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インドの詩人、思想家 タゴール(Rabindranath Tagore, 1861 - 1941)。
インド国歌の作詞作曲者としても知られています。1913年にはアジア人初のノーベル文学賞を受賞しました。
そのタゴールが書いた「海の沈黙 地のざわめき 空の音楽」という有名な言葉(詩)があります。
意味は、単純に解すると以下のようになります。
海の魚は、喋ることができないので沈黙しています。
地上の人間(獣)は、騒がしくざわめいています。
空を飛ぶ鳥たちは、さえずり歌い音楽を奏でます。
クラシック音楽には、空を飛ぶ鳥たちを音楽にしたものが多くあります。
作曲家には、鳥たちのさえずりが音楽に聞こえたのでしょう。
鳥からインスピレーションを得て作られた音楽の中から、今回は当シリーズ初登場の、イギリスの作曲家 ディーリアス(Frederick Theodore Albert Delius CH, 1862 - 1934)を選びました。
ディーリアスはクラシック音楽の表舞台では目立たない存在でしたが、その自然描写的な作風にはヒーリング音楽といえる安らぎがあります。
彼はフランスに移住して本格的に作曲家としてのキャリアをスタートさせたものの、晩年は盲目と全身麻痺に苦しみながらも弟子に口述筆記させることで作曲しつづけた作曲家です。美しい音楽ばかりですが、彼の晩年の苦悩はあまり知られていないようです。
■ 高い庭園の鳥 / ディーリアス
イギリスのチェロ奏者ジュリアン・ロイド・ウェバー(1951-)によるチェロ編曲版
当ブログ 海の沈黙 地のざわめき 空の音楽 ご参照下さい
フランスの作曲家 ジョルジュ・ドルリュー(Georges Delerue 1925 - 1992)は、奨学金を得て1949年名門パリ音楽院を卒業すると、作曲家の登竜門として世界的に知られる「ローマ賞」を受賞(2位)してイタリアに留学しました。
1957年には、初のオペラ「Le chevalier de neige」を作曲。その後も 短編ドキュメンタリーなどを手掛けましたが、1959年、日仏合作映画『二十四時間の情事 』で初めて映画音楽の作曲をして注目を集めました。
フランス国民からは、映画のナンバー・ワン・コンポーザーは、ミシェル・ルグランでもなく、フランシス・レイでもなく、ジョルジュ・ドルリューだと愛されました。そしてミシェル・ルグランは、彼を『最高の作曲家』と称賛したと言われています。
普遍的な美しさに満ちた ジョルジュ・ドルリューの音楽を聴きながら、この1年を振り返りたいと思います。
いつしか心が浄化され、感謝でいっぱいになる自分を発見することでしょう。
■ メモリーズ・オブ・ミー / ジョルジュ・ドルリュー
ヴァイオリン演奏は、1976年生まれのフランスのヴァイオリニスト ルノー・カプソン(カピュソン)。
指揮は、作曲家としても活躍する英国の若手指揮者ダンカン・ウォード。
オーケストラは「レ・シエクル」管弦楽団です。
今回はスペインの作曲家 ジェロニモ・ヒメネス(Gerónimo Giménez 、1854 - 1923)にスポットを当てます。
彼は17世紀にセビリアで生まれたスペインの伝統的な舞台芸術「サルスエラ」の作曲家として名声を博しました。
「サルスエラ」は、スペインの叙情的オペラ音楽といわれますが、オペラではなく大衆エンターティンメント音楽劇です。サルスエラ宮殿で上演されたことから「サルスエラ」と呼ばれています。
イタリアオペラと違う点は、スペインが舞台である点、悲劇ではなく喜劇である点、上演時間が短い点(1幕もの)、歌があまり技巧的でない点などです。それだけ大衆に親しまれてきました。
■「ルイス・アロンソの結婚式」あらすじ
舞台は1840年、街で最も有名なダンス教師ルイス・アロンソ(50過ぎの気のいいおじさん)の結婚式が行われようとしていた。ルイス・アロンソは自分よりずっと若い女性と結婚することになっている。ただ、その女性には彼氏(元カレ)がいる。
何と結婚式当日に、元カレが牛を連れて式場に乱入! ちょっと脅かしてやるつもりだったのですが、客は一斉に避難し、式場は大騒ぎになります。
ルイス・アロンソは、花嫁を置いて逃げ出しますが、ケガをするやら、面目を失うやら、踏んだり蹴ったりとなります。
■ 「ルイス・アロンソの結婚式」間奏曲 / ヒメネス
演奏は、パブロ・エラス=カサド 指揮 / フランクフルト放送交響楽団
■ ご参考
日本では無名の台湾の音楽家 羅 大佑(ルオ・ダーヨウ 1954 - )が作曲した、台湾映画「輝ける日々(闪亮的日子)」のテーマ音楽を合唱バージョンでお楽しみいただきます。
画像 ACワークス(株)
羅大佑は、医師の家庭に生まれました。父親は彼が医師になることを望んでいましたが、彼は音楽も好きで、5 歳でピアノを習い始めました。
成長した彼は、学生時代に皮膚科を選択しました。父親から音楽をやることは許可されていましたが、医師としてのキャリアを諦めることはできなかったらしくその後、羅大佑は父親の希望により中国医科大学医学部に入学しました。
しっとりとした美しい作品です。
合唱ファンなら、歌ってみたくなる曲ではないでしょうか。
演奏は、海南リスニング合唱団、海南リンクストリングオーケストラ
この曲は、もちろん原曲はピアノ曲ですが、今回はヴァイオリンでお聴き下さい。
韓国のヴァイオリニスト ハンス・ジン(Soojin Han 한수진 1986- )の、全身全霊を傾けた極上の演奏です。
画像 ACワークス(株)
曲の説明は省き、ヴァイオリン演奏の ハンス・ジン氏について解説します。
韓国出身のハンス・ジンは、生まれながらにして左耳が聴こえませんでした。
実はこれは遺伝性の難聴で、彼女の母も祖父も難聴だったようです。
それでも、父親が英国で博士号取得を目指していたため、彼女は英国に移住しました。そして幼少時に母が演奏するバイオリンを聞いて音楽に目覚め、5歳でピアノを始め、7歳でバイオリンを習い始めました。
その後は、世界的なヴァイオリニスト ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin)の音楽学校のオーディションに合格。英国最古のパーセル音楽学校に転校。わずか12歳でロンドンのウィグモアホールでコンサートを行い、15歳でヴィェニャフスキ国際コンクールに最年少参加して韓国人初の2位を受賞しました。
この頃、指揮者チョン・ミョンフンから"天からの才能"と絶賛されました(以後6回共演)。
成人して、オックスフォード大学で音楽学(musicology) を修了し、名門英国王立音楽大学(Royal College of Music)を経て、クローネバグアカデミー(ドイツ)トップパフォーマー課程を卒業しました。
■ ノクターン20番ハ短調遺作 / ショパン
ピアノは、韓国生まれの リー・シヒョン(Sihyun Lee 이시현 1991- )。