秋の一曲(ピアノ曲)/チャイコフスキー
言うまでもありませんが、季節に四季がある国は、日本だけではありません。
ヴィヴァルディも、ハイドンも、ピアソラも、世界中の作曲家が 「四季」 をテーマにした曲を作っています。
ロシアの作曲家 チャイコフスキーも、一年12か月の季節の移り変わりを、「四季」というピアノ小品集にまとめ、「12の性格的描写」 と副題を付けました。
「 秋の歌(10月)」チャイコフスキー 「四季」 (Les Saisons) 作品37bより
演奏は、「この人の右に出る人はいない」 と断言できる カティア ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili )さんです。
12か月それぞれに詩が付けられ、10月は何の変哲もない詩ですが、この音楽と同時に味わうと趣があります。
秋よ、われらが粗末な庭は一面
落葉におおわれる
黄色い木の葉が風に舞い…… アレクセイ・ニコラエヴィチ・トルストイ
そして、チャイコフスキーは次のように語り、心ゆくまで秋を味わっている様子がうかがえます。
「毎日遠くまで散歩をし、森の中で居心地の良い場所を探し、散りゆく葉の香りが混ざった秋の空気、静けさ、秋の色が広がる風景の美しさを存分に堪能するのだ」
ただ、チャイコフスキーは秋の風景だけではなく、これから長くて厳しい冬へ向かう人々の憂いを、内面的に表現したかったのだと思います。
しみじみとした秋の情感を聴くには最適の一曲、最高の演奏と言えるでしょう。
「 秋の歌(10月)」 チャイコフスキー 「四季」 (Les Saisons) 作品37bより
ピアノ演奏 カティア ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili )
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