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書の作品

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    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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知られざるクラシック名曲の宝庫を開けるシリーズ 4

おかげさまで「知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける」も 、シリーズ4に突入しました。いつもご覧いただきありがとうございます。



第151回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

151回目の知られざる名曲は、私の好きな作曲家 ラターの美しい作品をご紹介します。

ジョン・ミルフォード・ラター(John Milford Rutter CBE, 1945 - )は、イギリスの作曲家、指揮者です。主に合唱音楽に携わり、長年にわたって国際的に活躍しています。

彼は聖歌隊員だった経験を生かし、1981年にプロの室内合唱団であるケンブリッジシンガーズを結成しました。
彼の合唱作品(ミサ曲)は世界中で広く演奏されており、作品の多くは慰めに満ちてあなたを祝福し、あなたを守ります。

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この「古風な組曲」は、チェンバロ、フルート、弦楽オーケストラのために書かれた、協奏交響曲(1979)です。

合唱作品ではありませんが、フルートの優しい旋律が、ボーイソプラノのように歌います。


■ 古風な組曲:第1曲 前奏曲
(Suite Antique I. Prelude) / ジョン・ラター



演奏は、クリストファー・D・ルイス (チェンバロ)/ジョン・マクムテリー (フルート)/ウェストサイド室内管弦楽団。
澄んだフルートの音色がとても印象的です。

YouTubeにアップしてくれた ‶ナクソス・ジャパン” に感謝です。

次の機会には合唱曲をご紹介いたします。







第152回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、フィンランドの作曲家 オスカル・メリカント(Oskar Merikanto, 1868 - 1924)にスポットを当てたいと思います。

曲は「夏の夜のワルツ」。ちょうど今の季節にピッタリです。

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画像 ACワークス(株) 

この曲は メリカント15歳の時に作られました。とても愛らしい作品として今ではメリカントの代表作です。

原曲はピアノですが、合唱を始めさまざまにアレンジされ、フィンランドで大変愛されている作品だそうです。
今回は、原曲のピアノ独奏でお楽しみ下さい。


■ 夏の夜のワルツ(Summer Evening, Waltz Op.1)/ メリカント(Merikanto)



フィンランド
はシンプルに「パラダイス」

これ以上に良い環境がどこにあるかと思わせてくれるのがフィンランドの夏です。 気温が20~30度ほど、涼しい風、一日中明るく、暖かくて気持ちの良い日差し。 森でも、湖でも、海でも、砂浜でも、公園でも、すべてがキラキラして見えます。
(フィンランド雑貨と現地ツアーのキートスショップ記事より)




 


第153回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold, 1897 - 1957)はオーストリア出身のアメリカ合衆国の作曲家・指揮者です。近年日本でも知られるようになりました。

今回は、コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35 第1楽章」をお聴き下さい。
その新鮮な音楽の響きに驚かれると思います。

■ 絶賛の嵐

コルンゴルトは、モーツァルトと同じ名前(ヴォルフガング)と相まって「モーツァルトの再来」と呼ばれる程の神童ぶりであった。

9歳の時に作曲したカンタータを聴いたマーラーは、「天才だ!」と叫んだという。

11歳の時に作曲したバレエ音楽『雪だるま』はウィーン宮廷歌劇場で皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の御前演奏として初演され、万雷の拍手をもって迎えられた。

その後も、作曲家 リヒャルト・シュトラウス、名ピアニスト、アルトゥール・シュナーベル、ベルリン・フィルの大指揮者 ニキシュ、イタリアの作曲家 プッチーニなどから絶賛され、ウィーン市から芸術勲章を、オーストリア大統領からはウィーン音楽大学名誉教授の称号を贈られた。

さらに1932年、新聞『新ウィーン日報』のアンケートで、シェーンベルクと並んで存命する最高の作曲家に選ばれた。その後、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、歌曲、編曲と旺盛な音楽活動が続き、結局この時期が事実上、作曲家コルンゴルトの絶頂期であった。


■ 映画音楽への進出

名声はあったものの、コルンゴルトは生活のために映画音楽を書くことになったが、それでも美しい旋律、優れた管弦楽法は、緩みきった映画音楽業界に革命をもたらした。

1935年に、初期の傑作『海賊ブラッド』を書き大絶賛された翌年、1936年に『風雲児アドヴァース』でアカデミー作曲賞を受賞。この作品は、40以上のライトモチーフを使い、オペラ並みの作品に仕上げられていた。

1938年には『ロビンフッドの冒険』で2度目のアカデミー賞に輝く。

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画像 ACワークス(株)

■ 前衛音楽全盛、失意の晩年

ヒトラーが倒れるまで純粋な音楽作品の創作を封印していたコルンゴルトにとって、第2次世界大戦の終結は転機となった。

1946年、『愛憎の曲』を最後に、純音楽作曲家に戻るべく、新作を携えウィーンを訪れるも、当時の映画音楽に対する評価の低さや、後期ロマン派的作風は前衛音楽全盛の音楽業界から受け容れられず、「映画に魂を売った下等な作曲家」というレッテルを張られて事実上ウィーンの楽壇から抹殺され、失意の内にハリウッドに戻り、不遇の中、同地で1957年、脳出血で死去した。2曲目の交響曲を作曲中だった。遺体はハリウッドのハリウッド・フォーエバー墓地に埋葬されている。


■ 再評価

没後の再評価は1970年代、彼自身の映画音楽から始まった。二男のジョージ・コルンゴルトがプロデュースした、チャールズ・ゲルハルト指揮、ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団演奏による映画音楽集のレコードが良好な売れ行きを示した頃から、コルンゴルトの音楽の再評価が始まる。前記したように、ジョン・ウィリアムズなどの、シンフォニックタイプの作曲家に与えた影響は大きい。

また、ラインスドルフ指揮によるオペラ『死の都』、ケンペ指揮による『交響曲 嬰ヘ調』のレコード等で、彼のクラシック音楽の再評価も始まるなど、『コルンゴルト・ルネッサンス』の端緒がここに始まった。

現在、欧米においてはコルンゴルトに対する偏見は少なくなり、20世紀のクラシック音楽の作曲家の一人として、その作品は多くのCDがリリースされ、一流演奏家もコンサートで取り上げている。

(以上一部Wikipediaより転記させていただきました)


■ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 第1楽章 /コルンゴルト



演奏は、ヴァイオリン、アンネ=ゾフィー・ムター(Anne-Sophie Mutter)アンドレプレヴィン指揮 · ロンドン交響楽団(London Symphony Orchestra · André Previn)です。

出だしの甘い旋律、あふれる情感、実に新鮮で官能的でもあります。

この曲は、世界的ヴァイオリニスト 
ヤッシャ・ハイフェッツにより初演されました。

 

 

 


第154回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

アンリ・ヴュータン( Henri  Vieuxtemps 1820 - 1881)の2度目の登場です。

※ご参考 1度目の記事  ヴィオラとピアノのためのエレジー

ヴュータンは作曲家・ヴァイオリニストとして、ヴァイオリン協奏曲を7曲書きましたが、脳卒中により右腕に障害が起きると、ヴァイオリンをあきらめ、しばし他の楽器に目を向けました。

そして、ベルギーのチェリスト、アドリアン・フランソワ・セルヴェと親密になり、チェロ協奏曲を2曲作りました。
ちなみに、セルヴェは、世界で初めてチェロにエンドピンを付けた人です。

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参考 チェロ エンドピン 島村楽器サイトより

演奏は、チェロが Moritz Huemer氏。ピアノが 薗田奈緒子(
Naoko SONODA)氏です。
今回は敢えてオーケストラ伴奏ではなく、ピアノ演奏にいたしました。


■ チェロ協奏曲第1番 第1楽章/ アンリ・ヴュータン



表情豊かな曲です。ピアノの前奏に続いて弾かれるチェロの旋律は美しく、後半にピアノによって再現されます。
伸びやかで若々しいチェロも素敵ですが、明瞭なタッチでチェロを支えるピアノがとても魅力的です。




 


第155回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

 

音楽は世相を反映するものです。

世界的なコロナの拡がり、ウクライナ・ロシアの戦争、最近の物価の高騰などによって、私たちは不安な毎日を過ごしています。

その不安を鎮めるためか、どうしても音楽は明るいものより暗く落ち着いたものが好まれる傾向にあります。
これが、いわゆる「同質の原理」です。

■ 同質の原理

1950年代にアメリカの精神科医 アルト・シューラー博士が唱えた理論。

悲しいときには悲しい音楽を聴き、
楽しい気分の時には楽しい音楽を聴く

そのことで精神状態に良い結果をもたらす効果がある、という考え方のことです。


その時の自分の気持ちが、音楽によって代弁されたような「共感」を感じるのです。
音楽には、その人の心に寄り添い共感する 不思議な力があると思います。そのことを「同質の原理」というのです。

イライラしているときに、落ち着かせようとして「静かな音楽」を聴いたら逆効果になって余計に「腹立たしく」なってしまうことがありますが、イライラしている時には、大音量で「激しい曲」を聴くことで気分は収まることでしょう。

そして、悲しい時には思いっ切り悲しい曲を聴いて涙を流すと、次第に癒されていくと思います。

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画像 ACワークス(株)


最近、世界を震撼させる事件が起きました。安倍元総理が凶弾に倒れ亡くなったのです。

当「知られざる名曲シリーズ」には 政治色はありませんが、 追悼の意味で 次の曲を選びました。心静かにお聴き下さい。


■ トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV 564 - アダージョ/J.S.バッハ
(L. ストコフスキーによる管弦楽編)



私もこの曲に慰められました。霊界に旅立たれた元総理のご冥福を祈りつつ、フリーアナウンサーの膳場貴子さんが、TBS「報道特集」(2022・7・9)で語った言葉が印象的でしたので、敢えてご紹介します。

「非業の死を遂げた元総理ですけれども、あえて功罪を冷静に振り返ることが大事です」

参議院選は自民の圧勝でした。

 




第156回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した 韓国映画「オールド・ボーイ」の挿入曲を選びました。

作曲したのは イ・ジス(이지수 Lee,Jisoo 1981- )。現在ソウル大学大学院音楽科助教授です。2018年には、平昌冬季パラリンピック開閉会式音楽監督を務めました。

彼の作品はクラシック音楽を基盤として映画音楽、ミュージカル、放送音楽など様々なジャンルに及びます。
そして最近は、チェコフィル、ロンドン交響楽団、東京フィル、KBS交響楽団など世界の主要オーケストラで演奏されています。

 

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(C)2003 EGG FILMS Co., Ltd. all rights reserved.

