セルフヒーリング倶楽部 ❽ 8020運動を知って「歯と健康」を考える
先日、6年ぶりに歯科医院に行きました。コロナで行くことが出来ませんでしたが、1年程前から時々痛む歯があったのです。
むし歯や歯周病などは、普段の歯磨きなどである程度予防することが出来ます。その意味で、まさにセルフヒーリングの要素が大きいと思います。そんなことから、今回のセルフヒーリング倶楽部のテーマを「歯と健康」に決めました。
■ そもそも歯の本数は何本?
大人の歯(永久歯)の本数は28本です。(※親知らず4本は含みません)
私たちの子供の頃(昭和20~30年代)は、朝は歯を磨いていましたが、寝る前に歯を磨く習慣はなく、多くの人が虫歯になりました。公衆衛生が未発達の時代でした。
そのせいか、今の70代、80代の方は入れ歯が多いと思います。
次の資料の通り、最近はかなり改善されましたが、つい最近まで80歳の残存歯数は8.9本でした。
■ 日本人の歯の年齢別本数
平成28年の歯科疾患実態調査(厚生労働省)によると
40才~ 27.6本
50才~ 25.3本
60才~ 21.6本
70才~ 18.0本
80才~ 15.3本
今、あなたの歯は何本残っていますか?
いきなりショッキングな数字ですが、40才を過ぎると歯は急速に失われていきます。
このグラフを見る限り、自分の歯で美味しい食事が出来るのは60代までとなります。
人生100年時代に寂しい現実です。
しかし考えてもみれば、永久歯が萌え始める6歳頃から70年以上もの間、自分の歯を20本以上維持することは大変なことです。
このような日本の実態を知った上で、8020運動について述べたいと思います。
■ 8020運動とは
8020(ハチマル・ニイマル)運動とは、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
平成元年(1989年)に厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱して開始されましたが、当時の平均寿命は、男性75.9歳・女性81.8歳でしたので、男性には当てはまらない運動でした。
今は平均寿命も伸び、男性81.41歳・女性87.45歳になりましたので、男女共に「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動がより意識されるようになりました。
実際、8020運動が開始された当初、「8020」を達成している高齢者(75歳以上)は10人に1人にも満たない状況だったそうです。
しかしその後「8020」達成者の割合は増加し、平成28年歯科疾患実態調査では、75~84歳の51%が達成してること分かりました。
飛躍的に改善したとは言え80歳~84歳の平均では、15.3本です(上記グラフ)。
尚、20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に証明されています。
■ 80歳になった時、あなたの歯は何本あるかを予想します
ここをクリック
■ スウェーデンの例
世界一むし歯の少ない国スウェーデンの歯磨き方について、NHKためしてガッテン(2019年5月8日放送分)からまとめてみます。
スウェーデンでは、歯みがきの後に口の中に「フッ素」を残すことで高い予防効果を上げています。
★スウェーデンの歯磨き術★
<ポイント1>
フッ素配合の歯みがき粉をたっぷりと使う(目安は歯ブラシの上に2cm)
<ポイント2>
歯全体に歯みがき粉が行き渡るように意識して2分程度歯みがきを行う
<ポイント3>
口の中の泡などをしっかり吐き出したあと、口をゆすがない
そのことでフッ素の濃度が保たれ効果が倍増する
ゆすぎたい場合は水を少量にして、回数も少なくする
<ポイント4>
歯みがきのあと、2時間飲食をしない(最低でも30分)
■ スウェーデンの「プロケア」のススメ
虫歯はなくても、定期的に歯科衛生士による「プロフェッショナルケア(通称プロケア)」を受けること。もちろんプロケアは日本の歯科医院でも受けることができます。プロケアを受けると、虫歯や歯周病のリスクが大きく減ると言われています。
①「フッ素」を使うことと、②定期的な「プロケア」が、むし歯の世界一少ないスウェーデンを生んだようです。大いに参考になりました。
ご参考 スウェーデンと日本の残存歯数比較
上記グラフでは、80歳日本人の残存歯数が13.0となっていますが、最新データでは15.2本です。
※スウェーデンの歯磨きの後に「口をゆすがない」方式には抵抗がある方も多いと思います。この方式を紹介したNHK番組に対し国会で質問が出るなど大きな関心を呼びました。
■ 重曹歯磨きのススメ
もう一つのとっておきの歯磨き法が、「重曹」を使った方法です。市販の「重曹」入りチューブ歯磨きもありますが、ここでは、いつものチューブ歯磨きを歯ブラシの上に乗せたら、「食用重曹」をひとつかみ上からかけて、一緒に歯を磨くだけです。
重曹は、歯を白くする、初期虫歯を治す、口臭予防、歯石予防、歯槽膿漏予防などオーラルケアの万能薬です。食用または薬用として販売されているものを使用すれば、飲んでも害はありません。
なぜ重曹が良いか、口腔内の細菌(善玉菌や悪玉菌)に着目してみましょう。
成人の口の中(口腔内)には、100〜300種もの細菌が存在します。
この細菌は、虫歯菌や歯周病原菌等の悪い作用を及ぼす菌種以外にも、善玉菌と呼ばれる共生細菌が存在し、口腔内環境の維持を行っています。
