではさらにクラシック音楽の研究を続けたそうです。そして、ビザンチン音楽(宮廷や宗教儀式のために作曲された歌と賛美歌)も勉強しました。

現在は、インストゥルメンタル、宗教音楽、映画音楽など多方面に活躍中です。

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画像 ACワークス(株)

この作品は、1919年~1922年、ギリシアがトルコの スミルナ に侵攻した戦争を題材にしています。

最終的には、トルコが撃退に成功して スミルナ を奪回しましたが、3年に及ぶ戦争で双方に多大な犠牲者が出ました。今の国際社会と同じで、和平の道のりは遠かったようです。この戦争が日本の高校教科書に載っていたかは不明ですが、学ぶべき点はあったはずです。


■ スミルナのために / スパノウダキス


 

 


第212回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

チプリアン・ポルムベスク(Ciprian・Porumbescu 1853 - 1883)は、ルーマニアの作曲家(生まれは隣国ウクライナ)です。全く聞き慣れない名前ですが、Wikipediaによると、当時ルーマニアでは人気のある作曲家だったそうです。

幼少の頃より楽才を現してウィーンに留学し、ブルックナーにも師事しました。

しかし、愛国者であったポルムベスクは、オーストリア-ハンガリー帝国に支配されていたルーマニア独立運動に参加して逮捕投獄されます。

曲は獄中で故郷を偲び、恋人に思いを馳せながら書き上げた哀切のメロディーであり、29歳の若さで薄倖の生涯を閉じた チプリアン・ポルムべスクの代表作になりました。※ブログ「日々遥か」2009・7・2記事参照

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画像 ACワークス(株)

1992年、日本のヴァイオリニスト 天満敦子さんが ルーマニア公演をした際、この曲の存在を知って楽譜を日本に持ち帰り、それ以降日本各地で演奏されることになりました。天満敦子さんのファンなら聴いたことがあるかも知れません。


■ 望郷のバラード / チプリアン・ポルムベスク



切々たるソロヴァイオリンの感傷的な旋律が胸に迫ります。







第213回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

私たちを至福の音楽の旅に誘う 作曲家 ステファン・シカール(Stephen Sicard (Logos) 仏 1964- )。詳しい経歴は分かりませんが、彼自身は独学で音楽を学んだとのことです。

ジャンルはやはり ヒーリングミュージック ですが、ステファン・シカールの音楽的魂は、大地と内なる存在の道を横断することで、インスピレーションの散歩を楽しんでいるのです。そこで彼は自然の精霊たちと出会うのです。

それは、すべての良心の目覚めを助けるこれらの新しい音楽的組成物の恩恵によって、あなたに提供される最も純粋な人生の贈り物でもあるのです。

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画像 ACワークス(株)


自分自身の声を聞いてください

そして無限を見つめてください

時間と空間の

そこで僕らは星の歌を聴く

数字の声

地球の調和

(以上、ステファン・シカールのHPより抜粋)


■ 希望の種(
LES SEMENCES DE L' ESPOIR)/ ステファン・シカール









第214回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

イタリアの作曲家 ジュゼッペ・ミューレ (Giuseppe Mule 1885-1951)の美しい小品「ラルゴ」にスポットを当てました。

彼は、20歳でパレルモのベッリーニ音楽院でチェロの学位を取得し、その後 作曲の学位も取得しました。

1903年、学業を終える前に、チェロとピアノのための「ラルゴ」を作曲しました。

この曲は、イタリアの国営ラジオ放送のオープニング曲として使用されました。


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画像 Wikipediaより

ジュゼッペ・ミューレは、1922 年から1925 年までパレルモ音楽院の院長を務め、その後20年間 ローマのサンタチェチーリア音楽院 の院長も務めました。

彼は国家ファシスト音楽家シンジケートの全国書記であり、ファシスト政権の最も反動的な分野の指導者でした。20年間、彼はあらゆる手段を使ってモダニズムの前衛運動に激しく反対したとされます。

