知られざる名曲 第66回 打ち明け(Confidências)/ ナザレー
”ブラジルのショパン”とも呼ばれる エルネスト・ジュリオ・ナザレー (Ernesto Júlio Nazareth , 1863 - 1934)。
今回は、ブラジルのピアニスト・作曲家 ナザレーの「コンフィデンシャス(打ち明け)」をご紹介します。
その曲想は “郷愁” に満ちていますが、ブラジルではこの分野の音楽を「サウダージ」と呼び、特に人気があります。
※サウダージ saudade は、ポルトガル語で、郷愁、憧憬、思慕、切なさ、哀愁などの意。
ショパンを愛する母親からピアノの手ほどきを受け、類い稀な音楽的才能が認められたナザレーは、一生をリオ・デ・ジャネイロで過ごし、およそ300曲のピアノ小品を作曲しました。
ピアノ以外の音楽教育は学ばなかったため、残された作品はサロン小品と声楽曲ばかりであり、作曲技法も必ずしも洗練されていません。
しかしながら、民衆音楽の影響のもとに切り開いた独自の素朴な詩境は、のちにヴィラ=ロボスから、「ブラジルの魂」と称賛されました。
■ 非業の死
ナザレーは、1920年代に聴覚異常を来たし始め、最晩年まで悪化する一方だった。娘と妻の相次ぐ死によりトラウマが引き起こされ、心の病も重くなるばかりだった。1933年に精神病院に収容されたが、翌年に脱走して行方不明となり、懸命の捜索の結果、やがて森の中の滝で(滝壺の中とも滝のほとりとも伝えられる)、変死体となって発見された。検死結果によると溺死であったという。(Wikipediaより)
■ 第66回 コンフィデンシャス (打ち明け Confidências)/ エルネスト・ナザレー
少し陰のあるイ短調のワルツですが、優しく語り掛けるようなメロディがとても魅力的な小品です。
素敵なピアノ演奏は、この曲が入ったCDが、2016年『レコード芸術』特選盤他に輝いた 下山静香さんによるものです。
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