人は愛と喝采を求める 「偉大なるマルグリット」
以前、当ブログで紹介した映画 「偉大なるマルグリット」 を鑑賞してきました。
予告編では、主人公の歌姫マルグリットが歌う 「夜の女王のアリア」 に捧腹絶倒しましたが、やはり本編を観ると、人生の悲哀を感じてしまいます。
時代は第一次世界大戦直後のフランス、混迷する20世紀の幕開けが映画の背景にあります。貴族や芸術家の光と影、拝金主義、皮肉で残酷な社交界。
音痴の歌姫マルグリットは、その社交界にあって、純粋に歌を愛しオペラを歌い続けます。
彼女が、人気のオペラ歌手という虚像の中にから抜け出せないでいるのは、人々の 「喝采」 でした。 財産目当ての腹黒い周囲の人々からの 「喝采」 の嵐。
その偽りの 「喝采」 に彼女は溺れていきます。
しかし、夫だけは自分に振り向いてくれないのです。夫は浮気をしていました。
マルグリットは、夫の愛が得られない淋しさを紛らわすかのように、オペラの世界に没頭していくのでした。
しかし、夫はマルグリットを愛しています。それ故に 「彼女を傷つけたくない」 と、本当のことが言えないのです。ほのぼのとした夫婦愛が、この映画の一つのテーマです。
そして、「愛」 と 「喝采」 を求める 歌姫マルグリットの物語は悲しいラストシーンを迎えるのでした・・・
劇中歌われる ベッリーニの美しいアリア 「清らかな女神よ」 (ノルマより) がとても印象的でした。古今東西のオペラアリアの中で最も格調高い曲です。
マルグリットが歌う映画のワンシーン(3分9秒) ※倒れる寸前に、客席の夫のために奇跡的に正しい音程になり素晴らしい歌唱を聴かせます。この映画の見どころです。
イタリアの歌手モニク・ザネッティが歌う同曲(5分40秒) ※こちらを先に見ることをお勧めします。
■ 主演のカトリーヌ・フロ(仏)は、2008年公開の仏映画「譜めくりの女」でも、ピアニスト役を好演しています。音楽家の役が得意のようです。
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