ちなみに、当「知られざる名曲」で韓国の作曲家を取り上げるのは、イルマ(이루마 )、イ・ドンジュン(이동준)に続いて3人目となります。


■ 映画「オールドボーイ」挿入曲 / イ・ジス



ワルツに乗って華麗なピアノ演奏を披露するのは、イ・ジス氏(作曲者自身)です。






第157回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

日本歌曲には名曲が多く存在します。当シリーズでは、高田三郎「くちなし」 と、木下牧子「鴎(かもめ)」 をご紹介してきましたが、今回は日本を代表する作曲家 武満徹(1930-1996)の「小さな空」を選びました。


「小さな空」は、1962年(昭和37年)TBS連続ラジオ・ドラマ『ガン・キング』の主題歌として作曲され、ジェリー藤尾が歌っていましたが、1980年代に入って合唱曲に編曲されましたのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

当シリーズ3曲目の日本歌曲「小さな空」は、カウンターテナー村松稔之が歌った YouTube動画でご鑑賞下さい。

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■ カウンターテナーとは

カウンターテナー(英: countertenor)とは、西洋音楽における成人男性歌手のパートの一つで、女声(主にアルト)に相当する高音域を歌います。
平たく言えば、男性のアルト歌手で、特殊なファルセット(裏声)の発声により高音域を歌います。ルネサンス・バロックの教会音楽で広く用いられました。
※ソプラノの音域を歌う男性「ソプラニスタ」とは区別されます。

■ カウンターテナー村松稔之 プロフィール

村松稔之氏は、京都市出身。東京藝術大学音楽学部声楽科、同大学院修士課程独唱科を首席で修了。その後イタリアに渡り、ノヴァーラ・G.カンテッリ音楽院古楽声楽科で研鑽を積む。

第20回ABC新人オーディション最優秀音楽賞など数々の賞に輝く。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」やABC放送(共演:大阪フィル)などのTV、ラジオへの出演のほか、国内主要オーケストラとの共演も多数。

2022年10月には、ヘンデルのオペラ「ジュリオ・チェーザレ」のニレーノ役で新国立劇場へ初出演予定。また2024年1月には、ドイツ・エアフルト歌劇場のオペラ“Julie et Mao”公演への出演と、海外でのオペラ・デビューも決まっている。

従来のカウンターテナーの領域である古楽の枠だけにとらわれない幅広いジャンルでのレパートリーを持ち、活躍の場を広げる話題の歌手。


■ 小さな空 / 武満徹



幼い頃、誰もが経験する懐かしい思い出・・・


小さな空 作詞・作曲 武満徹

青空みたら
綿のような雲が
悲しみをのせて
飛んでいった
  
いたずらが過ぎて
叱られて泣いた
こどもの頃を憶い(おもい)だした

村松稔之(カウンターテナー)
Toshiyuki Muramatsu(Countertenor)
越知晴子(ピアノ)
Haruko Ochi(Piano)






第158回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回はブラームス(Johannes Brahms、1833 - 1897) の「運命の歌 op.54」を取り上げました。題名は知られていますが、意外と聴く機会の少ない曲です。


■ 格調の高さを聴く

クラシック音楽の代名詞のような ブラームスの「渋い音楽」は、熱烈なファンがいる反面、やや苦手な人もいるかも知れません。

その苦手な人に是非聴いてもらいたいのが、今回の「運命の歌」です。純然たるクラシックの曲ですが、美しく格調の高い曲です。

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画像 ACワークス(株)


メロディアスで聴き易い音楽とは言いませんが、ブラームス一流の品位があります。

「崇高かつ厳粛」、「清廉で高潔」、「高い精神性と品格」、「高雅で漂う気品」、あらゆる賛辞を駆使しても余りある 格調の高い音楽がここにあります。

「運命の歌」作品54は、混声合唱と管弦楽のための作品で、詩はドイツの詩人ヘルダーリン(1770‐1843)の長編小説『ヒュペーリオン』によります。


■「ヒュペーリオン」あらすじ


主人公の青年ヒュペーリオンは,祖国ギリシアの独立のため露土戦争(ロシア・トルコ戦争) に加わる.激戦のなか九死に一生を得るが、愛する恋人を病で失い、やがて悲しみのなか祖国を離れドイツへと赴く…….主人公が友人や恋人に宛てた書簡の形式によって内的経験を物語る、抒情性と省察に満ちた哲学的教養小説。(岩波書店サイトより転記)

ブラームスは、ある朝早く、本棚でヘルダーリンの詩を見つけ、運命の歌に深く感動したといいます。

至福の精霊たちよ!
あなた方は天上の光の中
やわらかなところを行き交う
輝かしいそよ風が
聖なる弦をつまびく 女たちの指のように
あなた方に ほのかに触れてゆく(一部記載)


■ 運命の歌(Schicksalslied) op.54 / ヨハネス・ブラームス



コロナ禍で、オーケストラも合唱団もスペースを取って演奏に臨んでいます。客席もまばらです。
何年か後に、こんなこともあったと懐かしく思うかも知れません。

指揮は、米国の指揮者でヴァイオリニストのカリーナ・カネラキス氏(Karina Canellakis)。注目の指揮者です。
オーケストラは オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団。合唱は オランダ放送合唱団。







第159回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

ジグムント・ノスコフスキ(Zygmunt Noskowski, 1846 - 1909 )はポーランドの作曲家・指揮者です(日本ではあまり知られていません)。

当初はワルシャワ音楽院でヴァイオリンと作曲を学びますが、奨学金を得て 1873年から1874年までベルリン芸術アカデミーに留学しました。

1874年、彼は結婚して ボーデン湖畔のコンスタンツに引っ越し、音楽協会の音楽監督兼指揮者の役割を引き受けました。彼は22年間、ワルシャワ音楽協会の会長職にあり、合唱団を指導し、同時に交響楽団を設立するという困難な仕事を完成させました。

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ボーデン湖 ACワークス(株)

ノスコフスキは多才な作曲家であり、作品は 交響曲、管弦楽曲、室内楽、歌劇など、すべてのジャンルに及びます。

しかし、彼の作風は当時の音楽界を支配していたワーグナー、リスト、ブラームスからの影響を受けることなく、ヨーロッパ音楽の本流から外れていたため、死後は聴衆から忘れ去られた存在でした。

21 世紀初頭になって、ノスコフスキの音楽が再評価され、交響曲や弦楽四重奏曲、さらに彼の未発表作品の初版も登場しました。
ノスコフスキは 19 世紀後半のヨーロッパの傑出した作曲家の一人となったのです。是非お聴き下さい。


■ 悲しみのポロネーズ(Polonaise élégiaque)/ ノスコフスキ(Noskowski)



ロマンティックな演奏は、ウカシュ・ボロヴィチ指揮、ポーランド放送管弦楽団 です。


■ ご参考
ギター二重奏による「悲しみのポロネーズ 」
https://www.youtube.com/watch?v=0OGagJX4yoA







第160回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今から40年以上前の1981年秋、韓国ソウルでは、文化放送の生中継で第1回MBC大学歌曲コンクールが行われました。

その時、審査員の満場一致で優勝したのが、今回ご紹介する曲を作った キム・ヒョグン (Hyogun Kym)氏です。
何と応募者95人中、音楽専攻でなかったのは彼一人でした。

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画像 韓国冬景色 ACワークス(株)

■ キム・ヒョグン 音楽と勉学の両立

小学校1年生の時、お父さんに誕生日プレゼントで貴重なピアノを買ってもらったものの、ピアノには興味を示さなかったキム少年は、小学校6年生になると、まったく態度が変わって休むことなくピアノの鍵盤を叩く日々が続きます。

そして音楽活動は中学、高校に進むにつれ本格化しました。      
ピアノ伴奏者として、合唱音楽と管弦楽に没入し、高校時代には男性合唱団と聖歌隊の伴奏と指揮を引き受けました。
(高3の時は進路をソウル大音楽部作曲課にこっそり決めていたといいます。)

この頃、両親は音楽に没頭する息子を心配して、音楽活動を辞めさせようとしました。特に父親は反対しました。

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ソウル大学画像 アーエデュケーション株式会社サイトより

しかし、頭の良かったキム少年は、高校で学年成績トップとなり、奨学金をもらうことになりました。
このことで、父親も音楽活動を許したのです。音楽と勉学の両立が両親にも受け入れられました。

キム少年は、ソウル大経済学科に無事合格し、その翌年から音楽創作に精を出します。続いて1986年にソウル大学大学院経営学科を卒業後、米国に留学、ピッツバーグ大学で経営学博士学位を取得します。


