知られざる名曲 第83回 弦楽四重奏曲「菊の花」/プッチーニ
クラシックファンであっても、室内楽を好んで聴く人は少数派ではないかと思います。特に 弦楽四重奏曲は、難しいと言うイメージが先行します。
※例えば、7楽章まである ベートーヴェンの弦楽四重奏第14番などは、演奏時間も長く(およそ40分)、どうしても敬遠されがちです。
今回は、敢えて 弦楽四重奏曲にスポットを当て、私たちの食べず嫌いを無くす「きっかけ」にしたいと考えました。この曲を聴いたら、室内楽の魅力、とりわけ 弦楽四重奏の良さを分かっていただけると思います。
その曲は、
プッチーニ (Giacomo Puccini、1858 - 1924)の作った 弦楽四重奏曲「菊の花(Crisantemi)」です。
プッチーニは、「トスカ」や「蝶々夫人」などのオペラが有名なイタリアの作曲家ですが、こんな美しい室内楽も残していました。
この小品は、当時プッチーニの友人でパトロンでもあった サヴォイ公国の アマデオ1世(元スペイン国王 44歳で急逝)を偲んで書かれたものです。
嬰ハ短調の哀切極まる音楽ですが、気品に満ちた美しい曲です。
演奏は、数々の国際コンクールで活躍している エンソ弦楽四重奏団( Enso String Quartet ニューヨーク)です。
■ 第83回 弦楽四重奏曲「菊の花」嬰ハ短調 / ジャコモ・プッチーニ
ところで、菊(キク)は天皇家の紋章であり、日本国のパスポートの表紙にも描かれているなど、日本の国章とも言えますが、もともとは外来種(中国)で、日本に伝来したのは平安時代だそうです。
ヨーロッパで広まり出したのは、幕末の頃、日本からイギリスに持ち込まれたのが始まりで、ちょうどプッチーニの時代と重なります。
菊は故人を偲ぶ花とされ、今では日本だけでなく、中国や韓国、フランス、ポーランドなど世界各国で白い菊が、献花や墓参の際に用いられるようになりました。
« 知られざる名曲 第82回 ディドの嘆き/パーセル(ストコフスキー篇) | トップページ | 知られざる名曲 第84回 交響曲第1番 第3楽章より/佐村河内守・新垣隆 »
「音楽」カテゴリの記事
- 知られざる名曲 第228回 「ルイス・アロンソの結婚式」間奏曲 / ヒメネス(2023.12.07)
- 知られざる名曲 第227回 輝ける日々テーマ曲 / 羅 大佑(ルオ・ダーヨウ)(2023.12.03)
- 有名クラシック曲 極上編 No.2 ノクターン20番ハ短調遺作 / ショパン (2023.12.01)
- 知られざる名曲 第226回 レクイエム / コズロフスキー(2023.11.28)
- 知られざる名曲 第225回 微風 / 佐藤聰明(2023.11.23)
「知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける」カテゴリの記事
- 知られざる名曲 第228回 「ルイス・アロンソの結婚式」間奏曲 / ヒメネス(2023.12.07)
- 知られざる名曲 第227回 輝ける日々テーマ曲 / 羅 大佑(ルオ・ダーヨウ)(2023.12.03)
- 有名クラシック曲 極上編 No.2 ノクターン20番ハ短調遺作 / ショパン (2023.12.01)
- 知られざる名曲 第226回 レクイエム / コズロフスキー(2023.11.28)
- 知られざる名曲 第225回 微風 / 佐藤聰明(2023.11.23)