蜜蜂と遠雷 (本の紹介No.025)
私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?
国際ピアノコンクールを舞台にした小説 「蜜蜂と遠雷」 (恩田陸著)を読みました。
500頁二段組みのずっしり重い本です。
蜜蜂と遠雷 2016・9・20発行 (株)幻冬舎(1800円税抜き)
ピアノコンクールのコンテスタント(参加者)や審査員はもちろん、調律師やステージマネージャーなども登場するドキュメンタリータッチの長編小説ですが、あまりに白熱するコンクールの舞台に、時間も忘れて読みふけりました。
この小説は、余程コンクールに精通した人物か関係者でないと書けない内容です。作家が相当入念に取材・調査を進めたことが分かります。
気になる心理描写や、独創的な音楽表現の箇所に 「付箋」 を付けてみましたが、何と20か所以上もありました。今までの音楽を題材にした作品とは次元が違うようです。
※ 尚、このコンクールのモデルは、浜松国際ピアノコンクールのようです。読んでいくと何となく想像がつきます。
ミュージック。その語源は神々の技だという。ミューズの豊穣。 (中略)
音楽が駆けていく。
この祝福された世界の中、一人の音楽が、ひとつの音楽が、朝のしじまを切り裂いて、みるみるうちに遠ざかる。 (本文最終頁より)
2016年を締めくくるのに相応しい充実の一冊でした。
■ 第156回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が2017年1月19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は山下澄人さんの「しんせかい」に、直木賞は恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」に決まりました。
蜜蜂と遠雷 演奏曲 https://spread-root.com/mitsubachi-to-enrai-piano/#i-2(リンク切れはご容赦ください)
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