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  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2019年5月21日 (火)

「八風吹けども動ぜず」とは

仏教では、人生の修行を妨げる事柄が八つあると説き、それを「八風(八つの風)」が吹くといいます。

私たち人間の心を惑わす「八風」とはいかなる風のことでしょう。

Wikipediaによると、「八風」とは、人間が求める4つの出来事「四順」と、人間が避ける4つの出来事「四違」から成ります。

■ 四順(しじゅん)= 人間が求めるもの
①利い(うるおい) ‐目先の利益
②誉れ(ほまれ)  ‐名誉をうける
③称え(たたえ)    ‐称賛される
④楽しみ(たのしみ)‐様々な楽しみ

■ 四違(しい) = 人間が避けるもの
①衰え(おとろえ) ‐肉体的な衰え、金銭・物の損失
②毀れ(やぶれ)    ‐不名誉をうける
③譏り(そしり)    ‐中傷される
④苦しみ(くるしみ)‐様々な苦しみ

即ち人生には、順風、逆風合わせて「利・誉・称・楽・衰・毀・譏・苦」の八つの風が吹くと云う訳です。

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禅語に「八風吹けども動ぜず」という言葉があります。

意味は、順風であっても謙虚に生き、逆風であっても耐え忍び、不動の境地で臨めという事です。

しかし、不動心(何事にも動じない精神)と言いますが、なかなか凡人には難しい心境です。

■ 美濃市霊泉寺の僧侶でエッセイストの佐藤隆定師によれば、(以下 禅の視点-life- より一部転記)

動じないとは、心が何の反応も働かせないようになることではない。
むしろ、感受性は機敏に働いていて一向にかまわないのである。

嬉しかったらはっきりと嬉しいと感じ、悲しければはっきりと悲しいと感じればいい。
重要なのは、その感じている感覚を引きずらないこと。
ずっと浮かれて有頂天でいてはいけない、という意味である。

嬉しければ嬉しいと感じ、心をもとにもどす。
悲しければ悲しみ、心をもとにもどす。
怒るときは怒り、心をもとにもどす。

いつまでも感情を引きずるのは、感情に執着していることに他ならず、それは苦を生みだし、次なる感情にも悪影響を及ぼしてしまう。
それではいけないから、常に心をリフレッシュ。
食事の前に毎回手を洗うように、心が揺れるたびに心をリフレッシュ。

それが禅語でいうところの「八風吹けども動ぜず」であり、禅における「不動心」の意味である。

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なるほど、禅の教えは私たちに寄り添った教えであり、人間本来の生き方を肯定しつつ、心をコントロールすることの重要性を説いています。

私たちの周りに吹く「八つの風」に、ある時は有頂天になって喜び、ある時は怒り、ある時は一晩中泣いても良いのです。それが感情を持った人間本来の姿です。

しかし、いつか感情の執着を手放した時、私たちは本当の「心の安らぎ」を得ることが出来るのではないでしょうか。

「八風吹けども動ぜず」 とても勉強になりました。

 

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