2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

開設以来のバックナンバー

書の作品

  • Img_20190628_0001_new
    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
フォト
無料ブログはココログ

« 見納めの桜 | トップページ | 何かがおかしい~最近の出来事~ »

2017年4月15日 (土)

音楽産業の多様化と行方

個人的見解に過ぎませんが、日本の音楽産業の将来について考えてみました。※当ブログの性格上、ややクラシック音楽寄りのスタンスになります、ご了承下さい。

きっかけは、日本コロムビアの上場廃止のニュース(フェイスの子会社になり 2017年8月1日付で東証1部上場廃止予定)です。日本コロムビアは日本最古のレコード会社です。


確かに音楽産業のバロメーターである CD(12cm) の生産数量は年々減少し、10年前の半分ほどです
。生産しても売れない状況が続いています。

17
(社)日本レコード協会 「日本のレコード産業 2017」 2017・4・5発表資料より(クリックで拡大します)


私もCDを以前ほど買わなくなりました。クラシックに限って言えば、新譜に魅力がありません。普段はYouTubeやストリーミング(ナクソス)でも十分楽しめます。

たまに買おうとすると、CD店にもメーカーにも在庫がありません。したがって、ネットで輸入盤を安く買っています。安く早く確実に入手できます。

CDショップも減っています。寂しい限りです。日本のCDは価格が高いので違法コピーも後を絶ちません。このままでは、CDは過去の遺物になってしまうでしょう。

19
同 「日本のレコード産業 2017」 資料より (クリックで拡大します)

ただ相変わらず、握手券などを封入したアイドル歌手のCDはそこそこ売れているようです。逆に、おまけ付きでCDを売る商法がなかったら、CDは誰も買わなくなるでしょう。「おまけ」 に支えられた現状は残念です。


CD全体の売り上げは低迷していますが、一方でコンサート(ライブ演奏)は日本中で連日のように開催されています。主催者はコンサートホール(会場)を押さえるのに四苦八苦の状況です。

コンサートの市場規模は動員数の増加に伴い大幅にUPしています。

1117
ぴあ総研 「2016ライブエンタテイメント白書」 2016・9・28発表資料より(クリックで拡大します)

2015年度のコンサート観客動員数は、4486万人。国民の3人に1人は何らかの音楽コンサートに足を運んだ計算になります。また、市場規模は5000億円を超えました。


このことは、音楽の楽しみ方が変わりつつあることを示唆しています。音楽産業の構造が、コンサート中心になれば、それはそれで悪いことではありません。

少子高齢化で、子供の音楽人口は減っていますが、大人は増えています。さらに、従来の聴くだけの受動的な音楽から、自ら演奏して音楽を楽しむ能動的な音楽体験が増えています。定年後の合唱活動などが顕著な例です。

J-POPやアイドル系、ビジュアル系のコンサート・ライブも、会場が一体となって盛り上がる点では参加型と言えます。

生の音楽を楽しむ人に加え、生の音楽に参加する人が増えているのです。そのことが、コンサート人口の増加に拍車をかけています。

また、減少している子供の世界では、ピアノなどの音楽コンクールが盛んです。Nコンなどの合唱コンクールや吹奏楽コンクールも盛んです。コンクールは音楽産業の一角を占めています。ここでは、より質の高い音楽を求める流れがあります。コンクールの隆盛もコンサート人口の増加に一役買っています。


以上の観点から、CDの売り上げだけが、音楽産業のバロメーターとは言えなくなりました。音楽産業は時代と共に多様化しています。

スマホに音楽をダウンロードしたり、ストリーミングで再生したり、映画館でライブビューイングを楽しんだり、シネマコンサート(コンサート会場で映画を映す)、音楽フェス(大規模な音楽イベント)に出掛けたり、カラオケやサークル活動に精を出したりと多岐にわたります。

ライフスタイルの多様化が、そのまま音楽産業の多様化につながっていると思われます。

この先、音楽産業はどのように発展していくのでしょうか。人工知能(AI)が作曲する時代です。ロボットが演奏する時代です。プロジェクションマッピングなどの新技術も導入されています。初音ミクのようなバーチャルシンガーも現れました。

先端技術が導入された音楽と、生の演奏に回帰する音楽。その両者が交差し共存する音楽の先にあるものは何でしょう。


音楽産業の未来を考えることで、都市と地方の文化的格差を無くしたり、クラシック音楽の衰退に歯止めをかけたり、紅白歌合戦やレコード大賞の在り方を考えたり、日本の音楽文化全体を見渡すことが出来ます。


議論を深め、日本の音楽産業の発展を見守りたいと思います。


« 見納めの桜 | トップページ | 何かがおかしい~最近の出来事~ »

音楽」カテゴリの記事