武満徹 没後20年の秋に思う
今年は、日本を代表する世界的作曲家 武満徹(1930 - 1996)の没後20年にあたります。
武満徹氏と言えば、ささやかな思い出があります。
1992年9月、第1回 「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」。 両陛下もご臨席された、この音楽史に残るコンサートの会場に、私も運よく足を運ぶことが出来ました。
開演前のロビーで、武満徹氏をお見掛けしました。賑わうロビーの中で、氏は一人 「ポツン」 と立っておられました。何かを考え込んでおられる様子でした。 私にはお声をかける勇気はありませんでした。
https://tokyoartnavi.jp/exhibition/detail.php?event_id=00020744(画像出典)
さて、この日のオープニング曲は、武満徹作曲の 「セレモニアル」(委嘱作品)で、もちろん世界初演でした。 武満氏の雅楽曲 「秋庭歌(しゅうていが)1973年」 の旋律が使われており、宮本まゆみ氏の笙(しょう)の音色が際立って美しく幻想的な作品でした。
メイン曲の、ブラームス交響曲第1番の演奏は歴史的な名演でしたが、何故か、オープニングの 「セレモニアル」 が心に残り 今も忘れることが出来ません。
武満氏は、癌による長期入院生活の末、4年後の1996年に65歳で他界されました。あの時お見掛けしたのが最初で最後でした。
毎年、秋になると作曲家 武満徹 を思い出します。前述の「秋庭歌」の他にも、「ノヴェンバー・ステップス」、「ア・ストリング・アラウンド・オータム」 など、氏の作品には〝 秋 ”に因んだ作品が多いのは興味深いことです。
氏の作曲した映画音楽の中にも、秋に因んだ作品があります。
「燃える秋」 作詞 : 五木寛之、 作曲 :武満徹、 唄 : HI-FI-SET
今夜はこの曲を聴いて、武満氏を偲びたいと思います。
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