クラシック音楽の日
9月4日は「クラシック音楽の日」です。と言っても、9月4日に何の意味もありません。ただの数字のゴロ合わせだけです。
制定した 「現・一般社団法人日本クラシック音楽事業協会」 のサイトを見ても、特に「クラシック音楽の日」という記事はありませんでした。旗振り役がいないので、全国的にもこれと言ったイベントやコンサートはありません。
何とも盛り上がりに欠ける「クラシック音楽の日」ですが、この機会にあらためてクラシック音楽のことを考えてみることにしました。
■ クラシックは何処へ
若者のクラシック離れとクラシックファンの高齢化で、クラシック音楽の将来は危うい状態が続いています。日本だけの現象ではなく、世界的な傾向と言われています。
一番の原因は現代音楽の失敗です。ごく一部の例外を除けば、ラヴェルの「ボレロ」(1928年)以降、およそ100年間、クラシックの名曲は生まれていません。
現代音楽は、無調と不協和音の世界です。とても支持される音楽ではありません。
結果として、現在のクラシックコンサートは100年前200年前の古典派やロマン派の音楽を繰り返し演奏しているに過ぎません。音楽を楽しむより、演奏の違いを楽しむことがクラシック音楽の聴き方になってしまいました。 (そこに価値観があるという見方もあります)
この100年新しい名曲が生まれないクラシック音楽は、美術や文学の世界に比べて話題性も新鮮味もありません。衰退するのは当然かも知れません。
それでも新しいファンを増やそうと様々な試みが行われています。親子向けの楽しいコンサートや、0歳からの音楽会、低額なワンコインコンサート、ランチタイムコンサートなどでクラシック人口の底辺を広げようとしたり、ゲーム音楽やアニメ、フィギアとのコラボ、映画館でのライブビューイング、プロジェクションマッピング、コンサートホールでの生演奏と映画のコラボなど、企画は目白押しです。
また、ビジュアルを前面に出したアーティスト展開、コンクールや音楽祭、ラ・フォル・ジュルネなどの大規模イベントの開催は増加傾向にあります。
しかし、クラシック音楽の人口は変わりません。ただ減少に歯止めをかけることには寄与しています。
そして、プロアマを問わず毎日行われているクラシックコンサート。恐ろしいほどの数のクラシックコンサートが連日開催されているのです。玉石混合、芸術性の高いコンサートから話題性だけのコンサート、自己満足のコンサートまで・・・
また、海外のオーケストラやオペラなど、質の高いコンサートはチケット代が高額で手が出ません。特に若い世代には負担でしょう。聴きに行くのは年配の常連客です。客層が広がることはありません。
クラシックに芸術性を求めるのか、底辺を広げ大衆路線を目指すのか、自分たちが楽しむコンサートを開くのか、アイドルを作るのか、話題性で集客するのか、参加型のコンサートにするのか・・・、あまりにも多様化して先が見えなくなりました。
もちろん、クラシック音楽の普遍性は変わらず、ある一定の音楽ファンは残るでしょう。しかし、社会の変化の波はクラシック音楽を変質させていくのではないでしょうか。すでにその兆候は表れています。
結局クラシック音楽は何処へ行くのか?誰にも分からないのが現状だと思いました。
「クラシック音楽の日」に
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