敬老の日特集2 「高齢者が支える社会」
<本当に高齢者はお荷物か>
日本の高齢者(65歳以上)は、3461万人。
総人口に占める割合(高齢化率)は、27,3%(世界一)、4人に1人以上が高齢者です。
2035年には、高齢化率は更に増えて33,4%、実に3人に1人が高齢者になります。
高齢者が増えれば、医療や介護などの費用が増大するばかりか、年金の支給額も増えて経済を圧迫します。 高齢化に伴う社会保障費の増大は避けられない状況です。
1970年(大阪万博当時)は、高齢者1人を、現役世代10人で支えていた訳ですが、2020年(東京オリンピック時)には、現役世代2人で支えなければならならないのです。
日本の国家予算は100兆円を超えました。
それもこれも、高齢化による社会保障費(医療・介護・年金)の増大が原因です。消費税を増税するのも、高齢化が主な原因です。 ( と、政府は説明しています。)
国民の40歳以上が払う介護保険料は毎年上がっていますが、これも急速な高齢化が原因です。 ( と、政府は説明しています。)
要するに、高齢化が国の財政を圧迫し、現役世代の負担を拡大させ、さらに増税する口実にもなっているのです。
まるで 「諸悪の根源」 のように言われる 「高齢者の増加」ですが・・・
別に高齢者が悪いわけではありません。
戦後、日本が目覚ましい復興を成し遂げたのは、寝る間も惜しん働いてきた勤勉な「働きバチ」(現高齢者)のお蔭です。もちろん週休2日制など無い時代です。
むしろ、少子化対策を怠り、高齢化を招いた政治の責任は大きいでしょう。 (高齢化は世界の潮流ですが、日本は突出しています。 高齢化率=日本25.78%、ドイツ21.25、フランス18.30、イギリス17.81、カナダ15.58、オーストラリア14.65、アメリカ14.31、ロシア13.09、韓国12.57、中国9.12、フィリピン3.97、アラブ首長国連邦0.45など) GLOBAL NOTE 世界の高齢化率 2015
当ブログでは、まるで 「社会のお荷物」 のように言われている 「高齢者」 にスポットを当て、実は高齢者で成り立っている社会の現状について考察することにしました。 ※この記事には、3年前に自治会長を拝命した私の経験も含まれています。
<こんなにある高齢者の社会貢献>
■ 地域の安全を見守る高齢者
1.交通安全
通学路にある「交差点」、「横断歩道」 で、黄色いジャンパーを着たオジサン・オバサン達を良く見かけますが、皆さんは自治会の交通安全委員です。PTAや学校の職員と協力して、子供たちの交通安全を見守っているのは地域の高齢者です。
2.防犯
多くの校下では、主に高齢者による 「こども見守り隊」 が結成され、登下校時の子供達の安全に目を光らせています。また、自治会では、独居老人への声掛けや、空き家調査なども実施され、地域の安心に貢献しています。
さらに夜間は、定期的に青色回転パトロール車が町内を巡回して防犯を呼び掛けています。また、「こども110番の家」 登録によって、児童への犯罪を未然に防ぐボランティア活動も行われています。
これらの活動の多くはやはり高齢者によるものです。 今や地域の安心・安全は、高齢者なしでは成り立ちません。
■ 地域を美化する高齢者
1.地域の清掃・美化
毎朝、自宅前の道路を掃除しているのは高齢者の皆さんです。特に桜のシーズン、落ち葉の頃は大変です。公園、歩道、寺院、神社、墓地などの清掃も、自治会や老人クラブの高齢者が自主的に行っています。
2.地域のイベントの清掃
お祭りや盆踊り、運動会、バザー、花火大会などのイベント後の清掃活動も、地域の自治会やスポーツ委員などに所属する高齢者の皆さんが率先して行っています。
きれいな町並みは地域の高齢者によって保たれているのです。
■ ボランティア活動に精を出す高齢者
社協、福祉委員、民生委員などの活動も高齢者が支えています。そのほとんどは報酬のないボランティア活動です。
1.障害者や高齢者への日常支援、災害時の支援
2.自治会、町内会、奉仕団体の運営
3.観光ガイドや、NPO団体、イベントサポーターなどでの活動
■ 文化、カルチャー産業を支える高齢者
1.コンサートや観劇、美術展の来場者の多くは高齢者です
2.カルチャーセンター、生涯学習の受講者も多くは高齢者です
3.音楽、スポーツなどの地域のサークル活動を支えているのも高齢者です
4.運動会などのスポーツイベントも高齢者なしでは成り立ちません
■ 大きな購買力で産業を支える高齢者
1.買い物はもちろん、食事、レジャーも高齢者の出費で支えられています
2.国内・海外ツアーの旅行産業を支えているのも多くの高齢者と言えるでしょう
■ 医療、介護ビジネスを支える高齢者
1.言うまでもなく、病院の待合室は高齢者の談話室です
2.当然ですが、介護施設(ビジネス)は高齢者で成り立っています
■ 次世代(子や孫)へ支援する高齢者
1.資金的に余裕のない子育て世代に、高齢者は金銭的援助をします
2.孫の世話など、家庭の労力を補うのも高齢者です
■ 労働力としての高齢者の活躍
1.ガードマンや交通整理の多くが高齢者です
2.農業、林業、漁業を支えているのも高齢者です
3.シルバー人材センターなどで多様に活動しています
■ 年金から天引きされ、税金などを負担している高齢者
介護保険料はもちろん、市町村民税、消費税、固定資産税、公共料金、医療費などは立派に支払っています (生活保護、非課税世帯は除く)
思い付いただけでも、こんなにある 高齢者の社会貢献--
■ あとがき ~志の高い高齢者を目指して~
高齢者は 「社会のお荷物」 ではなく、「社会になくてはならない存在」 です。今日の日本の社会は高齢者が支えていると言っても言い過ぎではないでしょう。
当ブログでは、「敬老の日特集」 として、急速な高齢化の現状と、幸福な高齢者の在り方を考察しながら、社会に貢献する高齢者にスポットを当ててみました。
誰もが 「ハッピー」 な高齢社会はあるのでしょうか? そのカギは高齢者自身が握っているような気がします。
■ 「与生」 と言う生き方の提案
高齢者は、社会に守ってもらう弱い存在ではありません。むしろ社会に貢献し、社会をけん引している存在です。
幸福な老後は、自身の生き方にあると思います。積極的に地域社会と関わり、趣味やボランティア活動などに 「生きがい」 を見出すことではないでしょうか。
多くの友人と会話を楽しみ、見聞を広め、自然に感謝して穏やかに時を過ごす。そんな生活が 「幸福な老後」 につながると思います。
さらに、「与生(よせい)」 という考えに至ることが重要です。「与生」 とは、与えられた生命という意味ですが、そのことに感謝して生きる生き方です。
私たちの人生は多くの恵みによって 「与えられたもの」 です。父母に感謝し、自然に感謝し、周りのすべてに感謝して生きる生き方を 「与生」 と言います。
多くの恵みによって 「与えられた人生」 だからこそ、これからは 「多くの人に与えて生きていこう」 と考えることも 「与生」 と言います。人のために尽くす生き方です。
すでに多くの高齢者は 「与生」 を生きています。
ただ、そのことを意識している人は少数です。当ブログは、「与生」 を意識して生きる生き方を提案します。意識することで 「与生」 は生きてくると思います。
輝かしい人生の後半が、世界中のすべての高齢者に訪れることを願って2日間にわたる 「敬老の日特集記事」 を終わります。お付き合いありがとうございました。
当ブログ参考記事
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