知られざる名曲を考察する(1)いよいよスタートした新シリーズ
「知られざるクラシック名曲の宝庫を開ける」シリーズ 第1回から第10回を終わり、登場した作曲家を見ると、
1.カザネッキ Waldemar Kazaneck(1926-1991)ポーランド
2.ヴァンゲリス VANGELIS(1943- )ギリシャ
3.バカリッセ Salvador Bacarisse (1898-1963)スペイン
4.スヴィリードフ Sviridov (1915-1998)ロシア
5.ジェンキンス Karl Jenkins (1944- )イギリス
6.シュニトケAlfred Schnittke(1934-1998)ソビエト(ユダヤ系)
7.バード/William Byrd(1543-1623)イングランド(英)
8.ヴュータン Henri Vieuxtemps(1820-1881)ベルギー
9.ザットセイン Aleksandr Zatsepin(1926- )ロシア
10.横山菁児(よこやま せいじ)(1935-2017)日本
日本ではあまり知られていない作曲家が並びました。
うち8人は現代の作曲家(青字)ですが、どの作曲家も調性音楽の聴きやすい曲を作りました。
ただ、出身国を見て下さい。クラシック音楽に関係の深い国、オーストリア(首都ウィーン)やドイツ(3大Bを生んだ国)が入っていません。
オーストリアと言えば、それまでの調性音楽を排して「無調」の現代音楽を確立した「シェーンベルク」の生まれた国です。また、ドイツ出身の「シュトックハウゼン」は、前衛音楽の旗手として現代音楽をリードしました。その意味で、この二か国は当ブログが推奨する「名曲」とは方向性が違います。ですから今回のリストには誰も載らなかったと言えます。
現代音楽については当ブログ 「クラシック音楽衰退の原因と対策」をご覧下さい
https://manriki358.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-327d.html
シェーンベルク 画像 Wikipediaより
現代音楽は失敗し、この100年 クラシック作曲家による新たな名曲は生まれていません。
クラシックのコンサートに行っても、私たちはベートーヴェンなどの古典派やロマン派の作品を繰り返し聴くしかないのです。
このため、クラシック鑑賞のスタイルは、曲を楽しむことより、演奏の違いを比べる事に主眼が置かれるようになりました。
同じ芸術でも、現代美術や現代文学が多くの新しいファンを得て成功している姿を見ると、クラシック音楽の客層は固定化し、同時に高齢化しています。現代音楽の失敗が、クラシック音楽の前途を危ういものにしてしまったのです。
■ クラシック音楽は映画に活路を見出した
このように前途が明るくないクラシック音楽ですが、映画との相性が良いことが唯一の救いでした。
今や映画音楽の中に素晴らしいクラシック音楽を見出すことが出来ます。
世界中で大ヒットした映画の中には、リヒャルト・シュトラウスや、ショスタコーヴィチなど近現代のクラシック作曲家の音楽が使われています。
例えば、スタンリーキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」では、R/シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語り」が使われ、大きな反響を呼びました。
また一方、クラシック系の作曲家も映画音楽の分野に進出しました。ハンガリー出身のアメリカの作曲家 ミクロス・ローザは、ハリウッド映画「ベンハー」の音楽を担当してアカデミー賞に輝きました。ご存じ、ジョン・ウイリアムズも「スター・ウォーズ」でシンフォニックな音楽が評価されグラミー賞を受賞しました。
イタリアの作曲家 エンニオ・モリコーネや ニーノ・ロータはクラシックの作曲家ですが、多くの映画音楽を手がけ、その美しい音楽は世界中で今も愛されています。
まさに、クラシック音楽と映画音楽は融合したのです。
当ブログはその観点から「知られざるクラシックの名曲」を選定しております。映画音楽やテレビドラマ、ミュージカル、ヒーリングミュージックであっても、クラシック音楽の要素があれば、これからもご紹介して参ります。どうぞご期待下さい。
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