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  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2020年7月13日 (月)

天災か人災か

自治会の役員だと、充て職で地元の「治水会」メンバーやら、「自主防災隊」に任命されてしまう。役所から送ってくる「避難所運営マニュアル」などを見ていると、否が応でも防災意識は高まる。そんな中、九州豪雨が起きた。

防災については門外漢の当ブログだが、思うところを発信することにした。

 

九州各地から中部地方にかけて豪雨被害が拡大している。66名の方が亡くなっているが、まだ犠牲者は増えるかも知れない。

何故、毎年のように集中豪雨の被害が出るのだろう?

その被害は防ぐことが出来ないのだろうか。尊い人命が失われている。

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画像  福岡県大牟田市 7日午後5時24分  東京新聞より
 
気象庁は「直ちに命を守る行動を取って下さい」と注意喚起し、ニュースは「今までに経験したことのない・・・」と繰り返すが、今回の球磨川の氾濫は、全く逃げる時間もなく急激に増水している。
「命を守る行動」より先に水に流されてしまった。警報で命を守ることは出来なかった。


こんなことをいつまで続けているのだろう。


■ 毎年のように氾濫する河川

日本の河川は地理的に急こう配で、上流から下流へ一気に海に流れている。もともと雨量も多いので、この時期は河川に水が集中し、洪水となるのは当然である。

しかも日本では天井川といって、住民の住む土地より川底が高くなっている河川がたくさんある。隅田川も江戸川も長良川も天井川で、全国に少なくとも240本もある。
※天井川とは上流から流れてきた土砂が川底に堆積して出来る。

梅雨前線が停滞し雨量が多い上に、河川の勾配は強く、天井川も多い日本。

だから、この時期は氾濫することは分かっている。
しかし、避難することに重点を置いた日本の防災では、命を守ることは出来ない! それが今回の球磨川の悲劇である。


根本的に、この状況を解決することは出来ないのだろうか。誰でも抱く疑問である。

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画像(国土地理院) NHKニュースより 2020年7月4日 19時25分

日本の防災は、ハザードマップを作り、避難所を作り、警報を出し、住民を避難させることに重点を置く。



■ ダムと堤防の限界

洪水を防ぐはずのダムが、放流の適正な管理をしなかったことによる堤防の決壊。また、国が堤防のかさ上げ工事を怠ってきたとする訴訟事件。過去には様々な問題が起こっているが、ダムと堤防に頼る治水には限界があるのではないか。

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画像 鬼怒川水害(2015)は人災だとする訴訟 水源連サイトより

ある個所の堤防を高くすれば、低い堤防は決壊するかも知れない。また堤防自体を強固にすれば、弱い箇所が決壊するかも知れない。すなわち、堤防工事は、やってもやっても「いたちごっこ」が続く。

また堤防を高くしても、川底には堆積物が溜まり、さらに堤防を高くする工事をしなければならない。

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 天井川断面図 クリックで拡大

■ 浚渫(しゅんせつ)工事は切り札になるか

川底に溜まった土砂などの堆積物を取り除く工事を浚渫工事というが、この工事によって水位は下がり、氾濫防止に効果的だと言われている。

江戸時代には大規模な浚渫工事が行われたと記録にあるが、当時はコンクリートもなく、浚渫工事は、堤防をかさ上げするより確かな工法だったに違いない。しかし、近年はあまり見られなくなった。

浚渫工事は、汚濁や騒音などで自然環境に配慮する必要があり、また地元の漁業に影響を及ぼす可能性もある。工事に掛かる費用は、堤防造成より安いとされるが、一概に言えない。さらに浚渫によって海水が河川に流入し易くなるという指摘もあるようだ。その他、日本の土木工事には様々な利権も絡む。

しかし、ダムと堤防に限界があるなら、浚渫工事の比重をもっと高めたほうが良いのではないか。工事で出た川砂利は売れるし、土砂は埋め立て用に転用できる。


■ 防災は命を守ること

その観点から言えば、日本の防災は避難重視なので間違ってはいない。

しかし例年、犠牲者は減らない。

梅雨前線による集中豪雨は天災なので、犠牲者が出ても仕方がないと言い切れるだろうか。

地震や台風は天災かもしれないが、集中豪雨の被害はある程度防ぐことは出来ると思う。

■ 総合的な治水対策

1.ダム工事(砂防ダム含む)や堤防工事に加え、もっと浚渫工事を増やすことによって、河川の水位を下げる。

2.土砂災害の起きやすい土地には住宅はもちろん、高齢者施設などの建物を造らせない。土地造成も禁止。

3.現在、危険区域にある住宅を、安全な場所に移転させる。(移転費用は行政負担)

4.その他 内水氾濫(※)対策として排水ポンプ場を整備したり、地下に大規模な貯留槽を設置したりする。
※河川の氾濫ではなく、市中の雨を排水処理できずに起きる氾濫


ハザードマップを作ることも、避難訓練をすることも、警報を出して避難させることも重要だが、本来はもっと安心して住める環境作りが大切である。大雨が降ったから逃げまどうのではなく、どんな大雨でも安心して住める住宅環境の整備が待ったなしの課題ではないだろうか。

すでに3兆円を超えている東京オリンピックの経費、総額9兆円のリニアモーターカー、毎年5兆円(日額150憶円)と言われる地球温暖化対策費などの一部でも、これらの治水対策に使えないだろうか。

今こそ、日本の防災の在り方と税金の使い方を、国民レベルでも議論する時だと思う。

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