知られざる名曲 第68回 くちなし/高田三郎
今回は、髙田三郎先生(たかた さぶろう、1913年 大正2年 - 2000年 平成12年)の日本歌曲をご紹介します。
※髙田三郎先生とお呼びするのは、私が先生の代表作「水のいのち」や「心の四季」を合唱団で歌ったことがあるからです。(その時の指導者 恩田忠彦先生は、髙田三郎先生の音楽をこよなく愛し、二人は良く手紙や音源のやり取りをされていたことを覚えています)
声楽の好きな方ならご存じかも知れませんが、先生の作品の中でもとりわけ心を揺さぶられる名曲が 日本歌曲「くちなし」です。
歌詞は、高野喜久雄さん(たかの きくお、1927 - 2006)、日本の詩人ですが、著名な数学者でもあります。
くちなし
荒れていた庭 片隅に
亡き父が植えたくちなし
年ごとに かおり高く
花はふえ
今年は十九の実がついた
くちなしの木に
くちなしの花が咲き
実がついた
ただ それだけのことなのに
ふるえる
ふるえるわたしのこころ
「ごらん くちなしの実を ごらん
熟しても 口を開かぬ くちなしの実だ」
とある日の 父のことば
父の祈り
くちなしの実よ
くちなしの実のように
待ちこがれつつ
ひたすらに こがれ生きよ
と父はいう
今も どこかで父はいう
高野喜久雄・詩
ひたすらに こがれ生きよ
と父はいう
今も どこかで父はいう
■ ご参考 当ブログ 2014・6・16
■ 男性の歌唱による「くちなし」
https://www.youtube.com/watch?v=YfIE8OIZOVM
写真 ACワークス(株)
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