知られざる名曲 番外編12/ 弦楽四重奏第8番 第2楽章(ショスタコーヴィチ)
ショスタコーヴィチは当シリーズ3度目の登場です。
しかし今までと違って、とてもシリアスで深刻な曲です。
したがって番外編といたしましたが、聴く価値はあると思います。
この弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 作品110 は、ドミートリイ・ショスタコーヴィチが1960年に作曲した弦楽四重奏曲ですが、作品的には全15曲あるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の中で、最も重要な位置づけとなっています。
彼は「ファシズムと戦争の犠牲者の想い出に」捧げるとしていますが、実はショスタコーヴィチ自分自身のために書かれた作品と言われています。実際この作品には「Dmitri Schostakovich」のイニシャルが、音名「D-S(Es)-C-H」(DSCH音型)で織り込まれており、密かに作曲者自身をテーマにしていることを暗示させています。
ソビエト軍によるドレスデンのナチスからの解放の場面のための音楽を書くためにドレスデンに行ったショスタコーヴィチは、戦争の惨禍を目の当たりにし、自身の精神的荒廃と重ね合わることになるのです。
そして、圧政により精神的に追い込まれた自身への献呈として、同年7月12日から14日のわずか3日間でこの曲を作曲したのです。(一部Wikipediaより)
今回は2楽章をピックアップしましたが、全曲は(すべて短調からなる)5楽章で、演奏時間は約20分。是非全曲をお聴き下さい。
■ 知られざる名曲 番外編12/ 弦楽四重奏第8番 第2楽章(ショスタコーヴィチ 1906-1975)
強烈なインパクトを感じさせる激しい音楽です。
第1ヴァイオリンの ジャニーヌ・ヤンセン(Janine Jansen、1978ー )が、これでもかと言うくらいのテンションで弾きまくります。
普段は穏やかなチェロの ミッシャ・マイスキー(Mischa Maisky, 1948ー )も厳しい表情を見せています。
ショスタコーヴィチが親友に送った手紙によると、「私が死んだときには誰かが弦楽四重奏曲を私に捧げてくれるとは思えないので、私は自分自身のために書くことにしました」とあり、この曲を書いたあと自殺するつもりであるということを示唆しているのです。
ショスタコーヴィチの悲痛な叫び声が聞こえてくるような作品でした。
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