「八風吹けども動ぜず」とは
仏教では、人生の修行を妨げる事柄が八つあると説き、それを「八風(八つの風)」が吹くといいます。
私たち人間の心を惑わす「八風」とはいかなる風のことでしょう。
Wikipediaによると、「八風」とは、人間が求める4つの出来事「四順」と、人間が避ける4つの出来事「四違」から成ります。
■ 四順(しじゅん)= 人間が求めるもの
①利い(うるおい) ‐目先の利益
②誉れ(ほまれ) ‐名誉をうける
③称え(たたえ) ‐称賛される
④楽しみ(たのしみ)‐様々な楽しみ
■ 四違(しい) = 人間が避けるもの
①衰え(おとろえ) ‐肉体的な衰え、金銭・物の損失
②毀れ(やぶれ) ‐不名誉をうける
③譏り(そしり) ‐中傷される
④苦しみ(くるしみ)‐様々な苦しみ
即ち人生には、順風、逆風合わせて「利・誉・称・楽・衰・毀・譏・苦」の八つの風が吹くと云う訳です。
禅語に「八風吹けども動ぜず」という言葉があります。
意味は、順風であっても謙虚に生き、逆風であっても耐え忍び、不動の境地で臨めという事です。
しかし、不動心(何事にも動じない精神)と言いますが、なかなか凡人には難しい心境です。
■ 美濃市霊泉寺の僧侶でエッセイストの佐藤隆定師によれば、(以下 禅の視点-life- より一部転記)
動じないとは、心が何の反応も働かせないようになることではない。
むしろ、感受性は機敏に働いていて一向にかまわないのである。
嬉しかったらはっきりと嬉しいと感じ、悲しければはっきりと悲しいと感じればいい。
重要なのは、その感じている感覚を引きずらないこと。
ずっと浮かれて有頂天でいてはいけない、という意味である。
嬉しければ嬉しいと感じ、心をもとにもどす。
悲しければ悲しみ、心をもとにもどす。
怒るときは怒り、心をもとにもどす。
いつまでも感情を引きずるのは、感情に執着していることに他ならず、それは苦を生みだし、次なる感情にも悪影響を及ぼしてしまう。
それではいけないから、常に心をリフレッシュ。
食事の前に毎回手を洗うように、心が揺れるたびに心をリフレッシュ。
それが禅語でいうところの「八風吹けども動ぜず」であり、禅における「不動心」の意味である。
なるほど、禅の教えは私たちに寄り添った教えであり、人間本来の生き方を肯定しつつ、心をコントロールすることの重要性を説いています。
私たちの周りに吹く「八つの風」に、ある時は有頂天になって喜び、ある時は怒り、ある時は一晩中泣いても良いのです。それが感情を持った人間本来の姿です。
しかし、いつか感情の執着を手放した時、私たちは本当の「心の安らぎ」を得ることが出来るのではないでしょうか。
「八風吹けども動ぜず」 とても勉強になりました。
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