投票率を決めるもの
第24回参議院選挙は、改憲勢力が圧勝して終わりました。事前の予想通りの結果でした。
投票率は54,7%で、戦後4番目に低い数字です。有権者の半数近い人は投票しませんでした。
7月11日付 中日新聞より
投票率が低い原因は、「現状の政治に不満がない」 からでしょうか、それとも、「どの政党が勝っても同じ」 だと思っているからでしょうか。
ただ単に 「投票所に行くのが面倒」 だからでしょうか。 「もう何も政治に期待していない」 からでしょうか。
過去の投票時間の延長や期日前投票の導入も、投票率を上げることは出来ませんでしたが、今回の18歳選挙権導入の評価はこれからです。
ただ、こんなに「冷めた目」 で政治を見ている国は日本だけでしょうか、調べてみました。
ヨーロッパ諸国は、ドイツ71%、イタリア76%、英国66%と続きますが、国民の政治参画意識の高い北欧では、スウエーデン85%、アイスランド85%、デンマーク88%、ノルウェー76%、フィンランド67%です。
投票を国民の義務として、罰則規定を設けている国は、シンガポール93%、オーストラリア93%、ベルギー89%、ウルグアイ90%、トルコ88%、ブラジル82%等となっています。 (IDEA等データ参考)
一方、フランスは57%、アメリカは59%と6割を切っています。 先進国でも投票率に差が生じるのは何故でしょうか。
日本では一票の格差を是正することも大事ですが、そもそもの投票率を上げることに取り組むべきだと思います。
近年の選挙では、事前の情勢分析の精度が増しているのか、選挙前に結果が予想され、かなりの確率で傾向が分かるようになりました。
マスコミ各社が行う世論調査で、政党別の支持率や内閣支持率、さらに候補者の得票勝敗ラインなどが分かるようになりました。
また、大規模な出口調査が行われ、当選者がいち早く分かる仕組みが出来上がっています。
その結果、まだ開票前に 「当選確実」 になる候補者も多く、今回も、午後8時の投票締め切りとほぼ同時に、90名近い 「当確」 がアナウンスされました。121議席中75%の90議席が、開票を待たずして(開票率0%)で、「当選確実」 となってしまうのです。
選挙前に候補者や政党の支持率が分かり、開票と同時に当落が分かってしまう現在の選挙は、有権者にとってやや味気ない感があります。投票することに意味があるのでしょうか。わざわざ投票所に行っても、結果は見えています。
不謹慎かも知れませんが、選挙にも 「ドラマ性」 を持たせるべきだと考えます。以前の「小泉劇場」 がそうでした。
国政選挙に関しては、国民の関心を高めるためにプロデューサーを置くべきで、例えば、三谷幸喜氏などが適任です。
そして、事前の世論調査は控えるべきです。有権者に予断を与えることになりかねません。新聞各社の政治記者の情勢分析で良いと思います。
出口調査も止めてほしいと思います。刻々と変わる開票結果が選挙の醍醐味です。
私見ですが、投票率を上げる秘策は、「ドラマ性」 と、結果の読めない「ゲーム感覚」 を取り入れることだと思います。
過度の世論調査と、速報を競う出口調査は、マスコミの自己満足に過ぎません。再考の余地があります。
そんなことを感じた今回の参院選挙でした。皆様はどう思われましたか?
長文にお付き合い下さりありがとうございました。
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