あおり運転に思う
警察庁は19日、高速道路であおり運転をしたなどとして、全国の警察が今年1~6月に道交法違反の「車間距離不保持」で摘発した件数は、3057件だったと明らかにした。
いわゆる「あおり運転」で摘発された件数が半年で3千件!驚くべき数字である。
ドライバーなら誰もが経験している危険な運転の数々。特に高速では、ピタッと後ろに付けられることは当たり前で、大型トラックなどに付けられると危険この上ない。
私も、注意したドライバーに逆恨みされて、追いかけられた経験があるが、パッシングして猛スピードで後を付けられて怖い思いをした一人である。
ハンドルを握ると性格が変わるというのは本当だろうか・・・
性格が変わると言うより、日常のストレスが運転に表れると言った方が正しいだろうか。危険なあおり運転について考察してみた。
■ 時間に追われる現代人
ネットで注文した商品がその日の内に届く時代である。世の中は確実にスピードアップしている。「待ったなし」の社会に心の余裕は無い。
その反面、労働時間は短縮している。働き方改革の一環で「ノー残業デー」が浸透し、さらに「プレミアムフライデー」もできた。
限られた時間内に成果を上げなければならない。その成果もデータ化されコンピューターに管理されるようになった。ネット社会、スマホ社会、A I 社会は便利だが、時間とコンピューターに追われる日々がいやおうなしに到来したのである。
やっと一人になって運転席に座る時、抑えられていた自我が目覚めるのではないか。その自我が暴走して、スリリングな運転を求めるのではないだろうか。
時間に追われ、社会から抑圧されたドライバーが増えたことが危険な運転の背景にあると思われる。
■ 自己中心人間の増加
少子化と核家族の中で、人間関係を学習しないまま大人になった社会人が増えている。「譲り合う心」や「我慢する心」が欠如して、自分さえ良ければいいという「自己中心的な人間」が増えているように思う。
自分の思うようにならないとすぐ「キレる」 幼稚な大人が、この問題のもう一つの背景にあるような気がする。
■ ストレスの多い道路
一般道では、やたら信号機が目立つ。 幹線道路が複雑に交差する道路では系統信号も限界がある。したがって、赤信号で止まることは多い。交差する道路に人や車がいなくても、赤信号をじっと待たねばならない。
しかも市中の渋滞は一向に改善されない。郊外に立派な幹線道路が出来ても、住宅や商店が密集している中心部は一日中渋滞している。もう何十年も放置されたままである。主要道路の立体交差も、鉄道の高架も進んでいない。
その上、年がら年中道路工事が行われている。中には予算消化のための無駄な工事も含まれている。
今日のストレスの多い道路状況もこの問題の要因ではないだろうか。道路行政の在り方にも解決の糸口があるように思う。
以上、40数年の運転歴から自分なりに考察してみた。要は、取り締まるだけでは解決しない様々な問題が、「あおり運転」が多発する背景にあると思う。
もちろんこのような危険な行為を、社会のせいにしてはならないが、すべてのドライバーが、この機会に安全運転について考えてみることは大切である。
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