 

彼の作品には、多数の交響曲や室内楽、舞台音楽、7つのオペラ、5 つの映画音楽、オラトリオが含まれます。彼の作品はイタリア民俗主義が浸透したスタイルが特徴ですが、これには海外の資料によると賛否両論あるようです。今日では彼の作品が演奏されることは少ないようです。

しかし指揮者としても活躍して、イタリアで多くのキャリアを積み、同国の一流オーケストラと共演しました。


■ ラルゴ (Largo)/ ジュゼッペ・ミューレ









第215回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

フランスを代表する作曲家 サン=サーンス(Saint-Saëns,1835-1921)の、当シリーズ初登場となります。

サン=サーンスは「動物の謝肉祭」で有名です。特にその中でチェロで演奏される「白鳥」は知らない人はいないでしょう。

今回は、オペラ「サムソンとデリラ」の第2幕で歌われるアリア「「あなたの声にわが心は開く」のチェロ編曲版です。

この曲は、オペラファンならご存じの方も多いと思いますが、チェロで聴くとまた違った魅力のある名品です。
深い味わいがたまらないと思います。


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画像 ACワークス(株)

サン=サーンスの詳しい経歴は省略しますが、生後まもなく父は他界して、母親と叔母に育てられ、3歳で作曲を学び、7歳で高名な師匠についてさらに研鑽を積み神童ぶりを発揮し、何と13歳で名門パリ音楽院に入学しました。

やがてマドレーヌ寺院のオルガニストになったサン=サーンス。 リストは、彼こそが世界最高のオルガニストだと絶賛しました。

彼は、1875年に21歳年下の女性と結婚して2人の息子を授かりましたが、いずれも幼児期に死亡。そして結婚生活は破綻しました。

1877年、サン=サーンスはオペラによってより確固たる成功を手にしましたが、その作品こそが『サムソンとデリラ』でした。


■ カンタービレ(サムソンとデリラ) / サン=サーンス

チェロは ミッシャ・マイスキー(ラトビア)、ピアノは アリス=紗良・オット (ドイツ)さんです。
うっとりするような名演です。


余談ですが、

■ サン=サーンスも、アリス=紗良・オットも、名前の表記に「=」が付いています。他にも有名な作曲家の リムスキー=コルサコフがいます。

サン・サーンス ✖
サン=サーンス 〇

何故「・」ではなく「=」なのでしょう?

実は、外国人の名前の記述方法として「ブランク」の部分は「・」であらわし、「ハイフン」の部分は「=」であらわすという慣例があります。

例えば、Charles Camille Saint-Saëns は、シャルル・カミーユ・サン=サーンスと表記します。

外国人で、もともと名前に「ー(ハイフン)」が付いてる人は、日本語表記では「=(イコール)」となるのです。雑学でした。






第216回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

日本ではアルゼンチンタンゴのイメージが強いバンドネオンですが、ドイツ生まれのこの楽器は海外ではクラシック音楽にも使用されています。どこか哀愁を帯びた独特の音色が特長です。

そんなバンドネオンのための協奏曲。ピアソラの作品は聴いたことがありましたが、今回は イタリアの作曲家 ロベルト・ディ・マリーノ(Roberto Di Marino 1956- )の「バンドネオン協奏曲第3楽章」を選びました。実は私も初めて聴きました。

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画像 ACワークス(株)

彼は、トレント音楽院で、作曲、合唱音楽、合唱指揮、ジャズ、吹奏楽などを専攻しました。
また、国内外の作曲コンクールで優勝するなど、作曲・編曲分野で国際的に評価されています。

ロベルト・ディ・マリーノの作品の一部は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーと日本のヴァイオリニスト古澤巌とで結成されたアンサンブルによって最近録音された3枚のCDに収録されています。

