秋を告げる「女郎花」、深まる秋に葉鶏頭
■ 秋を告げる女郎花(おみなえし)
秋の七草のひとつ 「おみなえし」 、漢字で書くと「女郎花」。
歌人 若山牧水(1928・9・17 43歳没)は、著書 「秋草と虫の音」 の中で、「最も早く秋を知らせるのは何であらう。私は先づ女郎花を挙げる。」 と述べている。
カルチャーセンターで習った先生のお手本を見て、牧水の心情に迫ってみることにした。
女郎花(おみなえし)に対して 「男郎花(おとこえし)」 があるらしい。この歌のように、野辺の端に咲く白い花が男郎花(をとこへし)である。
旅と自然を愛した牧水は、ひっそりと野に咲く男郎花(をとこへし)に心惹かれたのだろうか。 尚、一むら(ひとむら)とは、ひとかたまりの意である。
女郎花咲き乱れたる野邉のはしに一むら白きをとこへしの花 牧水
■ 深まる秋に葉鶏頭(はげいとう)
秋深しピアノに映る葉鶏頭 松本たかし
その鮮やかな姿がピアノに映ると詠んだ句は、能楽師を志し後に俳人になった 松本たかし(1956・5・11 50歳没)の句である。 (能楽師で人間国宝の松本惠雄は実の弟)
ピアノの表面は、「鏡面仕上げ」 と言って鏡のようにピカピカに塗装されている。そのピアノに、庭の葉鶏頭が映っている映像に詩情を感じる。
松本たかしは23歳で結婚している。年上の奥様は当時としては珍しく洋楽のピアノを嗜んだようで、次の句にはピアノに対する新鮮な感動と、妻を得た喜びが表れている。
この夏を妻得て家にピアノ鳴る 松本たかし
夏が去り、秋が訪れ、深まっていく・・・
季節は常に芸術を伴って歩いているように思う。
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