医療経済の嘘 (本の紹介No.035)
「医療経済の嘘」 病人は病院で作られる 森田洋之著 (ポプラ新書2018・6・10発行)
森田さんは現役の医師ですが、この本は少しショッキングな内容でしたので、本文より一部要約してご紹介します。
1980年代に、増大する医療費への危機感から、「医療費亡国論」が唱えられるようになりました。
したがって、国は診療報酬と医師数を制限するようになりましたが
診療報酬が下がると病院は困ります。
↓
病院は診療回数を増やすよう「患者集め」に奔走(薄利多売)するようになりました。
その結果日本は、気が付いてみると・・・
① 病床数世界一(米英の4倍以上)
② 外来受診者数世界2位(欧米諸国の3~4倍)
③ CT・MRIの保有台数も世界一(CTは英国の10倍以上、MRIは7倍以上)
国際的に見て異次元レベルの現状です。医師不足と言われていますが、ただの需要過多ではないでしょうか。
■ 病床がある分だけ病人が作られる
日本一病床数が多い高知県では、入院医療費も日本一で、滋賀県民の2倍も使っています。まさか高知県民が滋賀県民の2倍も病気になる訳はありません。
高知県は日本一高額の医療費を使い、日本一多い病床があるのに、平均寿命は全国42位と下位です。
ちなみに滋賀県は、病床数が全国47都道府県中で41番ですが、男性の平均寿命は全国1位、女性は4位です。 (最新データ)
本当なら、病院をたくさん作った県、病床が多い県ほど病気が減って寿命が長いのが普通ですが、実際にはそうではありません。
「病床が多い=病気が治る=健康で長生き」 ではなく!
「病床が多い=病人が増える=平均寿命が低い」 が現実です。
驚くべきことに、病床がある分だけ病人が作られているのです。
この本には多くの問題提起が含まれていますが、このような現状を誰かのせいにしていては問題は解決されません。
国が悪いとか、病院が悪いとか言う前に、私たち国民自身が健康管理に留意し、生活習慣(病)を改善し、「自分や家族に本当に必要な医療とは何か」を真剣に考えてみることが大切だと、森田医師は訴えています。
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