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    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2025年2月の7件の記事

2025年2月24日 (月)

知られざる名曲 第296回 奇想曲イタリアより「Qui Son Nato」/ 久保田 孝

久しぶりに日本の作曲家、それもマンドリン界にスポットを当ててみようかと思いました。

マンドリンは、イタリアで生まれましたが、日本は世界一マンドリンが盛んな国です。

ただ、近年はマンドリン音楽は衰退しています。学校のギターマンドリン(ギタマン)クラブは、部員が足りず、指導者も不足していて、廃部に追い込まれています。地方ではマンドリンのコンサートも滅多に聴けなくなりました。


日本のマンドリン界の草分け的存在として知られ、名古屋にゆかりのあった故中野二郎さんは、

日本のマンドリン音楽の在り方が、総体に演奏会を開くためのものゝのようで、勢い大編成の大掛かりなものばかりに眼が行って、無数に存在する佳曲が埋もれた儘(まま)に忘れられています。それどころか楽器店にはマンドリンも無く、書店には何一つ関係書籍は見あたらずという現状では、どうにも発展のしようがないのですが、又それをさして痛傷とも感じないようなところに致命的なものがあります。(1993.2)

と語り、マンドリン界の現状に憂慮しています。(マンドリンアンサンブル・ヴォールテンペリーレンHPより転記)



マンドリンを応援する意味で、今回の「知られざる名曲」は、久保田 孝 (1942- ) 作曲の「奇想曲イタリアより "Qui Son Nato" 」を選曲しました。

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画像 ACワークス

久保田 孝は、古賀政男が創設した 明治大学マンドリン倶楽部出身で、大学卒業後の1968年 西ドイツへ留学し、カールスルーエ音楽大学指揮科、その後 1972年ウィーン国立音楽大学指揮科で ハンス・スワロフスキーに師事。指揮者としての研鑽を積みました。

帰国後、指揮者として活動し、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、群馬交響楽団、新星日本交響楽団、日本新交響楽団などを指揮して高評価を得ました。

作曲家としては、マンドリンオーケストラ曲の活動は明治高等学校在学中より始まり、現在に至るまで数多くの曲を手掛け、マンドリン界で好評を博し日本全国各地のマンドリン楽団での演奏機会も多数あります。(一部Wikipediaより)


■ 奇想曲イタリアより「Qui Son Nato」/ 久保田 孝

チェロ独奏:髙橋 麻理子
指揮:久保田 孝
演奏:EUPHORIA 上智大学ソフィアマンドリーノ 合同オーケストラ

 

チェロの独奏が、哀愁のあるマンドリンの音色に良くマッチしています。

 

2025年2月19日 (水)

知られざる名曲 第295回 クラリネットとピアノの為のソナタ より「アンダンテ」 / メンデルスゾーン

メンデルスゾーンが、1824年に15歳で書いたこの「クラリネットとピアノのためのソナタ」。

今回は、その2楽章「アンダンテ」 ト短調を聴きます。わずか2分の素敵な曲です。

技巧的なところはなく、あくまでも「カンタービレ(cantabile)」で、歌うようなメロディが特長です。

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画像 ハンブルグ ACワークス


余談ですが、彼はこの作品を書く前年、バッハの「マタイ受難曲」の写筆スコアを母方の祖母よりクリスマス・プレゼントとして贈られています。

「マタイ受難曲」のスコアをプレゼントするおばあちゃんも凄いですが、その後、弱冠20歳で「マタイ受難曲」を指揮したメンデルスゾーンも凄いと思います。この日以降、100年間忘れ去られていた バッハの「マタイ受難曲」など声楽曲が復活して現在に至っています。

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Concertgebouworchestra performs Bach's St Matthew Passion


■ クラリネットとピアノの為のソナタより 「アンダンテ」 / メンデルスゾーン



クラリネット演奏は、ドイツのイェルク・ヴィトマン (Jörg Widmann)。
ピアニストは、同じくドイツのアニカ・トロイトラー(Annika Treutler )。


2025年2月12日 (水)

知られざる名曲 第294回 Joined hearts(繋がる心) / エヴァンシア・レブツィカ 

世界で初めて映画音楽を書いたのは作曲家 サン=サーンスです。
 ご参考 映画「ギーズ公の暗殺」(1908年 仏映画『ギーズ公の暗殺』上映時間15分)

以後、プロコフィエフ、コルンゴルト、ショスタコーヴィッチ、サティなどの大作曲家も映画音楽を書きました。日本を代表する 山田耕筰も映画音楽を書いた一人です。

その流れは、マックス・スタイナー 、ミクロス・ローザ 、エンニオ・モリコーネやニーノ・ロータ、ジョンウイリアムズ、日本では伊福部昭、武満徹、久石譲、坂本龍一などに引き継がれ、クラシック現代音楽が聴衆から離れる中、映画音楽が聴衆の心をつかむことになりました。もう映画音楽を抜きにして音楽を語ることは出来ません。