現在はヴェローナ音楽院で教鞭をとり、トレント近郊に住み、ほとんどの時間を作曲と編曲に費やしています。
※Roberto Di Marinoサイト参照


■ バンドネオン協奏曲第3楽章 / ロベルト・ディ・マリーノ



バンドネオン奏者のマリオ・ステファノ・ピエトロダルキ (Mario Stefano Pietrodarchi 1980- )は、イタリアのアテッサで生まれました。彼は 9 歳でアコーディオンを学び始め、その後バンドネオンに転向しました。

フェナローリ市立音楽学校で学び、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院を優秀な成績で卒業。
そのエネルギーが充満した演奏スタイルと音楽性で、世界的バンドネオン奏者の一人として高い人気を得ています。


今回は特別に、この マリオ・ステファノ・ピエトロダルキさんの演奏をもう1曲お聴き下さい。まさに神が降臨した芸術性を感じます。

曲は、Martin Ulikhanyan の「Vocalise(ヴォカリーズ)」です。



バンドネオンの表現力に驚きました。バンドネオンはアルゼンチンタンゴだけの楽器ではないことを再認識した次第です。







第217回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

フルートの作曲家として知られる フランスの音楽家 ゴーベール(Philippe Gaubert、1879 - 1941)の洒落た小品を取り上げました。

ゴーベール少年は 南フランスのカオールで生まれ、 6 歳のときに両親とともにパリに移りました。彼の母親は家政婦でしたが、その働き先がパリ音楽院のフルート教授ポール・タファネル氏の家でした。

その縁もあって、ゴーベール少年は13歳で本格的にフルートを学ぶことになり、同年 名門パリ音楽院に入学しました。

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画像 ACワークス(株)

彼は、ヨーロッパ史でいう戦間期の作曲家として 時代に翻弄されながらも、フランスで最も著名な音楽家の 1 人になりました。

パリ・オペラ座のフルート奏者として著名なキャリアを積んだ後、1​​919 年、40 歳で彼はフランス音楽界の中心に位置する 3 つの役職に任命されました。

  • パリ音楽院フルート教授(マルセル・モイーズの教師)
  • パリ・オペラ座の首席指揮者
  • パリ音楽院管弦楽団の首席指揮者 (Wikipediaより)


■ マドリガル( Madrigal pour flûte et piano)/ ゴーベール



明らかにフォーレやドビュッシーの影響を受けた音楽ですが、フルートの魅力を最大限に引き出した魅惑的な一曲です。

フルート演奏は、ミュンヘン国際音楽コンクールのフルート部門で第一位となった 韓国の キム・ユビン(Yubeen Kim)さん。

ピアノ演奏は、韓国出身の ソン・ヘリンさん。ソウル音楽大学を経て、ドイツに渡り ベルリン国立音楽大学卒業。国内外のコンクールで常に上位入賞を果たす実力派ピアニスト。



 


第218回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

以前 YouTube を見ていて偶然この曲に出会いました。

曲名が「秘密諜報員(The Secret Agent )」? 

このインパクトのある作品を、知られざる名曲に入れるかどうか迷ったのですが、どこかバッハの無伴奏チェロ組曲風の古典的な作風と、流動的な音楽と映像に新しいクラシック音楽の可能性を感じ、今回このシリーズに加えさせて頂くことにしました。是非お聴き下さい。

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画像 ACワークス(株)

作曲家のフィリップ・グラス(Philip Glass 1937-   アメリカ合衆国 メリーランド州 ボルチモア出身)は、ユダヤ系一家に生まれ、子供の頃からピーボディ音楽院でフルートを習いました。

15歳でシカゴ大学に入学。卒業後、ジュリアード音楽院に進み、そこでは主に鍵盤楽器を弾くようになります。

卒業後フランスで、著名な音楽家 ナディア・ブーランジェに師事し、ラヴィ・シャンカール(インドのシタール奏者)と共に働いた後、宗教的な理由から北インドへ旅行し、そこでチベット難民と出会います。

