ライナー・ホーネックの「雨の歌」
ライナー・ホーネックのヴァイオリンリサイタルを聴く機会に恵まれました。 (2016・2・7 NBKコンサートホール 満席)
ホーネックはご存知 ウィーンフィルのコンサートマスターです。 まだ20代でコンサートマスターに抜擢された実力は、年齢を重ね 円熟味を帯びてきました。
ベートーヴェンのソナタ1番、ドヴォルザークの4つのロマンティックな小品、シューベルトの華麗なるロンド、そしてメインは、ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番 「雨の歌」 でした。
ホーネックの全身から表出される音楽は、作品の本質に迫るものです。感情に流されることなく、むしろ節度を持った上質な音楽を感じさせます。
そして、1709年製ストラディヴァリウスの流麗な音色は、ため息が出るほど美しく、ホールの空間に漂いました。
ピアノの村田千佳は、ホーネックの音楽性を完全に共有しているのでしょうか、豊かな表情と高い芸術性でヴァイオリンを支えます。 多くの演奏家から信頼と称賛を得ている理由が分かりました。 以前聴いた時より一段と洗練された印象でした。
夕刻から始まったコンサート、ガラス張りのホール内から、黄昏の外の様子が分かります。まさに、ブラームス 「雨の歌」 の心境です。 内面を見つめるホーネックの端正な演奏・・・
あらためて音楽を聴く喜びを感じ、心の充足を覚えました。 演奏されたお二人と主催関係者に謝意を表します。
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