■ 韓国歌曲「雪」(눈 Snow)/ キム・ヒョグン (김효근 Hyogun Kym)



キム・ヒョグン (Hyogun Kym) 作詞・作曲

小さな山道に真っ白の雪が積もったら

私の小さな足跡を永遠に残したい

私の小さな心が純白に染まるまで

真っ白な山道を歩きたい (ご参考 歌詞の一部 邦訳)


韓国では教科書にも載っている曲で、愛唱歌として歌われています。
しみじみとした味わい深い名曲です。

歌手は、ソプラノのチェ・ジョンウォン(최정원 Jungwon Choi)さん。国内外のコンクールで数々の賞に輝く正統派のクラシック声楽家です。その知的で美しい歌唱が心に残ります。






第161回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

日本の作曲家 三枝成彰(さえぐさ しげあき 1942ー ) の初登場です。ご存じの通り80歳を超えてもまだまだお元気で活躍されています。

ずいぶん昔のことですが、三枝さんの「プロヴァンス組曲(1989年)」を聴いて、その感傷的な旋律がしばらく頭から離れなかったことを思い出しました。

今回は、その三枝さんの叙情的な作品「まだ見ぬコーンウォールへの旅(1999)」を選んでみました。

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画像 コーンウォール ACワークス(株)

コーンウォールとは、ロンドンから列車で4時間20分、イングランドの南西端に位置する人気の保養地です。 生い茂る木々、深い谷、きらめく青い海が手つかずで残っているとのことです。Know Before You Go: 英国旅行のためのガイダンス参照

演奏はオーボエの第一人者広田 智之氏です。


■ まだ見ぬコーンウォールへの旅(Reveries of Cornwall)/三枝成彰(
Shigeaki Saegusa)



この作品は甘美な旋律が特長ですが、三枝成彰の作風は当初は「前衛的」でした。前述のプロヴァンス組曲を作曲する頃から、次第にロマン派的な美しい音楽を数多く作曲しています。

 

※余談ですが、三枝さんは民主党支持者として有名で、羽田孜氏や鳩山由紀夫氏とも親交を持っています。Wikipediaの記事によると、野党支持者という理由でこれまでに多くの仕事を失ったと語っているそうです。それでも。2007年に紫綬褒章、2017年に旭日小綬章、2020年に文化功労者になっています。尚、今回の安倍元首相の国葬に関しても明確に反対の立場を表明しています。






第162回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

前回のオーボエに続き、今回も管楽器の登場です。ただ、サックス曲は初めてではないでしょうか。

作曲は、20世紀のフランスの作曲家 ウジェーヌ・ジョゼフ・ボザ(Eugène Joseph Bozza, 1905 - 1991)です。

ボザはイタリア人とフランス人の両親の間に生まれ、幼少期からヴァイオリンを学んだ後、名門パリ音楽院に進みました。作品には5つの交響曲、オペラ、バレエ、および多数の管楽アンサンブル曲があり、1934年には、ラヴェルやベルリオーズも受賞しているローマ大賞(音楽部門)に輝いています。 (その割に知名度は高くありません)

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画像 ACワークス(株)

演奏は、クラシック サックス奏者のウォンキ・リー(Wonki Lee)です。

東京に住む韓国人の両親のもとに生まれたリー氏は、13 歳でサックスの勉強を始め、すぐにニューヨーク市に移り、マンハッタン音楽院で研鑽を積み、音楽博士 (DMA) の学位を取得しました。日本を代表するサックス奏者 須川展也氏にも師事しています。

ピアニストのエスター・リム(Esther Lim)氏の感性豊かなピアノが、この曲に詩情を吹き込みました。


■ アリア(Aria)/ ウジェーヌ・ボザ( Bozza)

心地よい柔らかなサックスの音色。ちなみに使用楽器はヤマハ製です。







第163回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

イタリア(ジェノヴァ生まれ)の作曲家で名ヴァイオリニストでもあった パガニーニ(Niccolò Paganini, 1782 - 1840)の2度目の登場です。

今回は、「ヴァイオリン協奏曲第4番」の2楽章(アダージョ)を是非お聴きください。

Wikipediaによると、リストは、初恋に破れ沈んでいた20歳の時に、このパガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第4番」を聴いて、「僕はピアノのパガニーニになる!」と奮起し、超絶技巧を磨いたという逸話も残っています。

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イタリア ジェノヴァ 画像 ACワークス(株)

コロナ禍の2020年5月に収録されたリモート弦楽合奏のYouTube動画です。

ヴァイオリンの アウグスティン・ハーデリヒ(Augustin Hadelich,1984- 独)は、イタリアのチェチーナでドイツ人の両親のもとに生まれた若き名ヴァイオリニスト。

リモート弦楽合奏は、ソシエタ デル カルテット ディ パレルモ https://www.gliarchiensemble.com/ (伊)。編曲は Giuseppe Vaccaroです。

■ ヴァイオリン協奏曲第4番 ‶アダージョ” (Violin Concerto no. 4:II.) / パガニーニ (Paganini)

この美しい旋律は、パガニーニの生涯を描いた映画「愛と狂気のヴァイオリニスト」のアリア「美しい人よ」として劇中で歌われます。心に残る旋律です。

 




第164回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

これほど本格的な韓国歌曲を、このシリーズでご紹介出来ることは大きな喜びです。世界中の現代歌曲の中でも、最も印象的な美しい歌曲の一つです。

作曲の 金聖泰(キム・ソンテ 1910-2012 )は、日本の高等音楽学院(現国立音楽大学)で作曲を学んだのち、インディアナ州立大学大学院を卒業。韓国では西洋音楽の草分け的な存在です。彼は長命で豊かなキャリアがありますが作品数は多くありませんでした。

この曲は、映画「同心草、1959年」の主題歌として、韓国の大衆に親しまれてきた人気の歌曲です。
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韓国映画「同心草」映画ナタリーサイトより


歌詞は、7世紀の中国唐の芸妓、女流詩人である 薛濤(せつ とう、768 - 831) の作品を、金億(キム・オク)が翻訳したものです。

※すなわち原詩が薛濤(せつ とう )で、訳詞が金億(キム・オク) ということになります。金億(キム・オク)もまた日本の慶應義塾大学文学部に留学した経験があります。

歌詞の内容は、「心をひとつにしようとする人とは結ばれず、ただ同心草のみを編む」と切ない恋心を表現しています。



■ 同心草(トンシムチョ)/ 金聖泰(キム・ソンテ)



韓国のソプラノ歌手 キム・スンヨン (김순영 Soon young Kim 1980-  )の素晴らしい歌唱でお聴き下さい。






第165回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

日本では知られていませんが、「I met you」Old Russian Romance)を、チェロとピアノでお聴き下さい。
とても味わい深い作品です。

この曲は19世紀のロシアの情熱的な歌謡で、もともとは恋人を想って歌われる曲です。

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EVERTHING HAPPENS FOR A REASON = すべてのことに意味がある(動画映像より)


歌詞は、ロシアの詩人で外交官でもあった フョードル・チュッチェフ(Fyodor Ivanovich Tyutchev、1803-1873)によるものです。

作風はドイツロマン主義的な抒情詩が多く、その基本的なテーマは宇宙・人間の運命・自然をめぐる思索です。一方で熱烈な恋愛詩を創っており、そこでの恋愛は悲劇としてとらえられています。(Wikipediaより参照)


I met you

I met you and the past
came back to life in my dead heart.
Remembering a golden time,
my heart became so warm.
Just as in late autumn
there are days, the transient hour,
when suddenly spring wafts again
and something stirs within us,
(歌詞の一部、英語)


あなたに会えて
 

あなたに会った時から
私の心に命が吹き込まれました

輝かしいあの頃を想い 
私の胸は熱くなる

もう秋も終わるというのに
時が移ろうような日々

春が再び訪れるような 
何かが私の中でうごめく

※和訳参照 ブログ「ピアノのある生活、ピアノと歩む人生」より


■ I met you / ロシア古謡( Old Russian Romance)



ピアノは、ベルギー出身の フランコ・ディ・ニット(FRANCO DI NITTO)。
現代的でありながらメロディアスでロマンティックな音楽を好み、日本の倉本裕基、
中村由利子、久石譲、坂本龍一などもレパートリーに入っているそうです。

チェロは、ルディ・フローエン(Rudy Froyen)。
フローエン氏は、この演奏を亡き奥様に捧げられました。

■ この演奏を亡き妻 ヴェロニクに捧げる   ルディ・フローエン




 


第166回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

このところ毎日雨が降ります。
9月は、6月に並んで降水量が多いのです。

そんな中、ヴィヴァルディ(1678 - 1741 )の「涙の雨(Rain of Tears)」を聴いてみようと思いました。
雨音がこんなに音楽的だったとは・・・

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この曲は、ヴィヴァルディ歌劇「ジュスティーノ」より第2幕アリア「この胸に感じる涙の雨の中に」が原曲です。

演奏は、アンダーソン&ロー によるピアノデュオ(Anderson & Roe Piano Duo)です。

二人は、サンフランシスコ・クラシカル・ヴォイス として、ビルボード チャートのトップ アルバム、エミー賞にノミネートされたミュージック ビデオ、広範な国際ツアー スケジュールにより、クラシック音楽を社会に関連する強力な力にすることを目指しています。

アンダーソン&ロー ピアノ デュオ公式サイト https://www.andersonroe.com/


■ 涙の雨(Rain of Tears)/ ヴィヴァルディ( Vivald)

