スパコン 果てしない競争の先には
日本のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、演算速度など4つの部門で 世界ランキング1位になりました。
4つの部門とは、演算速度、シミュレーション計算、AIの学習速度、ビッグデータの処理性能のことで、同時首位は世界初だそうです。
理化学研究所「富岳」サイト
近年、スパコンの世界はアメリカと中国の2強体制でしたが、約9年ぶりに日本が世界1位に返り咲いたわけです。
「富岳」理化学研究所計算科学研究センター 神戸新聞NEXTより
さて、演算能力がどのくらい早いかと言うと、今まで1位だったIBM(アメリカ)の「Summit」の約3倍とのことです。1秒間に45.1京回の計算が出来るというものですが、45.1京回と言っても“ピン”ときません。
あるサイトによると、人間が1秒間に1回電卓で計算し続つづけて135億年かかる計算を、日本の「富岳」はわずか1秒で終わらせることが出来るといいます。
※NHKニュースでは、世界70憶の人が毎日不眠不休で2年かかる計算を、「富岳」はたった1秒でこなすと言っていました。

「サミット」 米国立オークリッジ研究所(U.S. Department of Energy, Oak Ridge National Laboratory提供)
この性能を利用して、コロナウイルスなどの新薬開発や、気象予想、宇宙解明、AI技術などに役立つことでしょう。ただ中国は、日本が核開発に応用するのではないかと警戒感を強めています。
その中国が開発中のスパコン「天河3号」は、年内完成を目指していますが、完成すれば日本の「富岳」の2倍の演算能力があるそうです。となると、日本はすぐ中国に首位の座を奪われてしまうでしょう。
国費1100憶円(民間含め1300憶円)の巨額を投じても、首位は長く続きそうにありません。
「天河3号」人民網日本語版より
今後も、スーパーコンピューターの世界は、米中の熾烈な覇権競争が果てしなく続くと思います。日本がどれだけ食い込めるか注目したいところです。
しかし、この覇権争いにとどめを刺しそうな新型量子コンピューターが、アメリカGoogle社 で開発中です。
研究グループは、世界最速のスパコンで1万年かかる計算を量子コンピューターを使い200秒で実行したと発表しました(2019年10月 )。
このニュースは量子コンピューターがスパコンを超えたとして大きく報じられました。しかも驚くべきことは、量子コンピューターが「0.2ミリ角の超電導素子たった53個」で、スパコンをしのぐ計算を実行したことです。
量子コンピューターのチップ「シカモア」と、量子素子(下)=Google提供
ただ、量子コンピューターの驚異的な演算能力は実証されましたが、量子素子は極めて脆弱で、演算を繰り返すうちにエラーが起きることもあり、実用化にはまだ何年もかかるとも言われています。
しかし、技術革新のスピードは想像を超えています。
世界中の大学、研究所、IT企業、量子ベンチャーが実用化に向けた開発にしのぎを削り、その結果次第で私たちの未来は、SF小説を超える異次元の世界に変貌しているかも知れません。当ブログは、「タイムマシン」が完成することを大胆に予想します。
スーパーコンピューターの果てしない開発競争、研究の進む量子コンピューター。その先にある「異次元の世界」。
その世界が、地球の平和、人類の幸福につながっていることを祈ります。
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