むし歯の元となる悪玉菌は酸性を好み、善玉菌はアルカリ性を好みます。PH(ペーハー)が7.0であれば中性ですが,それより低いと酸性で高いとアルカリ性になります。
ここで「重曹」の使用が有効です。酸性を中和する、もしくはアルカリ性に変えるという役目を考えると重曹はとても良い素材になります。
PHは8.3あたりでちょうど口腔内のPHが6.6 またはそれより低い場合うまく中和する役目をしてくれます。悪玉菌の住みにくい口内環境を作るので、重曹の使用は理にかなっています。
ただ、重曹だけを用いて歯ブラシをするとヤニが取れたり、歯が白くなったりしますが、長く使用しているとエナメル質の表面に傷をつけてしまう危険性もあります。
それらを防ぐために、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることをお勧めします。
■ 重曹うがいのススメ
500mlのペットボトルに水とティースプーン1杯ほどの重曹を入れ、よく振ってかき混ぜます。使う水は水道水です。
作った重曹をコップに入れ、30秒ほどクチュクチュするだけです。
歯磨きの前に重曹うがいをすると歯垢が取れやすくなり、また歯磨き後に重曹うがいをすれば口の中に重曹の効果が残り、口の中の酸性を中和し虫歯を予防しやすくなります。
(以上倉本歯科医院さんのサイトより一部転記させて頂きました)
次に、歯の疾患と健康との関りについて調べます。
■ むし歯、歯周病と健康との関連
歯の疾患はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。
中でも歯周病は、糖尿病と密接な関係にあり、歯周病がある人は症状が良くならないばかりか悪化してしまう事もあります。さらに歯周病菌が血管内に入ると血栓ができやすくなり、心臓病や脳梗塞のリスクを高めるという研究報告も相次いでいます。(NHKためしてガッテンより)その他にも歯周病は口臭の原因とも言われています。
また高齢者は、むし歯や歯周病などで多くの歯を失うことによって、咀嚼機能や嚥下機能といった口腔の機能が低下し、食生活に支障をきたして十分な栄養が摂れなくなり、低栄養のリスクが高まり、結果として要介護となるリスクを高めます。
毎日の歯磨きや口腔ケアをしっかり実践して、80歳で20本の歯を残すことは、美味しく食べる上でとても大事ですが、健康面でも大変重要であると言えそうです。
■ ご参考 口腔環境と便秘について
食べ物は口から入って、肛門で排泄されます。肛門は直腸と繋がっていますから、要するに口と腸は、入り口と出口の関係にあります。
口腔環境が腸内環境に直結していることから、「便通」も元をただせば口腔内の善玉菌が関係していると言えそうです。
うがい薬で善玉菌まで殺してしまうと、腸内フローラにも影響します。
便秘が改善しない人は、天然塩や生薬を配合した歯磨きや、先ほどの重曹を使った歯磨きを試してみては如何でしょう。
ここまで「歯と健康」をテーマに進んできましたが、調べてみて自分にも大変勉強になりました。
最後に、歯科治療が医療費の多くを占めている現実に触れたいと思います。
■ 歯の自己管理が医療崩壊を防ぐ
※歯科医療費と主要慢性疾患の医療費の比較
厚労省e-ヘルスネット情報サイトより(2017年度)
歯科医療費が3兆円に迫っています。今回このグラフが一番気になりました。
何故、このような高額になるのでしょう。
グラフを見ると、歯科医療費は若年層から高齢者まで全世代に渡って患者が多いことが分かります。特に15歳から44歳、さらに45歳~64歳が多く、グラフを押し上げています。高齢者はもちろん、子供の患者も少なくありません。
むし歯や歯周病は自己管理で、ある程度防ぐことが可能です。毎食後の歯磨きや、間食をしないこと、適切なブラッシングやデンタルフロス、歯間ブラシの活用も大事です。
もちろん、定期的に歯科衛生士による「プロフェッショナルケア」を受けることも大事です。
そのことが、身体全身の健康を維持するのに大いに役立つと思います。
たかが「むし歯」などと侮らないで、日々の口腔ケアに心掛けたいと思います。
今回も長文にお付き合い下さりありがとうございました。
■ 参考にさせて頂いたサイト
・厚生労働省e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth
・中川駅前歯科クリニック http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-39.html
・ヤガサキ歯科医院 https://yagasaki.jp/wp
・デンタルサポート株式会社 https://syokuba-km.com/oralcare/explain/
・NHKためしてガッテン https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190508/index.html?c=health
・倉本歯科医院 http://www.kuramotodc.com/original30.html
※使用写真・イラスト 素材サイトACワークス(株)
■ お断り
歯の健康に関しては諸説あり、統計資料の数字も誤差があります。当ブログ記事が全て正しいと言うエビデンスはありません。あくまでも参考記事としてお読み下さい。
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