ピアノで弦楽器のピチカート(雨音)を表現するため、ピアノ₂(向かって右のピアノ)に特殊なミュートが取り付けられています。

鬱陶しい雨もこんなに豊かな表情があると思うと、雨の日も幸せな気分になれますね。






第167回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

サン・プルー(Christian Saint-Preux Langlade 1948- )は、フランスの作曲家、ピアニスト、指揮者です。

彼は 6歳でオルガンのためのいくつかの作品を作曲し天才ぶりを発揮しました。
19歳の時、ポーランドのソポト音楽祭で交響楽団を指揮し、彼の作曲した「La Valse de l'Enfance」で国際報道賞を受賞しました。同年、ダニエル・リカリが最初に演奏した協奏曲を作曲しました。

叙情的な作品からピアノや交響曲まで、彼はパリからニューヨーク、ロンドン、東京、モントリオール、ワルシャワなどの国際的なオーケストラで演奏されました。

1989年、彼はユニセフのために、人間と子供の権利のための賛美歌「レ・クリス・ド・ラ・リベルテ」を作曲し、その原譜を法王ヨハネ・パウロ2世に献上しました。

ロマンティックで聴き易く、ポピュラー音楽とエレクトロミュージックの要素も取り入れた彼の音楽(レコード)は、世界中で 3,200 万枚以上売れています。(以上公式サイトより一部転記)

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日本では ポピュラー音楽「ふたりの天使」が有名です。

■ 時の翼でSur Les Ailes du Temps 「最後のオペラより」) / サン・プルー(Saint-Preu)



初めて聴いた時、まるで目の前の視野が明るく広がるような錯覚を覚えました。

包容力のある魅惑的な曲です。






第168回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、フィリピンの偉大な作曲家 ニカノール・アベラルド (Nicanor Abelardo 1893 - 1934 ) のロマンティックな夜想曲にスポットを当てました。

アベラルドは5歳で音楽に出会い、6歳のときに父親からギターや民族楽器を教わりました。彼は父親が編曲した ロッシーニの「ウィリアム テル 序曲」を演奏するなど音楽的才能を発揮し、ヴァイオリンなどの楽器も難なく弾けるようになったと言います。

1916年、彼は新しく設立されたフィリピン大学音楽学部に入学し、在学中に大学の校歌を作曲しました。1921年には作曲の学位を取得し、その後大学院課程を経て、彼は音楽院の作曲部門の責任者になりました。この当時に主要な作品の多くが書かれています。

1931年、彼はマニラを離れてシカゴ音楽大学に入学しました。大学ではウィーン第二楽派、ヒンデミット、その他のヨーロッパのポストロマン主義の作曲家による革新的な音楽に影響を受けました。

彼がシカゴにいる間、家族は音楽院の近くで下宿を経営し彼を支えました。下宿は「小さな音楽院」という愛称で呼ばれていたそうです。

しかし、アルコール依存症だった彼は 1934年にアルコールによる心不全で亡くなりました。交響曲やオペラなど未完成の音楽のスケッチを残したまま41歳の生涯を閉じたのです。

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マラカニアン宮殿内の音楽室で作曲家 アベラルドの胸像を眺めるドゥテルテ大統領。
出典https://hmn.wiki/ja/Malaca%C3%B1an_Palace より


尚、このYouTube 動画は、The Flaming Piano という「炎」を使ったピアノ鍵盤で演奏されます。


■ ノクターン嬰ハ短調 / アベラルド



難易度はそれほど高い曲ではありませんが、どこか物悲しく叙情的な曲です。

楽譜のタイトルは「First Nocturne」。ペトルッチのサイトで無料でダウンロードできます(著作権も切れています)。
https://imslp.org/wiki/First_Nocturne_(Abelardo%2C_Nicanor)







第169回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今から15年前(2007年)、NHK大河ドラマ “風林火山” が放映されましたが、今回はその中から、日本の作曲家 千住明(せんじゅ あきら、1960 -  )が作曲した「大河流々(オリジナルサウンドトラック)」をご紹介します。
※千住明については、千住明 公式サイト をご覧下さい。

風林火山のテーマ音楽はご存じの方もあると思いますが、この「大河流々」はヴァイオリンの名曲として後世に残る作品と確信します。

尚、この曲のヴァイオリン演奏は千住真理子。千住明の妹さんに当たります。

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画像 武田神社 ACワークス(株)

原作は、井上靖の同名小説『風林火山』で、井上作品の大河ドラマ化は初めて。武田信玄(晴信)の軍師として知られる伝説的人物、山本勘助の生涯を描く。戦国時代の甲斐国が舞台となった作品である。

クランクイン当初は「全49回」での放送予定だったが、番組の人気と、クライマックスである川中島の戦いのロケで迫力シーンが多く撮れたことを理由に急遽1話分を増やし、全50回放送へと変更された。大河ドラマ放送途中での増話決定は例が無い。

主演の内野聖陽は1998年『徳川慶喜』以来、2度目の出演で主役を射止めた。今回が大河ドラマ初出演となる板垣信方役の千葉真一を筆頭に、武田信玄役に歌舞伎の二代目 市川亀治郎、上杉謙信役にミュージシャンのGackt など話題のキャスティングだった。(一部Wikipediaより)


■ 風林火山「大河流々」/ 千住明

無伴奏ヴァイオリンソナタを思わせる冒頭の音楽、千住真理子のヴァイオリンは極めて美音です。
彼女は確かストラディバリウスを所有しています。

そして、ヴァイオリンの燃えるような演奏は比類なき美しさです。
この作品は忘れがたいクラシックの名曲であると同時に名演奏でもあるのです。






第170回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、ショパン (Chopin、1810 - 1849) の "マズルカ" を チェロとオーケストラで演奏したら、こんなに優雅だったと言うお話です。

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マズルカはポーランドに伝わる3拍子の舞曲ですが、ショパンはこのマズルカを67曲作りました。ショパンが遺した全作品が258曲ですから、実にマズルカはショパンの全作品の4分の1を占めることになります。

ショパンは10才頃にはマズルカを書き始め、最晩年まで毎年マズルカを書き続けました。そしてショパンの絶筆もマズルカでした。ショパンはマズルカを愛し、いつも頭の中でマズルカの音楽が鳴っていたと思います。

しかし意外とマズルカは演奏機会も少なく、標題のつけられた作品もなく、ワルツやノクターン、エチュード、ポロネーズ等に比べて、人気曲が少ないのが現状です。

でも、この演奏を聴いたらきっと貴方も "マズルカ"のファンになることでしょう。


■ マズルカ Op. 67 No. 4 / ショパン



しなやかなチェロの演奏は、フランスのチェリスト オフェリー・ガイヤール(女性)氏です。バックは、ティモシー・レドモンド指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(イギリス・ロンドン)です。






第171回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

秋本番です。ベストシーズンに聴く名曲は、ロシア帝国~ソビエト連邦の作曲家 グラズノフ(Aleksandr Konstantinovich Glazunov 1865 - 1936)のバレエ音楽「四季」から選びました。グラズノフは当シリーズ初登場です。

グラズノフは裕福な家庭で育ち、ピアノや作曲では神童といわれました。さらに富裕な材木商人の援助もあり、作曲家としての名声が頂点にある時、このバレエ音楽「四季」が書かれました。

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※「四季」(Времена года)作品67(1899年) - 1幕4場からなる小バレエ音楽。冬に始まり秋に終わる。特定の物語を持たず、自然の情景を表現している。(Wikipedia)

■ バレエ音楽「四季」Op.67 より 秋 小さなアダージョ / グラズノフ



ロシアにも四季はありますが、寒い冬がやたら長く、その分夏は短く、春は雪解けで町中が汚れているそうです。しかし秋は木々が黄金色に色づくことから、詩人プーシキン が「黄金の秋」と名付けたと言われるほど美しいシーズンと言われています。

チャイコフスキーもピアノ曲「四季」を書いています。ご参考にお聴き下さい

『四季』より「10月 秋の歌」演奏/石原可奈子







第172回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

秋本番、ベストシーズンに聴く「知られざる名曲」2曲目は、日本の中田喜直(1923 - 2000)作曲の「ピアニシモの秋」です。

中田喜直と言えば、「めだかの学校」「夏の思い出」 「ちいさい秋みつけた」 「雪の降るまちを」等々どなたもご存じの名歌を作った日本を代表する作曲家です。

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ピアニストを志望して東京芸術大学に入学するも、太平洋戦争によって中断。飛行戦隊としてフィリピン戦線やインドネシアに赴き、本土で特攻隊要員として終戦を迎えたと云う経歴は壮絶でもあります。

戦後は、NHKのラジオ番組に積極的にかかわり、これらの番組において「夏の思い出」や「雪の降るまちを」などを生み出しましたが、それまでの日本の文化だった「童謡」を排斥。対立ジャンルとして立ち上げた「新しい子どもの歌」を推して、最盛期にあった童謡を衰退に導いた、とされます(Wikipedia)。

功罪両面の中田喜直でしたが、生涯に3000曲もの新作を世に出し76歳の生涯を閉じました。

■ ピアニシモの秋/中田喜直作曲・山川啓介作詞



ソプラノは藤原唯さん、ピアノは齋藤亜都沙さんです。

過去へ戻れる 道を探して
風の街角 歩きます

愛した人の 呼んでる声が
遠く聞こえた気がします
幸せなのに 淋しくて
そっとふり向く 秋

(山川啓介歌詞の一部)






第173回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

11月8日(2022年)の皆既月食はご覧になられましたか?

