ウスリーの赤き流れに
演劇については全くの門外漢ですが、知人の薦めで 「ウスリーの赤き流れに」 という舞台を観る機会に恵まれました。
ウスリーとは、ユーラシア大陸の北東部を流れるウスリー川のことで、戦時中は満州国(日本が統治)と、ソ連の国境をなす要所でした。
その要所にあった関東軍の 「虎頭(ことう)要塞」 の攻防では、日本が無条件降伏した昭和20年8月15日を過ぎても、ソ連軍の猛攻により、民間人を含む日本の国境守備隊など2千数百名が命を落としました。
画像出典 虎頭要塞日本側研究センター
終戦後に何故このような悲劇が起こったのか? 生き残った日本兵3名の証言をもとに製作されたのが 「ウスリーの赤き流れに~1945年8月の証言」 です。 (今回は平成12年初演の再演)
戦後71年、戦争を決して風化させてはいけない!と言う決意と、反戦の強いメッセージを感じる公演でした。 役者さんのセリフに 「平和の願い」 が込められていました。
しかし戦争体験者は減って風化は進んでいます。 戦争の生き証人で、反戦を訴え続けたジャーナリスト むのたけじさんも、先日101歳で他界されました。
誤った国策により他国を侵略し、遂には熾烈な沖縄戦、本土空襲、原爆投下、そしてソ連の参戦による在留邦人の悲劇、シベリア抑留。 非人道的で理不尽な状況下で、310万人もの日本人が犠牲になったのです。
本公演は、「平和」 と言う美名のもとに 「戦争が出来る国」 に変貌しようとしている日本の現状に、「強い警鐘」 を鳴らすもので、上演の意義は深いものがありました。
会場近くの公園で、ポケモンGOに興じる多くの若者を見かけました。この平和がいつまでも続くことを願いながら帰途につきました。
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