知られざる名曲 第158回 運命の歌 op.54 / ブラームス
今回はブラームス(Johannes Brahms、1833 - 1897) の「運命の歌 op.54」を取り上げました。題名は知られていますが、意外と聴く機会の少ない曲です。
■ 格調の高さを聴く
クラシック音楽の代名詞のような ブラームスの「渋い音楽」は、熱烈なファンがいる反面、やや苦手な人もいるかも知れません。
その苦手な人に是非聴いてもらいたいのが、今回の「運命の歌」です。純然たるクラシックの曲ですが、美しく格調の高い曲です。
画像 ACワークス(株)
メロディアスで聴き易い音楽とは言いませんが、ブラームス一流の品位があります。
「崇高かつ厳粛」、「清廉で高潔」、「高い精神性と品格」、「高雅で漂う気品」、あらゆる賛辞を駆使しても余りある 格調の高い音楽がここにあります。
「運命の歌」作品54は、混声合唱と管弦楽のための作品で、詩はドイツの詩人ヘルダーリン(1770‐1843)の長編小説『ヒュペーリオン』によります。
■「ヒュペーリオン」あらすじ
主人公の青年ヒュペーリオンは,祖国ギリシアの独立のため露土戦争(ロシア・トルコ戦争) に加わる.激戦のなか九死に一生を得るが、愛する恋人を病で失い、やがて悲しみのなか祖国を離れドイツへと赴く…….主人公が友人や恋人に宛てた書簡の形式によって内的経験を物語る、抒情性と省察に満ちた哲学的教養小説。(岩波書店サイトより転記)
ブラームスは、ある朝早く、本棚でヘルダーリンの詩を見つけ、運命の歌に深く感動したといいます。
至福の精霊たちよ!
あなた方は天上の光の中
やわらかなところを行き交う
輝かしいそよ風が
聖なる弦をつまびく 女たちの指のように
あなた方に ほのかに触れてゆく(一部記載)
■ 運命の歌(Schicksalslied) op.54 / ヨハネス・ブラームス
コロナ禍で、オーケストラも合唱団もスペースを取って演奏に臨んでいます。客席もまばらです。
何年か後に、こんなこともあったと懐かしく思うかも知れません。
指揮は、米国の指揮者でヴァイオリニストのカリーナ・カネラキス氏(Karina Canellakis)。注目の指揮者です。
オーケストラは オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団。合唱は オランダ放送合唱団。
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