音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
今年のノーベル文学賞を受賞した カズオ・イシグロ氏の短篇集 「夜想曲集」 を半分ほど読みました。恥ずかしながらこの作家を知りませんでしたので、興味深く読ませて頂きました。
LPレコードの盤面をあしらった表紙のデザインがノスタルジアを誘います。
「人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。 (表紙裏の紹介文より)
音楽と夕暮れをめぐる五つの物語の全篇に漂う 「ある切なさ」 が残像のように心に残りました。
特筆すべきは、土屋政雄氏の翻訳が実に素晴らしいことです。原文が英語であったことを全く感じさせない日本文学的な表現に驚きました。
五話目の 「チェリスト」 には、若きチェリストと大物の女流チェリスト(自称)との不思議な交流が描かれていますが、会話の随所に音楽家の感性が光っています。
カズオ・イシグロ氏が注目している村上春樹氏の作品にも音楽が登場します。音楽ファンの一人として、次は村上氏が受賞することを願いながら、この本の第四話「夜想曲」を読むことにしました。
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