セルフヒーリング倶楽部 ❻ “アンガーマネージメント” 怒りと健康の深い関係
自分の感情を自分でコントロールすることも「セルフヒーリング」の一つです。
この世は不条理なことも多く、私たちはよく感情的になって怒ることもありますが、その様子を昔から「顔を真っ赤にして怒る」「頭に血がのぼる」と表現しました。
■ あおり運転
最近頻発する「あおり運転」。
他者の運転に腹を立てて、怒りに任せ危険な運転を繰り返す悪質な行為で、時には路上で暴力に発展するケースもあります。
多くの加害者は一般ドライバーで、自車の進行が邪魔をされたことに怒って「人が変わったよう」に危険行為に至るのです。
カッとなると自分の感情を抑えることが出来なくなるのです。
■ キレる老人
スーパーやコンビニなどで店員を怒鳴りつけている高齢者を見たことはありませんか。
昔はキレる17歳と言われましたが、今は「キレる老人」が増えています。
「自分はお客様だ」という意識、「店員はお客の言うことを聞くべき」という意識が強すぎるのでしょうか。
社会的にも家庭的にも孤立している老人が増えていて、自分の存在感を誇示することでバランスを取ろうとしているのでしょうか。残念な日本の現実です。
このような怒りの感情は、言うまでもなく「自律神経」の乱れや「心拍数」「血圧」の上昇を招きます。
■ アンガーマネージメントとは
アンガーマネージメント(Anger management)とは、怒りをコントロールするための心理療法プログラムです。
※「アンガー」は怒り。「マネージメント」は管理するという意味。
具体的には、人間が抱える混沌とした怒りや悲しみ、劣等感などを自分の中で整理し、その状況を客観的に見ることで、怒りなどの強い気持ちが生じても、それを適切にコントロールし、問題解決を図るというスキルのことを言います。
アンガーマネージメントを身に付けていないと、周りに八つ当たりしたり、自分を理解してくれない相手へ威圧的な態度を示したりなど、適切でない行動をしがちになります。
アンガーマネージメント
■ 3つのステップでコントロールできる
【ステップ1】イラっとしたら6秒待つ
怒りが生じたとき、そのピークは6秒だと言われています。この6秒間怒りを抑えることができれば、怒りに任せた衝動的な行動を抑えることができます。
怒りを感じたとき、6秒以内に行動を起こしてしまうと、「物に当たって壊す」「相手に酷い言葉を言ってしまう」など後悔する結果となってしまうのです。あのナッツ姫や豊田真由子氏を思い出しますね。
元アメリカ大統領ジェファーソンは「腹が立ったときには、口を開くまでに10まで数えよ。非常に腹が立ったときには100まで数えよ」という格言を残しています。
6秒が長く感じる人は、慣れるまでは、深呼吸をして心を落ち着かせたり、その場を一旦離れるなどの行動をするのも良いでしょう。
「怒りを感じたらまずは6秒間やり過ごす」 ── これが大事です。
【ステップ2】自己的な「こうあるべき論」「こうするべき論」を手放す
私たちは、怒りを感じるときに感情面だけではなく、思考面も密接に関連していると言われています。
なぜなら、私たちの多くは、「~こうあるべき」「~するべき」という自分の中の価値観を持っており、他人がその考えと異なっていると、怒りを覚えるものなのです。
そのため、自分が考える「べき」と他人が考える「べき」の間にはギャップが存在することを理解することが重要です。そして、相手の価値観に対して、自分と違う考え方もあることを発見し、何もかも100%を求めないという考え方を持つことが大切です。
自分の中に「〜べき」が多いほど、怒りが生まれやすいので、不要な「べき」は捨て、「まぁ許せるか」という許容範囲を広げていく努力も必要なのです。
許容範囲が広がると、怒りやイライラは軽減します。
【ステップ3】しょうがない事は割り切る
たとえば、何らかの事故で電車が遅れると、イライラすることもあるでしょう。
また、「せっかくの休みなのになんで今日に限って雨なの」とイライラしても天気は変えることができません。
自分の怒りによって変えられることと、変えられないことがあることを理解して、自分の力でコントロールできない事柄に怒りを感じることは無駄なことだと諦めることです。
「まぁしょうがないよね」と割り切って自分ができることに集中しましょう。
このことをスムーズに理解できるようになれば、怒る必要がない場面では怒らないということができるようになります。
■ 怒りを管理して健康生活
アンガーマネージメントとは、その名の通り「怒りと上手に付き合う」方法。自分や他人の「怒り」に振り回されず、「怒り」を上手にコントロールすることで快適な生活やより良い人生を目指していこうとするためのメソッド。
怒らないことを目指すといった精神修行ではなく、知識と技術を使って「怒り」を取り扱う「スキル」です。
「怒り」は「二次感情」だと言われています。つまり、最初に「苛立ち」「恐怖」「不安」「恐れ」「寂しさ」といった一次感情が存在し、それが怒りという表現として噴出しているわけです。 怒りの裏側には「わかってもらいたい」一次感情が隠れているということです。
怒りの感情は、神経を高ぶらせ、自律神経を乱し、心拍数や血圧が上昇。血流の悪化につながります。その結果、細胞は栄養不足になり、老廃物や疲労物質は排出されにくくなります。
また、怒ると発生するのが、体を酸化させる活性酸素。毎日イライラしていると、どんどん体が錆びてしまうかも知れません。
ある研究によると、「人は怒りを上手にコントロールできると、寿命が7年長くなる」と言われています。
■ 終わりに
新型コロナウイルスによる外出自粛、感染に対する不安や恐れ。
そして、温かみの無い「非接触社会」の到来、格差社会、少子高齢化、経済停滞、政治不信、健康不安、収入減少、老後破産など、かつてないストレスにさらされている現代人は、やり場のない「怒り」を蓄積させています。心のコップはストレスでいっぱいなのです。
いつ爆発するか分からない活火山のような私たち日本人は、まさに自分の身は自分で守るしかないのです。これは医療では解決できません。健康を害する前に、「怒り」のコントロールを早く身に着けて、人生100年時代を生き抜かなければなりません。
健康で豊かな人生のために、アンガーマネージメントが果たす役割は大きいと思います。
参考サイト
※大日本住友製薬記事
※©MynaviCorporationhttps://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2021/01/post-38.html
※画像出典https://www.kokuchpro.com/event/201803211030/
※画像出典https://nursing-plaza.com/useful/detail/985
※使用イラスト 素材サイトACワークス(株)
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