1972年、グラスは仏教徒となり、ダライ・ラマ14世に面会しました。グラスはチベット問題に強い関心を持ち、チベット難民を強力に支援しています。(一部Wikipediaより)


作品は、交響曲(12曲)を始め、オペラ作品、協奏曲、室内楽、弦楽四重奏から映画音楽まで多岐に及びます。

■ 秘密諜報員 (アルバム ガラスの反射より)
/ フィリップ・グラス

演奏は、 コンフント・イベリコ・チェロ八重奏団[イベリア・チェロ八重奏団]。
ピアソラの演奏に定評があります。






第219回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

ギリシャの女性作曲家  エレニ・カラインドルー(Eleni Karaindrou 1941- ) の当シリーズ2度目の登場です。

タイトルは「Waltz By The River(川辺のワルツ)」。ヴァイオリンとギターによるノスタルジックな曲です。


彼女は、7歳のときに両親とともにアテネに移住しました。彼女の父親は数学者でアンペロキピの学校で教え始めましたが、母親は数か月後 (1948 年) 南北戦争中に亡くなりました。

その頃、エレニ・カインドロウさんは学校でピアノを見つけ、それが音楽への第一歩を踏み出すきっかけとなりました。彼女はピアノのレッスンを始め、10歳で最終的にギリシャ音楽院に入学し、そこで17年間滞在しました。

ギリシャ音楽院を経て、今度はアテネのカポディストリアン大学で歴史と考古学を学びました。

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画像 ACワークス(株)

さらに、スコラ カントルムでオーケストレーションと指揮を学び、パリの高等教育学校で民族音楽学を学びました。
彼女の作品は、映画音楽、劇場音楽、バレエ音楽など多彩です。

そして、24 歳で彼女はパリに定住し、フランス政府から奨学金を受けていました。
現在はギリシャに戻っています。


■ Waltz By The River(川辺のワルツ)/ エレニ・カラインドルー

ヴァイオリンの Mahsar Barzin さんは、イラン東アゼルバイジャン出身。端正な顔立ちのヴァイオリニストです。
ギターの Ali Amjadi さんは、クラシックギターの名手ですが、詳しい経歴は分かりません。

二人の演奏には何の飾り気もありません。素朴で静かな表情はただ音楽の本質を表しています。


※ご参考 
知られざる名曲 By the sea エレニ・カラインドルー

 

 



第220回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

知られざる名曲 220回目は、日本の作曲家 岩代太郎(いわしろ たろう 東京都出身 1965-  )の映画音楽「うたかたの絆」にスポットを当てることにしました。

この音楽は、2005年に第29回日本アカデミー賞で優秀音楽賞を受賞しています。

■ あらすじ

時代は大正初期、まだ日本に華族や爵位の残る時代。

侯爵家の一人息子・松枝清顕(妻夫木聡)と伯爵家の一人娘・綾倉聡子(竹内結子)は、両思いの幼なじみである。

そんな中、聡子は宮家の子息に求婚される。それは断ることなど許されないものであった。

聡子は手紙を出し、清顕の気持ちを何度も確かめようとするが、不器用な愛情表現しかできない清顕はそれを読まずに突き放す態度をとってしまう。失望した聡子は宮家との縁談を受け入れる決意をする。

清顕はようやく聡子への深い愛に気づくが、それは皮肉にも聡子の結婚に勅許が下りた後であった。

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画像 映画.com

しかし清顕は諦めきれず、聡子の愛を取り戻したいとひたすら願う。清顕への愛を諦めていた聡子も彼との密会を受け入れ、二人は激しく愛し合う。しかしそれはつかの間の禁断の愛であった。

