「穀雨」 大地をうるおす/雨の名前について
本日は朝から久しぶりの雨になりました。
この時期の雨を 「穀雨(こくう)」 と言います。大地をうるおす恵みの雨です。あらゆる作物に取って必要な雨です。特に種まきや田植えの時期に降る恵みの雨です。
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五穀豊穣をもたらす恵みの雨に感謝しながら、「雨」 の色々な名前について調べてみました。
■ 雨の名前の勉強です
桜の時期の雨を 「桜雨(さくらあめ)」、その頃のにわか雨を 「花時雨(はなしぐれ)」 と言います。春の長雨を 「春霖(しゅんりん)」、いずれもきれいな名前が付いています。
冬に積もった雪を解かすように降る雨を 「雪解(ゆきどけ)雨」。そのままですね。
花が早く咲くよう促す雨を 「催花雨(さいかう)」 。その咲いた花に降り注ぐ雨を 「紅雨(こうう)」 と言いますが、「早く咲いてー」と催促する雨とは 「粋な雨」 もあるものです。
梅の実の熟する頃に降る雨をご存知 「梅雨」。 また、この時期に黴(カビ)が生じやすいことから 「黴雨(つゆ・ばいう)」 とも言います。
菜の花が咲くころの長雨を 「菜種梅雨(なたねづゆ)」。やはり長雨で卯の花が腐ってしまうと言う 「卯の花腐し(くたし)」。雨も多種多彩です。
また、「穀雨」 と同じように穀物を育む雨を 「瑞雨(ずいう)」、草木をうるおす雨を 「甘雨(かんう)」 と言います。センスを感じる名前です。
陰暦の5月頃(新暦5月下~7月上)に降りつづく長雨を 「五月雨(さみだれ)」 と言い、芭蕉の句 「五月雨を集めて早し最上川」 は有名ですね。
新緑の美しい時期の雨を 「青葉雨(あおばあめ)」。その青葉に降る雨を 「翠雨(すいう)」 と言います。これもきれいな名前です。
七夕の夜に降る雨を 「洒涙雨(さいるいう)」 と呼んで、織姫と牽牛が逢瀬の後で流す惜別の涙が雨になったと言われています。何とも切ない雨ですがロマンティックな名前です。
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明るい空から降る夏のにわか雨を 「白雨(はくう)」、真っ黒な空から降る大雨を 「黒雨(こくう)」。 カミナリと一緒に降るにわか雨を 「電雨(でんう)」 、「神立(かんだち)」。
天気が良いのに降る雨を「天泣(てんきゅう)」。「狐の嫁入り」 とも言いますが、天が泣くとは面白い言い方です。また、日照り続きの後に降る恵みの雨を 「慈雨(じう)」、「錦雨(きんう)」、「喜雨(きう)」 と言います。
激しく降る雨粒の大きい秋の雨を 「白驟雨(はくしゅうう)」。霧のような細かい雨を 「霧雨」 。そして秋の長雨を「秋霖(しゅうりん)」 と言い「春霖」 とは対を成しています。
晩秋から初冬にかけてのにわか雨をご存知 「時雨(しぐれ)」、しとしとと降り続くもの淋しい秋の雨を 「蕭雨(しょうう)」 と言います。
時雨には、「月(つき)時雨」、「さんさ時雨」、「小夜(さよ)時雨」、「山茶花(さざんか)時雨」、「北山(きたやま)時雨」 などもあるようです。
変わったところでは、宮中行事 「神嘗祭(かんなめさい陰暦9月17日)」の翌日に祭祀(さいし)の後を清める雨を別名 「伊勢(いせ)清めの雨 」 と言います。 厳かな雨です。
冬の凍るように冷たい雨を 「氷雨(ひさめ)」、「凍雨(とうう)」 と言い、冬の終わりの 「三寒四温」の暖かい四日間に降る雨を 「四温(しおん)の雨」 と言います。
大晦日に降る雨 を 「鬼洗い(おにあらい)」、元日から三日の間に降る雨のことを 「御降り(おさがり)」 と言い、特別な雨として崇めました。
季節に関係なく、音もなく降る細かい雨を 「小糠(こぬか)雨」 と言いますが、演歌にも登場します。尚、「細雨(さいう)」、「煙雨(えんう)」、「微雨(びう)」、も同義語です。
雨の名前は 百通りあるとも言われていますが、その半分程度をご紹介しました。私も勉強になりました。
あらためて日本人の豊かな感性に驚くと同時に、「雨の日」は雨の恩恵に感謝して過ごそうと思いました。
「晴れた日は晴れを愛し 雨の日は雨を愛す」 吉川英治
※参考サイト ・風土の中の気象 ・暮らし歳時記
※参考書籍 日本の七十二候を楽しむ(東邦出版)
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