公式ピアノに新風か
東京オリンピック2020の公式時計(Official Timer)は「オメガ」です。残念ながら「セイコー」ではありません。日本が56年ぶりに開催する東京オリンピックに、日本の「セイコー」が選ばれなかったことは悔しいですが、このことは2009年に決まっていました。公式時計になるには多額のスポンサー料が必要ですが、その金額を払えるのは「オメガ」だけという現実があるようです。
ただ、公式という「お墨付き」がいただけることで、そのメーカーのブランド力は格段に上がります。前回1964年東京オリンピックの時は「セイコー」が選ばれ、その後セイコー(SEIKO)は、ソニー(SONY)、キャノン(CANON)と並ぶ世界の一流ブランドとなりました。
さて、クラシック音楽の世界では、権威ある国際コンクールで使用されるピアノを主催者が「公式ピアノ」として認定しています。
今回行われたチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門では、スタインウエイ(独)、ヤマハ(日)、カワイ(日)、ファツィオリ(伊)に加え、初めて中国のメーカーが公式ピアノとして参入しました。
中国製「長江」コンサートグランドピアノ ロゴが漢字で書かれている
ちなみに、ファイナルで各コンテスタントが弾いたピアノは、
1位のカントロフ(仏)さんがスタインウエイ
2位の藤田真央さんがスタインウエイ
2位のシシキン(露)さんがスタインウエイ
3位のエミリャーノフ(露)さんがヤマハ
3位のメリニコフ(露)さんがスタインウエイ
3位のブロバーグ(米)さんがスタインウエイ
4位の中国人アン(安天旭 ) さんが、中国製の「長江(Yangtze River )」を弾きました。
※1位のカントロフさんは2ndステージではカワイを弾いていましたが、決勝ではスタインウエイを選んだようです。
今回は、2位が2名、3位が3名と異例の順位となりましたが、もちろんファイナルまで行くような人は実力に差はありませんから、このような順位になっても不思議ではありません。
そう言えば、審査委員長のマツーエフ氏は、1998年同コンクールで1位になった時はヤマハを弾きました。ロシアを代表するピアニスト マツーエフ氏は、ヤマハがお気に入りらしく、5年前のソチ五輪閉会式でもヤマハCFⅡを弾いています。
さて今回、各ピアノメーカーがしのぎを削る国際コンクールの舞台で、まだ創業20年(ブランド立ち上げ10年)にも満たない中国のメーカー「長江」が躍進したことは、セイコーが東京オリンピックに採用されなかった以上に驚くべきことです。
マツーエフ氏も、「ピアノにはそれぞれ個性があるが、色調の複雑さとダイナミクスの多様性に圧倒された。YangtzeRiver Piano(長江ピアノ)は、pppppからfffffまでの音を生成するという魔法が魅力だ。」 と絶賛しています。(翻訳は正確ではありません)
公式ピアノに新風を送り込んだ「長江」の次のターゲットは、多分ショパンコンクールの公式ピアノの座です。近年、中国人のコンクール参加者も多く、資金力のある中国がスポンサーとなれば、コンクール開催国にとっても悪くない話です。
しかし、ショパンコンクールは来年(2020年)秋です。時間的に難しいと思われますが個人的には気になるところです。
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