知られざる名曲 第153回 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 /コルンゴルト
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold, 1897 - 1957)はオーストリア出身のアメリカ合衆国の作曲家・指揮者です。近年日本でも知られるようになりました。
今回は、コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35 第1楽章」をお聴き下さい。
その新鮮な音楽の響きに驚かれると思います。
■ 絶賛の嵐
コルンゴルトは、モーツァルトと同じ名前(ヴォルフガング)と相まって「モーツァルトの再来」と呼ばれる程の神童ぶりであった。
9歳の時に作曲したカンタータを聴いたマーラーは、「天才だ!」と叫んだという。
11歳の時に作曲したバレエ音楽『雪だるま』はウィーン宮廷歌劇場で皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の御前演奏として初演され、万雷の拍手をもって迎えられた。
その後も、作曲家 リヒャルト・シュトラウス、名ピアニスト、アルトゥール・シュナーベル、ベルリン・フィルの大指揮者 ニキシュ、イタリアの作曲家 プッチーニなどから絶賛され、ウィーン市から芸術勲章を、オーストリア大統領からはウィーン音楽大学名誉教授の称号を贈られた。
さらに1932年、新聞『新ウィーン日報』のアンケートで、シェーンベルクと並んで存命する最高の作曲家に選ばれた。その後、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、歌曲、編曲と旺盛な音楽活動が続き、結局この時期が事実上、作曲家コルンゴルトの絶頂期であった。
■ 映画音楽への進出
名声はあったものの、コルンゴルトは生活のために映画音楽を書くことになったが、それでも美しい旋律、優れた管弦楽法は、緩みきった映画音楽業界に革命をもたらした。
1935年に、初期の傑作『海賊ブラッド』を書き大絶賛された翌年、1936年に『風雲児アドヴァース』でアカデミー作曲賞を受賞。この作品は、40以上のライトモチーフを使い、オペラ並みの作品に仕上げられていた。
1938年には『ロビンフッドの冒険』で2度目のアカデミー賞に輝く。
画像 ACワークス(株)
■ 前衛音楽全盛、失意の晩年
ヒトラーが倒れるまで純粋な音楽作品の創作を封印していたコルンゴルトにとって、第2次世界大戦の終結は転機となった。
1946年、『愛憎の曲』を最後に、純音楽作曲家に戻るべく、新作を携えウィーンを訪れるも、当時の映画音楽に対する評価の低さや、後期ロマン派的作風は前衛音楽全盛の音楽業界から受け容れられず、「映画に魂を売った下等な作曲家」というレッテルを張られて事実上ウィーンの楽壇から抹殺され、失意の内にハリウッドに戻り、不遇の中、同地で1957年、脳出血で死去した。2曲目の交響曲を作曲中だった。遺体はハリウッドのハリウッド・フォーエバー墓地に埋葬されている。
■ 再評価
没後の再評価は1970年代、彼自身の映画音楽から始まった。二男のジョージ・コルンゴルトがプロデュースした、チャールズ・ゲルハルト指揮、ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団演奏による映画音楽集のレコードが良好な売れ行きを示した頃から、コルンゴルトの音楽の再評価が始まる。前記したように、ジョン・ウィリアムズなどの、シンフォニックタイプの作曲家に与えた影響は大きい。
また、ラインスドルフ指揮によるオペラ『死の都』、ケンペ指揮による『交響曲 嬰ヘ調』のレコード等で、彼のクラシック音楽の再評価も始まるなど、『コルンゴルト・ルネッサンス』の端緒がここに始まった。
現在、欧米においてはコルンゴルトに対する偏見は少なくなり、20世紀のクラシック音楽の作曲家の一人として、その作品は多くのCDがリリースされ、一流演奏家もコンサートで取り上げている。
(以上一部Wikipediaより転記させていただきました)
■ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 第1楽章 /コルンゴルト
演奏は、ヴァイオリン、アンネ=ゾフィー・ムター(Anne-Sophie Mutter)アンドレプレヴィン指揮 · ロンドン交響楽団(London Symphony Orchestra · André Previn)です。
出だしの甘い旋律、あふれる情感、実に新鮮で官能的でもあります。
この曲は、世界的ヴァイオリニスト ヤッシャ・ハイフェッツにより初演されました。
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