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画像 ACワークス(株)

月は1年を通じて見れますが、やはり秋の月は格別です。ですから「月」と言えば、秋の季語となります。

さて、今回は 瀧廉太郎(1879-1903)作詞・作曲の 日本歌曲「秋の月」を選びました。しんみりした名歌です。

詳しくは、2016年10月30日付け当ブログ 「秋の月/滝廉太郎の詩」
をご覧下さい。


■ 日本歌曲「秋の月」 / 作詞・作曲 瀧廉太郎、編曲 山田耕筰



歌唱は、弥生歌月(やよいかげつ)さん。ピアノ伴奏も弥生歌月さんです。

光はいつも かはらぬものを

ことさら秋の 月のかげは

などか人に ものを思はする

あゝなく虫も おなじこゝろか

こゑのかなしき

 

 


第174回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

19世紀のロシアの作曲家 ダルゴムイシスキーが今回の主役です。あまり聞き慣れない名前です。

アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・ダルゴムイシスキー(Aleksandr Sergeevich Dargomizhskii
 1813 - 1869)は、主にオペラ作曲家として有名でしたが、他に歌曲やピアノ曲も作りました。

そのピアノ曲の1曲が「メランコリックワルツ(Melancholic Waltz)」です。
ダルゴムイシスキー12歳の瑞々しい小品です。

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画像 ACワークス(株)

■ メランコリックワルツ / ダルゴムイシスキー

ロマンティックな美しい曲ですが、どことなく憂いを感じるピアノの小品です。


実はメランコリックワルツという曲は数曲あります。

中でも、ラトビアの作曲家
エミールス・ダルツィシュ(1875  - 1910 34歳没) の 「メランコリック ワルツ(Melanholiskais valsis)」は知られざる名曲です。ご参考にお聴き下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=GK5vZr-Qn40(リンク切れはご容赦下さい)







第175回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

この曲に出会えて本当に幸せを感じます。

バッハ以来、これほどの宗教音楽はあったでしょうか?

作曲したのは、イタリアの マルコ フリジーナ (Marco Frisina 1954 - ) 、作曲家 兼 ローマ カトリック教会の司祭です。

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画像 ACワークス(株)

フリジーナはローマのサピエンツァ大学で文学を専攻し、その後名門サンタ チェチーリア音楽院で作曲を学びました。

その後、教皇庁グレゴリオ大学で神学を学び、ローマ教皇庁聖書研究所で聖書のライセンスを取得。1982 年に司祭に叙階され、サンタ チェチーリア教会の牧師に就任しました。 彼は教皇庁の聖十字架大学と教皇庁の宗教音楽研究所の教授でもあります。

現在彼は、32人の聖歌隊員と2人のオルガニストで構成された合唱団である聖ヨハネ・ラテラノ大聖堂のラテラン教皇敬虔礼拝堂の監督を務めています。マルコ・フリジーナ 公式サイト(Wikipediaより一部転記)

今回選曲した「NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)」は、アビラの聖テレサ(洗礼名 Teresa de Cepeda y Ahumada,1515 - 1582)の詩によるものです。

Nada te turbe,
nada te espante,
quien a Dios tiene
nada le falta.
Solo Dios basta.
Todo se pasa,
Dios no se muda,
la paciencia
todo lo alcanza

あなたを邪魔するものは何もありません
あなたを怖がらせるものは何もありません
恐れることもわずらうこともないのです
あなたはすでに神によって満たされています


■ NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)/ マルコ・フリジーナ



司祭たちが皆んな放心状態で曲に聴き入っています。
「感動」とは、このような曲のためにある言葉でしょうか。

この音楽は、ドラマティックで色彩豊かです。
そして強力なメッセージを発しながらも、敬虔な祈りに満ちています。
ソリスト、合唱、管弦楽の見事なアンサンブルに引き込まれます。

(余談ですが、聴衆の中にミュージカル「オペラ座の怪人」の作曲者 アンドリュー・ロイド・ウェバー がいたようです。)

尚、素晴らしい歌唱は、メゾソプラノ: Serena Scarinzi テノール: Sebastiano Giotta。
合唱団&オーケストラ「ニコラ・ヴィターレ」指揮は作曲者自身です。

 




第176回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、ドイツの20世紀の作曲家 クルト・ヴァイル(Kurt Weill、1900 - 1950)のタンゴ「ユーカリ」にスポットを当てました。

彼は、ユダヤ人作曲家であったことから、ナチス当局から危険視されるようになり、後期の作品の発表時には、コンサート会場でナチ党員によって組織された暴動が何度も起きました。そして舞台作品の上演は、ナチス当局による暴力的な干渉のため中断せざるを得なかったと言います。

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ヴァイルの代表作「三文オペラ」2013新国立劇場映像より

1933年にパリへ逃れることを余儀なくされたヴァイルは、その地でバレエ音楽や交響曲を完成させました。
1935年になるとアメリカ合衆国に移住してポピュラー音楽を研究し、数多くのミュージカル作品を残しています。(一部Wikipediaより)

この「ユーカリ」は、その頃(1934年)Jacques Deval の劇「マリーギャランテ Marie galante」の付随音楽として作ったものです。のちにロジェ・フェルネ (Roger Fernay、1905-1983) がフランス語の歌詞を付けました。

ユーカリ そこは憧れの国
ユーカリ それは幸せ そして喜び 
ユーカリ そこは悩みも忘れられる場所(歌詞一部)


■ ユーカリ (Youkali Tango Habanera ) / クルト・ヴァイル



■ タンゴはクラシックか?

以前、当「知られざる名曲」シリーズ 第6回で、シュニトケのタンゴ ココ をご紹介しましたが、クラシックの作曲家でもタンゴを書いた人はいます。もちろん、タンゴという音楽が発祥した後の18世紀後半以降になりますが、有名な曲は「アルベニスのタンゴ」です。

また、ビゼーのカルメンに登場する有名な「ハバネラ」は、フラメンコと混ざり合ってアルゼンチンに上陸し「タンゴのルーツ」になったと言われています。

アルフレッド・ハウゼ楽団の演奏で有名な「真珠採りのタンゴ」は、ご存じビゼーのオペラ「真珠採り(しんじゅとり)」中のアリア『耳に残るは君の歌声』が原曲です。タンゴのリズムがクラシック曲に馴染んだ好例です。

近年では、アルゼンチンのピアソラがいます。彼は音楽理論を学んで、総仕上げとしての「ピアノ・ソナタ」など、クラシカル作品を残しましたが、クラシックの作曲家を目指して渡仏し、やがてクラシック、ジャズの要素を融合させた独自の音楽形態を確立しました。


ユーカリ (Youkali Tango Habanera ) はタンゴですが、お洒落でクラシカルな作品です。ジャンルを超えてご紹介いたしました。







第177回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

「テレマンのアリア」、何と美しい曲でしょう。でも意外と知られていません。

この動画をアップされた方も、「パッヘルベルのカノン」や「アルビノー二のアダージョ」にも負けないこの曲を是非聴いてもらいたい、と言ってます。

テレマン(Georg Philipp Telemann、1681 - 1767 ) は、ヘンデルやバッハと同じバロック後期のドイツの作曲家です。

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画像 ACワークス(株)

300年も前、当時は テレビも CD も YouTube もありませんから、曲をヒットさせることは大変な事だったと思います。

サロンなどの会場で、著名な演奏家に弾いてもらうことが出来れば幸運ですが、楽譜が出版されることもままならぬ時代、プログラムに選曲されて演奏されるなど稀なことだったと思います。

こうして名曲であっても世に出る機会を失った作品が多く存在するのだと思います。


■ アリア / テレマン
原曲は、マニフィカト「Meine Seele erhebet den Herrn(わたしの魂は主をあがめ)TWV 9:18」 より「Der Hungrigen fullet er」



演奏は、クルト・レーデル指揮、ミュンヘン・プロアルテ管弦楽団。
少し年配のクラシックファンには懐かしい演奏団体です。






第178回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

ワールドカップで日本は強豪スペインに勝ちました!
そのスペインの作曲家(兼指揮者) ルイス・コボス( Luis Cobos. 1948 - )が今回の主役です。

非常に軽快で情熱的な音楽です。
題名の「サルスエラ」は、スペインの叙情的オペラ音楽で国民的人気があると言われています。

ルイス・コボスは、この「サルスエラ(1982)」で作曲家としての地位を不動にしましたが、それ以後も大衆に人気のクラシック曲、ムード音楽やオペレッタを書いて、スペイン音楽界の大御所として現在も活躍中です。

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彼の生まれた スペイン カンポ・デ・クリプタナ 画像ACワークス(株)
 

当シリーズでは久しぶりに心躍る音楽を選びました。
再生回数360万回超えの名曲です。


■ サルスエラ組曲 / ルイス・コボス



作曲者自身の指揮による情熱的な演奏です。
全身からあふれる音楽が会場を包んでいます。




 


第179回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、ポーランドの作曲家 ジグムント・ノスコフスキ (Zygmunt Noskowski, 1846 - 1909)を取り上げますが、同じポーランド出身のショパンの陰に隠れてでしょうか、彼の名前は日本ではあまり知られていません。

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画像 ACワークス(株)

ワルシャワで生まれ、ワルシャワで没した 当時のポーランド音楽界の重鎮ノスコフスキ の「エレジー風
ポロネーズ」を ギターデュオでお聴き下さい。(原曲はピアノ曲)

■ エレジー風ポロネーズ / ノスコフスキ



息の合った演奏は、クピンスキー・ギター・デュオ (Kupinski Guitar Duo) です。

来日公演を聴いた方もいらっしゃるかも知れませんが、二人(エヴァ・ヤチンスカ、Ewa Jabłczyńska とダリウス・クピンスキー、Dariusz Kupiński ) の、アイコンタクトを取った演奏はとても素敵です。

