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  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2017年1月22日 (日)

流るる翠碧

騒動から3年、新垣隆氏も、日本を代表する作曲家の一人として認知されるようになりました。

世界一のクラシックCD売り上げを誇るナクソスレーベルの 音楽配信サイト「ナクソスミュージックライブラリー」 にも、新垣隆の名前を見つけることが出来ます。

代表的作曲家一覧(一部分)の最後に新垣氏の名前があります(クリックで拡大)。 日本人は、山田耕筰や武満徹など10名ほどしか載っていません。

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その新垣氏の地元でのコンサート、今回は所用で行くことが叶わず、仕方なくCDで聴くことにしました。

交響曲 「連祷」 は、広島や福島を追悼する音楽として 「祈り」 がテーマになっています。どうしても、「HIROSHIMA」 を意識して聴いてしまいますが、これは純粋に新垣氏の渾身の一曲だと思いました。

ピアノ協奏曲 「新生」、まさに新生した新垣隆を象徴するような意欲的な作品です。堂々たる構成、豊かな曲想、叙情と激情、ピアノ協奏曲の醍醐味をすべて盛り込んだ魅力あふれる協奏曲でした。

途中、ベートーヴェンの 「悲愴ソナタ」 3楽章の主題を思い起こさせる旋律がありましたが、これもご愛敬でしょうか。

「流るる翠碧(すいへき)」 は、他の2曲と違って深刻なところはなく、川の流れをイメージした描写音楽の一種と思いました。

澄み切った空の青と、山々の緑を映し込んだ川の流れが、自然と共に描かれています。聴いていて、ふと、武満徹の 「波の盆」 を思い出しました。とても甘美な旋律がよく似ていますが、新垣氏の方がより聴き易くイメージが膨らみます。


今回、この3曲をあらためて聴いてみて、新垣氏の音楽家としての類いまれな才能を強く感じました。親しまれる氏のキャラクターは、クラシックという固い壁を越えて、聴衆に広く受け入れられる音楽を創造してくれると信じます。

その意味で、「流るる翠碧」 のような美しいオーケストラ曲が、これからも次々と生まれることを願っています。期待を込めて・・・


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