やがて聡子は妊娠するが、お互いの両親に二人の秘密が知れ、聡子の中絶は隠密に処理された。聡子の苦しみは深く、奈良の門跡寺院で出家する。

出家した聡子に一目会おうと清顕は、春の雪の降る中、寺に行くが門前払いで会えない。なおも清顕は聡子との面会を希望するが、聡子はそれを拒絶する。そして、雪中で待ち続けたことが原因で、清顕は20歳の若さで亡くなる。


清顕が見ていた夢の中の蝶が滝の下で二羽飛んでいく。

(Wikipediaより一部転記)

原作は三島由紀夫の長編小説『豊饒の海』4部作の第1部にあたる同名小説『春の雪』。


■ うたかたの絆(映画「春の雪」より) / 岩代太郎



三島由紀夫の情念の世界を美しく表現した岩代太郎。

指揮は作曲者自身です。

岩代太郎は、1989年に東京藝大音楽学部作曲科を首席卒業、1991年に同大学院修士課程を首席修了の俊才。

以後、クラシックから映画音楽など多彩なジャンルで活躍中です。






第221回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 
この曲は、世界的に大人気の音楽ユニット「シークレット・ガーデン」のデビューアルバムにある作品です。


「Song From A Secret Garden」(訳すと、秘密の花園の歌)は、シークレット・ガーデンのひとり、ノルウェー出身の ロルフ・ラヴランドによって作曲されました。

彼はクリスティアンサン音楽学校で学び、後にオスロのノルウェー音楽院で博士号を取得しています。

作品は、新古典主義の音楽カテゴリーに分類されますが、非常にロマン的で旋律も美しく、どちらかと言うとクラシック的イージーリスニング(癒し系音楽)と言えると思います。

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画像 ACワークス(株)

 

ピアノ演奏は、牛牛/ニュウニュウ(NiuNiu)

1997年中国福建省厦門(アモイ)の音楽一家に生まれる。3歳で才能の片鱗を見せ始め、音楽教師の父より手ほどきを受ける。2003年8月、6歳になった直後にデビューコンサートを行い、モーツァルトのピアノ・ソナタやショパンのエチュードを演奏。8歳で上海音楽院に史上最年少で入学。その後ニューイングランド音楽院等を経て、2018年ジュリアード音楽院(米国)卒業。

 

フルート演奏は、Cocomi/ここみ

2001年東京都出身。日本のフルート奏者、モデル。本名は木村 心美(きむら ここみ)。両親は木村拓哉と工藤静香
2023年桐朋学園大学音楽学部カレッジ・ディプロマ・コース修了。その後ソリスト・ディプロマ・コースを専攻。

2022年12月26日、デビュー・リサイタル「de l’amour」を東京・紀尾井ホールにて開催。同年12月、第73回NHK紅白歌合戦で母、工藤静香と共演した。

■ Song From A Secret Garden / ロルフ・ラヴランド (Arr. Niu Niu for Flute and Piano)

尚、シークレット・ガーデンは、すでに当シリーズで2度紹介していますので、ご参考にリンクを載せておきます。

知られざる名曲 第76回 Sometimes When It Rains / Secret Garden

知られざる名曲 番外編26 10月の栄光の日に/シークレット・ガーデン

 

 

 


第222回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

チェコスロバキアの作曲家 オスカル・ネドバル(Oskar Nedbal, 1874 – 1930)の ノスタルジックな名曲「悲しみのワルツ(Valsetriste)」にスポットを当てました。

ネドバルは、ドヴォルザークに作曲を習った数少ない音楽家です。しかし作風はドヴォルザークの民族主義というよりも伝統的なウィーン楽派に近く、洗練されたドイツ古典音楽を思わせます。

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画像 ACワークス(株)

■ 人生の明暗

彼は チェコ四重奏団のヴィオラ奏者として国際的なプロの音楽キャリアを築いていました。また、トーンキュンストラー管弦楽団の指揮者としてウィーンで活躍しました。

さらに、数多くの優れた海外の劇場や交響楽団(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団を含む)と共演し、すぐに世界的な名声を獲得しました。同時に室内楽(歌曲、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための作品)から舞台作品(バレエ、オペレッタ)まで多くの作品を遺しました。

