コンクールを制する韓国の戦略
韓国のチョ・ソンジン氏が、世界最高峰のショパンコンクールを制したのは記憶に新しいところですが--
このほど開かれた 第6回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門で、韓国のキム・ヒョンジュンさんが第1位となり、優勝を果たしました。
実は、5月に開かれたバイオリン部門でも、韓国のジャン・ユジィンさんが1位で優勝していますので、ピアノ・ヴァイオリン両部門とも、韓国勢が1位を独占したことになります。
このところ、国際コンクールでの台頭が著しい韓国の音楽家ですが、行政主導の文化振興対策が明らかになっています。
ソウル市が6月28日に発表した 「ビジョン2030,文化市民都市ソウル」 によると、まず5年以内に工芸博物館やクラシックコンサートホール、シネマテークなど5大文化施設を新設するとしています。
その予算は、2020年までに3兆6546億ウォン(約3200億円)で、2030年までに文化予算占有比率を、市予算の3%以上に拡大する計画とのことです。 ちなみに、3%はフランスのパリと同等です。(東京は0,2%) 主要都市の文化予算 PDF
2016年8月18日にオープンする 「ロッテコンサートホール」 は、大型パイプオルガンを備えた2036席のクラシック専用ホールです。
オープン記念公演には、ロサンジェルスフィル、ニューヨークフィル、スカラ座管弦楽団、ドイツ放送響など、世界の一流オーケストラのコンサートをはじめとした22の公演が計画中です。
韓国は国威高揚の一環として、スポーツ、文化を活用しようとしています。特に、オリンピックや、国際コンクールなどに国を挙げて取り組んでいるのが良く分かります。
その戦略は、フィギアのキム・ヨナ選手や、ピアニストのチョ・ソンジン氏の快挙が証明しています。
ハード、ソフト両面での韓国の戦略に、世界の熱い視線が集まっています。日本にも見習うべき点があるのではないでしょうか。
そもそも、教育大国である韓国には、「英才教育振興法」 という法律があり、国家的エリートの育成に注力してきました。その成果が実を結んでいると言って良いでしょう。
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