当「知られざるクラシック名曲」シリーズでは、今後もクラシック音楽と同様に、映画音楽にスポットを当てて皆様にご紹介したいと思います。

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画像 ACワークス

今回は、ギリシャの作曲家 エヴァンシア・レブツィカ (Evanthia Reboutsika 1958- ) が書いた、トルコ映画『Two Hearts as One 』(ハサン・キラチ監督 2014年)の劇中曲「Joined hearts(直訳=繋がる心)」です。

エヴァンシア・レブツィカは、6歳の時にパトラス音楽院でバイオリンを学び始めました。その後、アテネ音楽院、ギリシャ国立音楽院、パリのエコール・ノルマル音楽院で学びました。幼い頃から兄妹とカルテットを組んで演奏し、ギリシャ国内外でツアーをしていました。

彼女の作品は、ローマ国際映画賞、カンヌ・インディーズ映画賞、ロンドン・ギリシャ映画祭などで受賞に輝き、国際的に高く評価されています。(公式サイト)


■ Joined hearts(繋がる心) / エヴァンシア・レブツィカ


1940 年代のツェネットの盛大な結婚式が映し出される。若いツェネット (ハンデ・ソラル) は、村の人気者ニヤズ (セルカン・シェナルプ) と結婚する。 2 人は深く愛し合っているが、不幸なことに、翌日、ニヤズはソ連軍に連行され、ドイツ軍と戦う軍隊に加わる。ニヤズは妻と離れ離れになり、スターリングラードの瓦礫の中で、妻のもとに戻る日々を想う。

 

■ ご参考

知られざる名曲 第121回 鉄道駅/ エヴァンシア・レブツィカ

 

 

2025年2月10日 (月)

知られざる名曲 第293回 情熱的でメランコリックなアダージョ / ボッテジーニ

コントラバスの名手でイタリアの作曲家、指揮者の ジョヴァンニ・ボッテジーニ(Giovanni Bottesini, 1821 - 1889)の、当知られざる名曲シリーズ2度目の登場です。

曲は「情熱的でメランコリックなアダージョ(Adagio Melanconico ed Appassionato)です。

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画像 イタリア クレマ   ACワークス

ボッテジーニは、クラリネット奏者で作曲家であった父親から音楽の基礎を教わりましたが、11歳頃にはティンパニを演奏することになりました。

多彩な音楽的才能があり、その後 ヴァイオリンを学び、最終的には奨学金のあるコントラバスで、ミラノ音楽院に入学しました。

ミラノ音楽院を卒業する時には、ソロ演奏が認められ300フランの賞金を手にしました。このお金で著名なコントラバス製作者 カルロ・ジュゼッペ・テストーレ の名器を購入し、「コントラバスのパガニーニ」として世界を飛び回るキャリアがスタートしました。

■ 情熱的でメランコリックなアダージョ / ボッテジーニ
 Adagio Melanconico ed Appassionato

コントラバス演奏:ジョエル・クアリントン (Joel Quarrington、 カナダ) 

ピアノ:アンドリュー・ブラシュコ (Andrew Burasko、カナダ)

ご参考↓

知られざる名曲第98回 コントラバス協奏曲第2番


関係のない話

■ 猛暑と極寒の日本列島

夏は連日の猛暑でした、冬は暖かいかと思いきや、当地は3日連チャンの雪。
地球温暖化はどこへやら、寒さも暑さも厳しい日本。
こんな時はクラシック音楽を聴いて、せめて心の中は爽やかに過ごしたいものです。

■ クラシックは広がっている?

久しぶりに入ったうなぎ屋さん。何とBGMは「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。
う~ん、「うな丼」と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。不思議なミスマッチ。
クラシック音楽は、うなぎ屋さんにも進出しているのか・・・

2025年2月 5日 (水)

知られざる名曲 第292回  エチュード 嬰ニ短調 作品8-12 / スクリャービン

ロシアの作曲家 アレクサンドル・スクリャービン(Alexander Scriabin, 1872 - 1915)が作曲した 練習曲嬰二短調作品8-12は、クラシックファンなら聴いたことがある名曲です。あのピアニスト ホロヴィッツが、いつもアンコールで弾いたことでも有名です。

ただ今回は、オーケストラバージョンです。その意味で今回の知られざる名曲に選んだわけです。

※本来はピアノ協奏曲風のバージョンをアップしましたが、リンク切れとなり、今回のオーケストラバージョンに差し替えました。ご了承下さい。

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画像 ACワークス


トルストイはスクリャービンの音楽を「天才の真摯な表現」と評した。スクリャービンの作品は時を経て音楽界に顕著な影響を与え、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、シマノフスキなどの作曲家にインスピレーションを与えた。

しかし、ロシアの音楽界、そして国際社会におけるスクリャービンの重要性は、彼の死後大幅に低下した。伝記作家ファビオン・バウワーズによると、「生前これほど有名だった人物はおらず、死後これほどすぐに無視された人物もほとんどいない」という。