1923年から、彼はスロバキア国立劇場の音楽監督となり、同劇場の芸術レベルを大幅に向上させました。


しかし、ネドバルは個人的な借金が膨れ上がり、 1930年12月24日 Xmasイヴに ザグレブのオペラハウスの窓から飛び降り命を絶ったのでした。

■ 悲しみのワルツ / オスカル・ネドバル



演奏は、ヴァーツラフ・ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

 




第223回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

皆さま良くご存じ、アルゼンチン生まれの作曲家 ピアソラ(Ástor Pantaleón Piazzolla , 1921 - 1992) 当シリーズ2度目の登場です。


タンゴのビートは2拍子が基本ですが、移民を受け入れてきたアルゼンチンには、ヨーロッパから3拍子のワルツのリズムも入ってきました。

したがって、3拍子(ワルツのリズム)のタンゴも存在します。

ワルツのリズムで有名なタンゴが、今回のピアソラ曲「バチンの少年(Chiquilin de Bachin)」ということになります。

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画像 ACワークス(株)

この作品は、ブエノスアイレスの芸術地区のレストラン「バチン」でバラを売って生計を立てるストリートチルドレンの物語を語っています。

バラの花を売る貧しい少年たちに ピアソラは、話かけたり 小遣いをやったりすることもあったようです。

詩人のオラシオ・フェレールは、そんな貧しくても懸命に生きる少年たちのために詩を書きました。その詩に、即興で曲を付けたのが ピアソラの「バチンの少年」です。今回はピアノ、ヴァイオリン、チェロのアレンジ版でお聴き下さい。 


■ バチンの少年(Chiquilin de Bachin) / ピアソラ



この愛情にあふれた音楽は何でしょう~ ピアソラを通じて天から贈られた珠玉の一曲です。

私たち大人が聴くべき一曲です。

守るべき子供たちが犠牲になっていく毎日。考えさせられる一曲です。

 

 


第224回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

いつものようにYouTube動画を見ていて偶然見つけたこの動画。何か掘り出し物を発見したような感動を覚えています。

聞き慣れない グイド・ディーテレン (Guido Dieteren 1974- )は、オランダの作曲家、指揮者、ヴァイオリニスト、音楽監督、プロデューサー、そして彼のオーケストラであるグイドズ・オーケストラの創設者です。

何と、父親、祖父、曽祖父が指揮者という家系に生まれ、彼は幼少よりクラシック音楽の猛勉強を始めたといいます。

6歳のときヘーレン音楽学校でヴァイオリンのレッスンを受け始め、15 歳のとき、ジャンヌ ダルク大学に通い、マーストリヒトで中等教育と音楽院の複合コースを学び、 18歳でVWO(オランダの大学進学準備学校 )の卒業証書を取得して修了しました 。

その頃から国内外で数多くのマスタークラスにも参加しましたが、その後ソプラノ歌手のウェンディ・コッケルコーレンと結婚します。

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画像 デ・キューケンホフ公園 ACワークス(株)

 

指揮者、ヴァイオリニスト、ソリストとしてさまざまなオーケストラと共演してキャリアを重ね、ヨーロッパ、北アメリカをツアーしました。

そして、音楽会社BMG、ソニー、ユニバーサル、ストレングホルト、ザ エンターテイメント グループ、公共放送局トロス、オムロプ MAXなどのために CD やイベントをプロデュースしました。

華々しい活躍の中で作られた「ニューホライゾン(ホライゾンは地平線の意)」は、明るい希望に満ちた輝かしい音楽です。 

■ ニューホライゾン(New Horizon) / グイド・ディーテレン (Guido Dieteren)


