傷心のピアニストの奇跡
長年コンサート通いをしていると、稀に人知を超えた演奏に接することがあります。
一週間前のコンサート(佐藤由美ピアノリサイタル 2017・7・17 電気文化会館)で、その奇跡は起きました。
突然の交通事故で心身ともに大きな傷を負ったピアニスト。計り知れないプレッシャー、極限の精神状態の中で開かれたリサイタルは、まさに覚悟のラストコンサートでした。
しかし、特に後半のプログラム「展覧会の絵(ムソルグスキー)」は、パワー全開の渾身の演奏でした。
細部にわたるきめ細かい描写から、無数の色彩感、ホールの天井から降り注ぐ音の洪水。オーケストラの迫力と色彩に全く引けを取らない迫真の演奏でした。
覚悟のラストコンサートは、ピアニスト佐藤由美の再スタートのコンサートになりました。
微力ながらこのピアニストを応援してきて本当に良かったと思いました。人知を超えたパワーは苦難に立ち向かった人にだけ与えられるものかも知れません。
前途を祝し、益々のご活躍を心より願っています。アンコールはオールショパンで5曲。佐藤由美の面目躍如といった演奏でした。
これまで、壁だと思ってたものが
本当は扉だった。 (しみずたいきの言葉より)
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