曲のタイトルはエレジー(悲しみ)となっていますが、この二人の演奏を聴くと、幸せな気分になれるのです。






第180回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける


パリ音楽院(コンセルヴァトワール)を卒業した 日本人作曲家 服部克久(1936-2020 83歳没)が今回の主役です。

ヒットシリーズ「音楽畑」を始め、「ル・ローヌ」、「Friends, Love, Believing」と今回の「自由の大地」は代表作でもありますので、この曲をご存じの方も多いと思います。

しかし意外とクラシックファンはこの名曲を知らないことも多く、今回は敢えて「知られざる名曲」に加えました。

4代続く音楽家

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お父上は「青い山脈」で有名な 服部良一氏、そして今回登場の 服部克久氏、そのご子息の作曲家 服部隆之氏、そのご息女のヴァイオリニスト 服部百音(もね)氏。4代続く音楽家はとても珍しいと思います。

ご参考 当ブログ記事 親子4代の音楽家 DNAの継承


■ 自由の大地 / 服部克久



出だしの美しいメロディが忘れられません。

この映像は、2021年11月16日・17日に新国立劇場で開催された服部克久追悼コンサートのものです。

指揮は 服部隆之氏。88名のオーケストラが、クラシックとポップスの架け橋になった服部サウンドを奏でます。






第181回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

新年恒例のニューイヤーコンサート。ウィンナワルツは、「美しく青きドナウ」など名曲のオンパレードです。

当知られざる名曲シリーズでは、ワルツ王と呼ばれた ヨハン・シュトラウス2世の弟、エドゥアルト・シュトラウス1世(1835ー1916, オーストリア ウィーン)の作った「ほたるのワルツ」を選曲しました。

この曲は、ウインナワルツとしては一級なのに何故か日本では演奏されません。

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ほたるは日本だけのものと思っていましたが、世界中に生息しているようです。もちろんウィーンにも。

日本では「蛍」にちなんだ曲がたくさんありますが、世界では「蛍」がタイトルに付く曲はあまりありません。

ちなみに、「蛍の光(スコットランド民謡)」も、原曲はオールド・ラング・ザイン(Auld Lang Syne)という曲で、蛍は登場しません。

蛍は幻想的で、乱舞する光の美しさも格別ですが、海外では音楽にあまり登場しないのは不思議ですね。



■ ほたるのワルツ(Leuchtkäferln-Walzer)/ エドゥアルト・シュトラウス1世









第182回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

演奏機会の少ない中南米のクラシック音楽には知られざる名曲が多く存在します。

中でも、メキシコの作曲家、マヌエル・ポンセ( Ponce, Manuel 1882-1948)は、交響詩やヴァイオリン協奏曲、歌曲、ギター作品を作曲しましたが、そのロマン的な作風は人気があります。

■ ご参考小さな星(エストレリータ)聴いたことがある方も多いと思います。

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画像 ACワークス(株)

今回は、200曲に及ぶピアノ曲を書いた ポンセの代表作「間奏曲第1番ホ短調」にスポットを当てました。


■ 間奏曲第1番( 
Intermezzo No.1 e-moll )/ ポンセ



こんなに心が満たされる演奏はあったでしょうか。まさにランランならではの魂の演奏です。

 





第183回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

誰もが認めるメロディメーカーと言えば、ロシアの作曲家 ラフマニノフ (Sergei Rachmaninoff、1873-1943)でしょう。甘く美しいメロディをたくさん書きました。

その中から、1902年に書かれた歌曲集「12の歌」の第7曲「ここは素晴らしい場所(How Fair this Spot) 」Op.21-7 を、今回はチェロの演奏で聴いてみたいと思います。

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画像 ACワークス(株)


「ここは素晴らしい場所」
 詩 G.ガリーナ

ここは素敵よ 見て、向こうよ
川は輝くばかりでしょ

草原は絨毯のように広がり
雲がぽっかり浮かんでいるわ

ここには誰もいない・・ただ静けさのみ
ここには神さまと私がいるだけ

美しい花々と年経た松と
そしてあなた 私の夢・・・

 

この曲は、ラフマニノフの妻 ナターシャに捧げられました。

■ ここは素晴らしい場所(チェロ版)/ ラフマニノフ



チェリストは、スペイン出身の パブロ・フェランデス(PabloFerrández)さん。

ピアニストは、ロシア出身の デニス・コジュヒン(Denis KOZHUKHIN) さん。
共に30代の若き芸術家です。






第184回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

「ペルシャの市場」で有名なイギリスの作曲家 アルバート・ケテルビー(Albert Ketèlbey, 1875 - 1959) の二度目の登場です。

前回ご紹介した「牧場を渡る鐘」も隠れた名曲でしたが、今回の ファントム・メロディも、まさにクラシックの知られざる名曲です。

■ 前回ご参考 牧場を渡る鐘 ケテルビー

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画像 ACワークス(株)

ちなみに、この3曲を作曲した年齢は、ファントム・メロディ(37歳)、ペルシャの市場(45歳)、牧場を渡る鐘(46歳)です。

ファントムメロディで世に出たケテルビーは、ペルシャの市場で大ヒットして、その後英国で最初の億万長者の作曲家になりました。

■ ファントム・メロディ (The Phantom Melody) /ケテルビー



夢の中を彷徨うような不思議な感覚。詩情豊かな小品です。






第185回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

チャイコフスキーの「こどものためのアルバム」作品39は、全24曲からなるピアノ曲集です。

今回は、その曲集の第16番「古いフランスの歌(Old French Song)」を選びました。

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画像 ACワークス(株)

この曲は、当時7歳であったチャイコフスキーの甥であるウラディーミル・ダヴィドフに捧げられています。

チャイコフスキーは後に、22歳になった ダヴィドフに「悲愴交響曲」について書簡を送っており、二人は音楽的に親密だったようです。

尚、チャイコフスキーは、「悲愴交響曲」の初演から5日後の 11
月2日に発病し、11月6日に亡くなっています。

この曲を聴きながらチャイコフスキーに思いを巡らせてみましょう。


■ 古いフランスの歌 / チャイコフスキー(
Tchaikovsky) ※繰り返しあり



美しくもはかなさを感じるこの作品。

子供のためのアルバムには似つかわしくないと言う人もいます。
しかし、この曲を習うことで豊かな感性が育まれることは間違いありません。






第186回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は、ジョン・フィールド(John Field, 1782 - 1837)のノクターン(夜想曲)に着目しました。

ノクターン(夜想曲)と言えばショパンが有名ですが、ショパン以前に世界で初めてピアノ曲として「ノクターン(夜想曲)」というジャンルを確立させたのが、ジョン・フィールドです。彼はショパンより38歳年上でした。

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画像 ACワークス(株)

ジョン・フィールドは、19世紀の初頭に活躍したアイルランドの作曲家兼ピアニストで、音楽の家系に育ち20歳の頃には、パリやウィーンなどヨーロッパ各地で名声を博していました。主な作品は、ピアノ協奏曲、ピアノソナタ、ノクターンなどピアノ曲が中心です。
ノクターン2番は、18曲ある彼のノクターンの代表的作品ですが、まだあまり知られていません。

■ ノクターン2番 ハ短調 / ジョン・フィールド

ピアノ演奏は、シカゴ生まれの韓国系ピアニスト エリザベス・ジョイ・ロウ (Elizabeth Joy Roe) さんです。

彼女の弾いた「フィールド:ノクターン全集」は、2016年レコード芸術誌の特選盤に選ばれています。






第187回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

スペインの作曲家 エンリケ・グラナドス(Granados, Enrique 1867-1916)の2度目の登場です。

曲名は「オリエンタル」。原曲はピアノ曲「スペイン舞曲 Op.37 第2番」ですが、今回はチェロの演奏でお聴き下さい。

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画像 ACワークス(株)

当シリーズでも書きましたが、グラナドスは悲劇の作曲家です。1916年1月、 グラナドス夫妻が乗船した客船サセックス号は、英仏海峡を渡航中、ドイツ軍潜水艦による魚雷攻撃を受け、夫妻はその犠牲となったのです。

戦争で犠牲になった音楽家はいますが、潜水艦の魚雷攻撃で亡くなった音楽家はグラナドス一人だと思います。

このとき、グラナドスはいったん救命ボートに救い上げられましたが、波間に沈もうとする妻アンパロの姿を見て再び海中に身を投じ、二人はもつれ合うように暗い波間に消えたといいます。グラナドス48歳でした。(一部Wikipediaより)

■ ご参考 知られざる名曲 第20回

どこか物悲しげな曲は、グラナドスの人生の最期を表しているかのようです。


■ オリエンタル(Oriental)/ グラナドス



情感豊かなチェロは、スペイン出身の若手チェリスト、パブロ・フェランデス(Pablo Ferrández)。
ピアノは、ロシア出身の実力派ピアニスト 
デニス・コジュヒンDenis KOZHUKHIN)です。

この二人の演奏家も2度目の登場になります。






第188回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

久しぶりに合唱曲を取り上げてみました。

日本の合唱界に燦然と輝いた作曲家 多田 武彦(ただ たけひこ、1930 - 2017)は、生涯に700曲にも及ぶ合唱曲を遺し、特に男声合唱の作品には定評があります。実は私も歌ったことがありますが、懐かしい思い出です。

1954年(昭和29年)に北原白秋の詩による男声合唱組曲『柳河風俗詩』を発表、この曲は彼の代表作になりました。当時としては数少ない男声合唱のレパートリーとして歓迎され、その後は銀行勤務の傍ら日曜作曲家として多数の作品を発表しました。(Wikipedia参考)