それでも、1915年4月16日のスクリャービンの葬儀には、あまりにも多くの人が参列したため、切符を買わなければならなかった。棺を担いだラフマニノフはその後、遺族のためにスクリャービンの曲だけを演奏するロシア大旅行に出た。

彼の音楽美学は1970年代から再評価されており、出版された10曲のピアノソナタやその他の作品はますます支持され、近年大きな称賛を集めている。(海外版Wikipedia参照)

■ エチュード 嬰ニ短調 作品8-12 / スクリャービン

少し前の録音のため、音質は良くありません。

指揮 / ハンス・キンドラー
管弦楽 / National Symphony Orchestra (国立交響楽団)
編曲 / LaSalle Spier(ラサール・スパイア)

2025年2月 3日 (月)

知られざる名曲 第291回 弦楽四重奏曲第16番 第3楽章 / ベートーヴェン 

小澤征爾が亡くなってもうすぐ1年が経ちます。(2024年2月6日逝去 享年88歳)

今回の知られざる名曲は、追悼の意味も込めて、生前 小澤征爾が指揮した、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番の第3楽章を、弦楽合奏で聴いてみたいと思います。(抜粋)

死の5か月前に完成したこの作品は、ベートーヴェンの弦楽四重奏最後の作品で、白鳥の歌(生涯最後の作品)といっても良いと思います。

一方、クラシックファンであっても、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は取っ付きにくいという人が多いのは事実です。

そんなクラシックファンに是非聴いて欲しい1曲です。

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画像 ACワークス


特に深い情感を湛えた、この弦楽四重奏曲第16番の第3楽章は、ベートーヴェンが長い闘病生活の中にあって垣間見た彼岸の世界を連想させます。

何と言っても、小澤征爾 入魂 の演奏です。つい美しくも深遠な音楽の世界に引き込まれるでしょう。


■ 弦楽四重奏曲第16番 第3楽章 / ベートーヴェン  ※抜粋版(3分20秒)



この3楽章を全部(約9分)聴きたい方は→https://www.youtube.com/watch?v=oGsnJn7yI6c
終演して長い間の沈黙をお聴き下さい。沈黙の中に音楽があります。


演奏:スイス小澤征爾国際アカデミー 小澤征爾指揮弦楽アンサンブルオーケストラ


尚、当日の演奏を全部(29分35秒)聴きたい方は→https://www.youtube.com/watch?v=s43TPuZsQTY 

2025年2月 1日 (土)

知られざる名曲 第290回 ロータスランド(蓮の国) / シリル・スコット

イギリスの作曲家 シリル・スコット(Cyril Meir Scott, 1879 - 1970)に焦点を当てます。曲は「ロータスランド(蓮の国)」です。

蓮(ハス)は、中国やインドなど東洋の花です。画家モネも「睡蓮」を描きましたが、シリル・スコットは音楽で表現したようです。


東の浜辺のまばゆいばかりのドームを照らす 、まばゆい夜明けの輝きに 照らされ、
蓮華の女神は嘆き悲しむ!
蓮華の国の夢のような世界に迷い込んだ。蓮華の国で迷った彼女は、はるか遠くの蓮の芝生を眺める。
・・・

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画像 ACワークス

彼は幼少期から楽才を発揮し、12歳でフランクフルト・ホッホ音楽院ピアノ科に入学し、21歳で最初の交響曲を完成させている。1909年に自作のピアノ曲を6曲ウェルテ・ミニョン(英語版)社のピアノロールに録音している。

1921年にローズ・アラティーニと結婚し、娘 ヴィヴィアン・メアリーと息子 デズモンド・シリル を儲けるが、2人は第二次世界大戦後に別居している。1943年にマージョリー・ハーツトンと出会い、没年まで愛人関係を結んだ。

亡くなる3週間前まで作曲活動を続け、91歳で他界した。亡くなる頃には、スコットは過小評価されるようになっていた。再評価が始まったのはつい近年のことである。(以上Wikipediaより)

「イギリスのドビュッシー」とも呼ばれ、ロマン派と言っても、やや印象主義的な作風で、交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノ作品から歌劇までおよそ 400曲もの作品を遺しました。



しかし何と言っても彼の特長は、健康に対する独自の信条にありました。

スコットは代替医療、健康食品、自然療法、哲学、スピリチュアル、ヨガに興味を持ち、一連の本やパンフレットで、ガン患者に対しても食事療法や代替医療を提案し、西洋医学による医療や手術を避けるよう促しました。

バレエ「無能な薬剤師(1923)」などに彼の西洋医学への不信感が現れています。
また生涯を通じて、医学や健康法、ガン予防・治療法など多くの著書(41冊)を執筆しています。



尚、原曲はピアノ曲ですが、世界的ヴァイオリニストで作曲家のクライスラーがヴァイオリンに編曲しています。

■ ロータスランド(蓮の国)Lotus Land  / シリル・スコット クライスラー編曲版



レイ・チェン - Ray Chen (ヴァイオリン)

ジュリアン・クエンティン - Julien Quentin(ピアノ)


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