鑑真和上に捧げた「祈りの障壁画」
豊田市美術館で開催中の 「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」 を鑑賞する機会に恵まれました。
東山魁夷は、唐招提寺を開基した鑑真和上(注)に捧げる全68面の障壁画を、十年の歳月をかけて完成させました。すべての仕事を断り、全身全霊で制作した東山の記念碑的大作です。 (パンフレットより一部転記)
(注)鑑真和上は天平の昔、伝戒の師として日本の招聘に応じて来朝された唐の高層である。度重なる難船や妨害などに遭い、辛苦の末、十二年の歳月を費やして渡来されたが、その時、和上は既に失明しておられた。 (新潮文庫 唐招提寺全障壁画より)
今回の展示会では、通常非公開の障壁画も含め、その全障壁画が一堂に展示されました。もちろん東海地区では初めてのことです。
七州城の隅櫓(左)を過ぎると、広々とした近代的な前庭に出ます。
入り口は静かでしたが、館内は人の波でした。やはり、東山魁夷の人気は絶大です。
画像出典 http://matono.exblog.jp/13545748/
およそ1時間かけてゆっくり観ることが出来ました。鑑真和上に捧げた障壁画は、視力を失った和上への、東山の限りない 「祈りの結晶」 とも言える作品でした。
鑑真和上は、天平宝字7年5月6日に亡くなったとされています。東山魁夷は、平成11年5月6日に亡くなっていますので、命日は同じです。お二人は余程強い縁で結ばれていたのではないでしょうか。
■ ご参考 当ブログ 東山魁夷記事 音楽と絵画の融合