関口智子 Vn リサイタル/英国発の音楽を楽しむ
英国王立音楽大学にて研鑽を積んだ ヴァイオリンの関口智子さんの20周年リサイタルに出掛けました。 2016年10月10日(祝) シューベルトホール
ディーリアス、エルガー、バックスの3人の英国の作曲家による作品を披露されました。
特にメインの、アーノルド・バックス作曲 ヴァイオリンソナタ第2番は4楽章形式の大曲ですが、演奏機会も少なく、私も初めて聴かせていただきました。
この曲は、NAXOSレーベルの CD帯紹介文を引用すると、
「第一次世界大戦に対する作曲家の懸念が表現されたもので、不安げな表情とある種の艶かしさが全曲を支配します。特に第2楽章での奇妙なワルツは、まさに「死の舞踏」とも言えましょう。」
とあり、その当時の世相を反映したメッセージ性の強い作品です。
今回は、ノーベル文学賞を受賞した アイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats, 1865 - 1939)の詩が、シューベルトホール館長によって朗読され、コンサートをより立体的に楽しむことができました。
心よここにこないか
疲れた時代の
疲れ果てた心よ、さあ
善悪正邪の網目をねけでて
ここに来ないか
この夜明けの光のなかで
笑わないか。
心よ朝露のなかでまた
深い息をしないか
毒舌中傷の火に焼かれて
君の希望は消え去り
愛はくずれさるとも
君の母なる故郷は若いのだ
常に朝露は輝き
薄明かりは銀色なのだ
心よここに来ないか、ここでは
丘に丘が重なり、神秘の愛に満ちて
陽と月と森と川が互いに
いつくしみあっている
そして神はその淋しい角笛を吹き
時代と時間はひたすら飛び去ってゆくが
ここでは薄明かりは愛よりも優しく
朝露は希望よりも貴重なのだ
W.B.イェイツ「薄明の中へ」
訳 加島祥造
« 芸術の秋 到来すれど | トップページ | 仲道育代 レクチャーコンサート »
「音楽」カテゴリの記事
- 知られざる名曲 第259回 ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調 ラルゴ / ペルゴレージ(2024.09.01)
- 知られざる名曲 第258回 シャコンヌ ヘ短調 / パッヘルベル (2024.08.29)
- 知られざる名曲 第257回 さよならケンブリッジ(再別康橋) / 李達濤(アントニオ・リー)(2024.08.24)
- 知られざる名曲 第256回 オーボエ協奏曲 第1番 / ルートヴィヒ・アウグスト・ルブラン(2024.08.21)