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画像 ACワークス(株)

今回は、組曲ではなく単独の男性合唱の曲です。
この曲は、当ブログに約8年前に載せております。

■ ご参考 コバケンの歌う 多田武彦


■ アカシアの径 / 作曲 多田武彦・作詞 鈴木薫 (多田武彦のペンネーム)



テノールソロは、ご存じ指揮者の「コバケン」こと小林研一郎です。美声です。

「ロマンティックなメロディ」、「切ない歌詞」、「甘い歌声」、三拍子そろった名曲です。


君と歩いた アカシアの径を
僕は一人で 歩いてゆく
君と探した しあわせの星は
夜霧の中に 消えてしまいそうだ

‥‥






第189回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

メキシコ人の現代音楽作曲家 アルトゥロ・マルケス(Arturo Márquez Navarro 1950-)の二度目の登場です。

Wikimedia Commons によると、マルケスは 1950 年アラモス生まれ、そこで音楽への関心が始まりました。
マルケスは、音楽家の父を持つ9人兄弟の長男ですが、音楽家になったのは彼だけでした。

幼い頃からメキシコの「サロン ミュージック」に触れたマルケスは、16 歳で作曲を始め、メキシコ音楽院に通い、1970 年から 1975 年までピアノと音楽理論を学びました。その後作曲を学び、そして1990 年にカリフォルニア芸術大学で作曲のMFAを取得しました。

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画像 ACワークス(株)

彼の音楽には、彼の母国メキシコのフォームとスタイルが組み込まれています。

以前ご紹介した知られざる名曲第11回 ダンソンNo.2で世界的に名を知られたマルケスのもう一つの傑作がこの「ミリアーノの伝説」です。

そのエネルギーに満ちた躍動感に魅了される方は多いと思います。今の日本の閉塞感を吹き飛ばしてくれる音楽です。


■ ミリアーノの伝説 
(Leyenda de Miliano) / アルトゥロ・マルケス



指揮は、アロンドラ・デ・ラ・パーラ(Alondra de la Parra )さん、メキシコ出身。その美貌と華麗な指揮ぶりが人気です。






第190回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

第190回目の知られざる名曲は、イギリスの作曲家 ナイジェル・ヘス(Nigel Hess、1953 -  )による夢見るような美しい曲を選びました。

この曲は、2004年のイギリスのドラマ映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のテーマ曲で、通常はヴァイオリンとオーケストラによって演奏されます。

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画像 ACワークス(株)

1936年。イギリス、コーンウォール。地方の美しい漁村に暮らす初老の姉妹。
二人は両親の残した屋敷と財産に恵まれ、庭の花々の手入れや読書を楽しみながら日々を穏やかに過ごしていた。

ある嵐の翌日、姉妹は眼下の浜辺に若い男性が倒れているのを発見する。彼はドイツ語をしゃべるヴァイオリニストだった。

姉妹は彼を看病して行くうちに彼に心を惹かれていく。(Wikipediaより一部転記)


■ ラヴェンダーの咲く庭で(Ladies in Lavender)/ ナイジェル・ヘス



高画質の自然美、地球にはまだこんな美しい風景が残っていました。

ヴァイオリンの ジョシュア・ベルは、(Joshua Bell, 1967 -  )は、アメリカインディアナ州ブルーミントンで生まれ。グラミー賞受賞者。 1985 年にセントルイス交響楽団と共にカーネギー ホールにデビュー以来世界的に活躍しています。

尚この曲は、フィギアスケートの浅田真央選手がショートプログラムで使用しました。この映像がまた素晴らしいのです。
リンクは https://www.youtube.com/watch?v=8445yRk3xa8(リンク切れはご容赦下さい)






第191回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

当知られざる名曲シリーズの第175回で、同名(NADA TE TURBE)の作品を紹介しましたが、今回(191回)の作品は作曲家が違います。

この曲は、フランスの典礼音楽の作曲家 ジャック・ベルティエ (Jacques Berthier 1923年6月27日 – 1994年6月27日) によって書かれたものです。余談ですが、誕生日と死亡日が 6月27日で偶然にも一致しています。

彼は、テゼで使用される音楽の多くを書いたことで最もよく知られています。

※テゼとは、フランス、ブルゴーニュ、ソーヌエ ロワールのテゼにあるエキュメニカルな キリスト教の修道会です。

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画像 ACワークス(株)

テゼは、若者に焦点を当てた、世界で最も重要なキリスト教徒の巡礼地の 1つになりました。世界中の 100,000人以上の若者が、祈り、聖書研究、分かち合い、共同作業のために、毎年テゼに巡礼します。コミュニティのエキュメニカルな展望を通じて、彼らは親切、単純さ、和解の精神で生きることが奨励されています。(Wikipedia海外版より)

■ NADA TE TURBE(恐れるな煩うな 1986年作)・ ジャック・ベルティエ



詩は、聖テレサ(1515ー1582)によって書かれました。
彼女は、スペインのローマ・カトリック教会の神秘家であり、修道院改革に尽力した人物です。

Nada te turbe,
nada te espante,
quien a Dios tiene
nada le falta.
Solo Dios basta.
Todo se pasa,
Dios no se muda,
la paciencia
todo lo alcanza

あなたを邪魔するものは何もありません
あなたを怖がらせるものは何もありません
恐れることもわずらうこともないのです
あなたはすでに神によって満たされています

 





第192回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

カナダの作曲家 ビル・ダグラス( Bill Douglas 1944- )は、音楽家の両親に恵まれました。父親はトロンボーンを演奏してビッグバンドで歌い、母親は教会でオルガンを演奏していました。

彼の最初の記憶は、3 歳のときにおもちゃの楽器を使ってワンマン バンドで演奏したことです。4 歳でピアノのレッスンを開始し、7 歳でウクレレとギターを独学で学びました。

13歳でファゴットを始め、クラシック音楽とジャズの両方に興味を持つようになり、14 歳で最初のジャズ曲を書きました。17 歳でクラシック ピアノの「トロント王立音楽院のアソシエイト」ディプロマを取得。

その後、トロント大学に通い、音楽教育の学士号を取得しました。この頃、彼は20 世紀のクラシック音楽に非常に興味を持ちました。1967 年、ダグラスはトロント交響楽団と3 つの協奏曲を演奏しました。彼は1968 年にファゴットを専攻して音楽修士号を取得し、1969 年に作曲で音楽芸術の修士号を取得しました。

彼はまた、ピアニストのピーター・サーキンらと共に クラシック室内楽の 3 つの RCA アルバムを録音しました。今ではカナダの作曲家、作家、音楽出版者協会(SOCAN)並びに米国作曲家、作家、出版者協会(ASCAP)に所属しています。

彼の作品は、世界中の主要なオーケストラや室内楽グループによって演奏されています。同時に彼は、コロラド州ボールダーのナロパ大学で29 年間教鞭をとっています。そして彼の音楽の CD は 13 枚リリースされています。(Wikipediaより一部転記)

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ダグラスは非常に前衛的な 無調音楽を書いていましたが、ロンドンで1 年間 作曲を学んだ後、1970 年から 1977 年まで、カリフォルニア州バレンシアのカリフォルニア芸術大学で教鞭を執りました。その頃には生徒たちのために叙情的な作品も手掛けるようになりました。

今回の曲も、とても聴き易いクラシック曲です。

■ A Place Called Morning / ビル・ダグラス



森の賛歌であるこの曲は、ピアノ、オーボエ、ファゴット、クラリネット、フルートがオーケストラに良く溶け込んで美しいハーモニーを奏でます。
自然を愛するすべての人に聴いて欲しい名曲です。

就寝前に聴けば、感謝に満たされて眠りにつくことが出来ます。是非お試し下さい。







第193回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

イ・ビョンウ (韓国語:  이병우  1965 - ) は、韓国の作曲家・ギタリストです。

主に映画音楽の分野で活躍中ですが、彼の基礎はクラシックで、その経歴は ソウル芸術大学、オーストリア ウィーン国立音楽大学 クラシックギター専攻(首席卒業)、米国 ジョーンズホプキンス大学校 ピーボディ(Peabody)音楽院とあります。

もともとこの曲は、韓国の人気シンガーソングライター ヤン・ヒウン(揚姫銀)が、デビュー20周年を記念して、当時国立ウィーン音楽大学に留学中の イ・ビョンウと合作で作った曲です。

そして、発売後5,6年たってテレビドラマでこの曲が使われてから人気が出始め、今では世界的なオペラ歌手 スミ・ジョーも歌っています。
https://youtu.be/YWXOofDqDjI (リンク切れはご容赦下さい)


クラシック曲ではありませんが、今回はチェロにアレンジされた叙情的な作品としてお聴き下さい。

■ 愛、その孤独 / イ・ビョンウ

チェロの演奏は、チョ・ユンギョン(조윤경)さん。「cello deck」と言う YouTubeチャンネルでは、フォロワーが 25.5万人と絶大な人気があります。


愛、その孤独


作詞:ヤン・ヒウン 作曲:イ・ビョンウ

人を愛するということは
孤独で寂しい
愛が終わってしまったら
この世も終わって
私のために輝いていたすべても
その輝きを失ってしまうだろう
(歌詞一部)






第194回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

イギリスの作曲家 ジョン・ミルフォード・ラター(John Milford Rutter CBE, 1945 - )の二度目の登場です。

ラターは、レクイエムやクリスマスキャロルなどの合唱を伴う宗教曲を多く書きましたが、今回は弦楽合奏の組曲から、美しい一品 「おお、ウェイリー、ウェイリー(
O, Waly Waly)1973年」 を選曲しました。この作品は彼の初期(20代)のものです。