オランダと言えばチューリップ。

この美しい庭園は、デ・キューケンホフ公園と呼ばれ、オランダのリッセに位置する世界最大の花の公園です。

マエストロ グイド & ヨーロピアン ポップ オーケストラの新しい自作曲「ニュー ホライズン」に相応しい映像です。






第225回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、人気のヴァイオリニスト ヒラリー・ハーンが演奏する「微風」を選びました。

作曲は、佐藤聰明(さとうそうめい 1947 - )です。

Wikipediaによると、彼は宮城県仙台市出身。作曲を独学で学ぶ。

作品はアメリカ、ヨーロッパ、環太平洋諸国で幅広く演奏されており、ことにアメリカでは個展が音楽祭等で十数回にわたって催されている。

多くの作品がCD、レコード化されており、1988年、CD作品集「LITANIA[1]」がニューヨークタイムズの年間ベスト・レコードに選ばれ、全米公共放送の第二位にランキングされた。1980年に文化庁芸術祭賞。


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画像 ACワークス(株)

ヒラリー・ハーンの今年(2023年)の日本ツアーで、この作品はアンコール曲でした。

もしかすると聴かれた方もあるかも知れませんが、清澄で美しい曲です。
当「知られざる名曲」シリーズでご紹介出来ることはとても光栄です。

■ 微風 / 佐藤聰明



演奏:ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)Hilary Hahn, コリー・スマイス(ピアノ)Cory Smythe, 






第226回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける


「3大レクイエム」とは、モーツァルト、フォーレ、ヴェルディのレクイエムを指します。

もし、4大レクイエムなら、ブラームスを加えたいところです。この4曲は演奏機会も多いと思います。

多くの著名な作曲家が「死者のためのミサ曲(レクイエム)」を作曲しましたが、今回は非常にマイナーな "ヨゼフ・コズロフスキー Józef Kozłowski 1757- 1831)" のレクイエムにスポットを当てます。彼は、ロシアで大きな名声を博したポーランド出身の作曲家です。 

コズロフスキーは、ポーランド国王スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキ(1798年没)の死を悼んで この"レクイエム変ホ短調”を作曲し、1798年2月25日にサンクトペテルブルクで初演されました。そして、最後に演奏されたのは 1804 年と記録されています。

その後演奏されることもなく、1825年にはロシア皇帝アレクサンドル 1 世の葬儀のために改定(第2版)されましたが、最後に演奏されて200年間、眠ったまま放置されてきました。

そして、1988年にウラジーミル・イェシポフ指揮 ソビエト国立文化省交響楽団(現ロシア国立交響楽団)/  国立モスクワ合唱団で約200年ぶりに演奏されました。ただこの時の版はオリジナルではありません。

しかし、モーツァルトのレクイエムに匹敵する古典期の名曲であることが判明して、完全なオリジナル版での再演が待たれることになりました。

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画像 ACワークス(株)

近年、このレクイエムの再演と出版を目指して大きな動きがあり、専門家などによる懸命な調査と詳細なスコアの編纂作業を経て、コズロフスキーのレクイエムは、オリジナルスコアに忠実な形で蘇ることに成功し、このほどシンガポール交響楽団(指揮 ハンス・グラフ)、シンガポール交響楽団青少年合唱団によってアジア初演という快挙を成し遂げたのです。

現在このオリジナル版で レクイエムの全曲を聴くことは出来ません。
シンガポール交響楽団のメンバーに入会して、月額いくらか会費を払えば聴くことが出来るようです。

■ レクイエム 変ホ短調より " ディエス・イレ” 抜粋 / ヨゼフ・コズロフスキー




■ ご参考 全曲 https://www.youtube.com/watch?v=Ik8ktuRwIRo
イェシポフ指揮 ソビエト国立文化省交響楽団(現ロシア国立交響楽団)/  国立モスクワ合唱団

この曲を聴いたら、あまりの完成度の高さに圧倒されると思います。