尚、多くの宗教曲を書いたにもかかわらず、2003 年に米国のテレビ番組で、自分は特に宗教的な人物ではないと語っています。しかし、神聖な詩と祈りの精神性に触発されて作品を作ったとも述べています。

そして2007年には、彼は音楽の純粋性を数学の純粋性になぞらえ、高調波のピッチの周波数が整数比で関係しているという初期のギリシャ人による発見に言及して、この 2 つを結び付けました。(海外のWikipedia参照)

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画像 ACワークス(株)


「O, Waly  Waly」は、スコットランド起源の民謡が元で、その歌詞は概ね下記のようです。

おお、愛は美しく、素晴らしい
愛は真実であるとき熱く燃え
やがて愛は次第に冷めてゆく
そして朝露のように消えてしまう

■ おお、ウェイリー、ウェイリー / ラター
「弦楽のための組曲」第3曲より






第195回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回はウィンナワルツの創始者ともいうべき オーストリアの作曲家 ヨーゼフ・ランナー( Joseph Lanner, 1801 - 1843)にスポットを当てます。

ワルツと言えば、ヨハン・シュトラウスを始めとする シュトラウス一家が有名ですが、実はヨーゼフ・ランナーが ウィンナワルツの様式を最初に確立した「元祖ウィンナワルツ」! です。ワルツ、ポルカ、ギャロップ、など400曲以上の舞曲を作曲しました。

余りにもシュトラウス一家が有名で、今では彼の名前は陰に隠れていますが、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでは度々 ヨーゼフ・ランナーの作品が演奏されていますので聴かれた方もあると思います。

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■ ワルツ合戦(Wikipediaより)

ウィーンに於いて、ヨーゼフ・ランナーとヨハン・シュトラウス(1世)とは競合関係になり、世に「ワルツ合戦」と呼ばれる熾烈な競争を繰り広げることとなった。

両者の対立が決定的となったのは、1828年にウィーン郊外の舞踏場ボックで演奏を行った時である。ランナーとシュトラウスは揃って演奏したが、どういうわけか激しい口喧嘩が始まり、やがてヴァイオリンの弓や譜面台や太鼓のばちが空中を飛び交うありさまとなったという。


こうしてふたりの関係は完全にこじれたとされるが、現場目撃者の記録は存在せず、実際には乱闘事件はなかったとみる向きもある。ランナーはシュトラウスの自立に際して『訣別のワルツ』を作曲しているが、これは喧嘩別れをテーマにしたものではなく、シュトラウスの門出にあたって彼に贈ったものとも言われる。また、その翌年にランナーとシュトラウスは、慈善コンサートを一緒に開いている。

今回は、この「訣別のワルツ」をご一緒に聴きたいと思います。

■ 訣別のワルツ(Trennungswalzer, op.19)/ ヨーゼフ・ランナー



ウィンナワルツの父 ヨーゼフ・ランナーの「訣別のワルツ」1825年9月1日初演 は、どことなく寂しさを感じさせるワルツです。
しかし転調して明るさを取り戻し静かに終わります。
ライバルのヨハン・シュトラウス(1世)の門出を祝う ランナーの複雑な気持ちが良く表れています。

指揮は、ロベルト・シュトルツです。晩年には「ウィンナ・ワルツの伝統を保持する最後の指揮者」と呼ばれました。ウィンナ・ワルツを語る上で欠かすことの出来ない人物です。






第196回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

今回は韓国の作曲家 デボラ・ガヴェナー(deborah govenor、1954- )にスポットを当てます。

彼女は、オハイオ州立大学で作曲の DMA(D.M.A.=Doctor of Musical Arts=音楽博士号)を取得しました。

宗教的な合唱音楽の作曲家であり、セント アンドリュー ルーテル教会のオルガニスト、聖歌隊の指揮者なども勤めています。

この リメンバー・ミー(remember me)は、神聖で慰めに満ちた合唱曲です。誰もがハーモニーの美しさに癒されるでしょう。

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合唱は韓国のグラシアス合唱団。
グラシアス(Gracias)はスペイン語で『ありがとう』という意味です。グラシアス合唱団の音楽に特別な感動があるのは、団員一人ひとりが心に受けた感謝をもって演奏しているからです。多様なジャンルの幅広いレパートリーで、世界最高権威の合唱コンクールで最高賞及び大賞を受賞しました。(合唱団サイトより)

合唱団の指導者は パク・ウンスク(Eunsook Park,1972ー ) 。サンクトペテルブルク国立音楽院 で合唱指揮の学士号と修士号を取得しました。

彼は、2000 年にわずか 8 人のメンバーで設立されたグラシアス合唱団を 20 年以上にわたって率い、世界有数の合唱団に育て上げました。
特に、2015年ドイツのマルクトオーバードルフ国際室内合唱コンクール混声部門大賞、特別賞受賞の実績は、韓国合唱界に多大の貢献をしたとされます。


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ドイツ マルクトオーバードルフ(Wikipediaより

 

■ リメンバー・ミー(Remember Me)/ デボラ・ガヴェナー



In the night in which our Savior was betrayed
He broke the bread and to His friends He said
"Take and eat, this is my body given for you
Take and drink, this blood of mine is shed for you
Do this always to remember me Remember me."

イエスが裏切られた夜、 彼はパンをさき、弟子たちにこう言いました。
これは今日、あなたに与えられた私の体です。
これは今日、あなたのために流された私の血です。
私を記念してこれを行い、私を覚えておいてください。 (歌詞一部)







第197回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

ソビエト連邦のドイツ・ユダヤ系作曲家、アルフレート・シュニトケ(Alfred Schnittke, 1934 - 1998)の二度目の登場です。

彼は、ウィーンで音楽を学んだ後、モスクワ音楽院に進んだ古典クラシックの作曲家ですが、前衛音楽や軽音楽、映画音楽にも才能を発揮しました。

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この作品は、1977年にアレクサンドル ザルキ監督が監督したソビエト映画「無名俳優の物語」(The Story Of An Unknow Actor)のワンシーンの音楽です。

当知られざる名曲シリーズで、旋律が際立って美しい作品の一つです。是非最後までお聴き下さい。

■ Waltz of Farewell(別れのワルツ)/ シュニトケ(Schnittke)



シュニトケはメロディがきれいです。次回198回もシュニトケをご紹介します。ご期待下さい。


ご参考  知られざる名曲第6回 タンゴ・シュニトケ






第198回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

前回(197回)に続いて シュニトケ(Alfred  Schnittke,1934 - 1998)の作品を選びました。

この曲は、組曲「旅のおとぎ話」(A Fairy Tale Of Travels)の15曲目「愛の宣言」という美しい小品です。詳しいデータはありませんでしたが、Film Music(映画音楽)として書かれたものです。

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画像 ACワークス(株)

今回は、フランク・シュトローベル指揮の ベルリン放送交響楽団の演奏でお聴き下さい。

■ 愛の宣言(Declaration of Love)/ シュニトケ









第199回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

日本では無名に近い19世紀フランスの作曲家 フェリシアン・ダヴィッド(Félicien David, 1810 - 1876)が、本日の主役です。

彼は、二十歳のころにパリ音楽院に入学しましたが、やがて中近東を広く旅行して異国のさまざまな民族音楽や民謡に接し、そのときの印象をもとに、帰国後に中東風の楽想を多用した交響的オード《砂漠》(Le Désert 1844年)を作曲、成功を収めました。

そして19世紀フランス音楽における異国趣味の走りとなり、あのビゼーも称賛したと言います。その後のピアノ曲やオペラにも、異国趣味を扱った作品を発表しましたが、その代表的なオペラ作品が、今回取り上げる「ヘルクラネウム (Herculanum、1859年) です。(一部Wikipediaより)

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ヘルクラネウム遺跡 画像 Wikipediaより

ヘルクラネウムは実在した古代ローマの町で、ポンペイ、スタビアエオプロンティスと共に79年のヴェスヴィオ火山噴火により失われたことで知られています。

このオペラは、フランス語のテキストによる壮大なグランドオペラです。
パリでは、 1859 年 3 月 4 日にオペラ座で初演されました。豪華な舞台セット、壮大な音楽、オペラとバレエの一流スターが出演して大成功を収め、ベルリオーズも称賛しました。そして以後パリ オペラ座で 74 回上演されたと言われています。


■ オペラ「ヘルクラネウム」序曲/ ダヴィッド









第200回 知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける

記念すべき第200回の 知られざる名曲は、満を持して マスネの「エレジー(悲歌)」にいたしました。

フランスの作曲家 マスネ( Massenet, 1842- 1912)と言えば、日本では何と言っても「タイスの瞑想曲」が有名です。
しかし何故か、それ以外の作品は全く知られていないのが現状です。

彼はオペラが有名ですが、オーケストラ曲、バレエ曲、宗教曲、そして200曲を超える歌曲を作曲しました。
「タイスの瞑想曲」一曲だけでは、余りにも可哀想です。

尚、当シリーズでは、第94回「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」で、マスネを取り上げていますが、とてもロマンティックな名曲(オペラアリア)です。
良かったら、ご参考にもう一度お聴きください。 春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか


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その叙情的で甘いメロディ、フランスの香りは、今なお世界中で愛されています。

■ エレジー(Élégie)/ マスネ


ヴァイオリン演奏の ジョシュア・ベル(Joshua Bell, 1967 - )は、アメリカ合衆国のヴァイオリニスト。グラミー賞受賞者。