2015年 クラシック音楽界10大ニュース
1年の締めくくりに当たり、当ブログが独自に選んだ 「2015年クラシック音楽界10大ニュース」 を発表します。
1.ショパン国際ピアノコンクールで韓国 チョ・ソンジン氏優勝
空前の国際コンクール当たり年だった2015年、その最高峰とも言えるショパンコンクールで、韓国のチョ・ソンジン氏が優勝しました。アジアでは中国のユンディ・リ氏 に次いで2番目の快挙でした。
その後、フランス人審査員アントルモン氏が、チョ・ソンジン氏の演奏(本選)に、最低点の1点(10点満点)を付けていたことが分かり、大きな話題になりました。
左 アントルモン氏 右 チョ・ソンジン氏=(EPA=聯合ニュース)
2.シベリウスイヤー 盛り上がらず
シベリウス生誕150年のメモリアルイヤー、本場フィンランドから2つのオーケストラが来日したり、ラトル/ベルリンフィルのCD交響曲全集が発売になったりしましたが、モーツァルト生誕250年やショパン生誕200年に比べて、かなり盛り上がりに欠ける1年でした。
3.相次ぐ訃報 プリセツカヤの死
5月、20世紀最高のバレリーナ マイヤ・プリセツカヤさんが亡くなりました。当ブログ記事 バレエの名花 プリセツカヤさん逝く
日本になじみだった ボリショイのスター歌手 オブラスツォワ氏も1月に、ピアニストのチッコリーニ氏も2月に亡くなりました。最近では、指揮者の クルト・マズア氏の訃報が届きました。多くの名演奏家を撮り続けた写真家の 木之下晃氏の逝去も今年でした。
4.楽譜の世界的話題あれこれ
ストラビンスキーの幻の楽譜が100年ぶりに発見されたり、バッハのロ短調ミサの自筆譜が、ユネスコの世界記憶遺産に登録されたりと、楽譜に関する世界的話題が目立ちました。
もう一つ、昨年発見されたモーツァルトのピアノソナタK.331(トルコ行進曲付き)の自筆譜に基づき、従来譜との弾き比べが行われたことは大きなニュースと言えます(その後CDもリリースされました)。200年の時を超えて、有名なソナタK.331は、どんな変貌を見せるのでしょうか。
5.ベルリンフィル次期指揮者にペトレンコ氏
世界最高峰のオーケストラ、ベルリンフィルの次期首席指揮者に、無名のキリル・ペトレンコ氏(43歳 ロシア出身)が選出され、世界の音楽関係者を驚かせました。
また、最近では、日本でも人気の指揮者チョン・ミョンフン氏が、様々な疑惑報道で、ソウル市響(ソウルフィル)の芸術監督の職を退く意向を示しています。今年も指揮者に関する話題は尽きませんでした。
6.新しいピアノの登場
ピアノ300年の歴史上、スタイル・機能ともに画期的なピアノが誕生しました。
ハンガリーのピアニスト ボガーニ氏が考案した 「 Bogànyi 」 (ボガーニ)。 流線形と2本足が斬新です。また、ピアニストで指揮者のバレンボイム氏は、平行弦にこだわったニューモデルを発表しました。 スタインウェイ&サンズ社の600000番モデルも世界の注目を集めました。
7.世界的コンクール補助金カット(国内)
世界三大フルートコンクールの一つ 「神戸国際フルートコンクール」 は、神戸市が補助金カットを決めたことで存続の危機を迎えました。
とても残念なニュースで、心を痛めましたが、東京の 「セレモア文化財団」 が、寄付を表明して、次回(平成29年)開催のメドが付きました。 行政は、財政難を理由に文化予算を削るケースが増えています。文化国家とは程遠い日本の現状が見えてきます。
8.小澤征爾氏、中村紘子氏、怪我や病に倒れる(国内)
名称を変えて新しくスタートした 「セイジ・オザワ松本フェスティバル」 では、直前に小澤征爾氏が骨折して、オペラ公演を降板するという波乱の幕開けになりました。コンサートのプログラムも、変更を余儀なくされる事態となりました。
ピアニストの中村紘子氏も、がん治療に専念するため、演奏活動を休止しました。今年も、病気や怪我が演奏家とファンを苦しめました。中村紘子氏の一日も早い復帰が待たれます。
9.音楽産業に変化(国内)
エイベックスが、著作権管理会社のイーライセンスとJRCを傘下に収め、早速、自社の10万曲に及ぶ管理業務をイーライセンスに移行しました。 これにより、JASRACの独占状態は崩壊しました。著作権ビジネスは競争の時代に入ったようです。
また、NTTドコモは音楽ソフト販売最大手のタワーレコードの筆頭株主になり、事実上傘下に収めました。すでに、ローソンの傘下になっているHMVの事業展開も含め、音楽産業に大きな変化が進んでいます。
10.新垣隆氏の活躍(国内)
2014年2月の記者会見以来、そのキャラクターが受けて、20本を超えるバラエティ番組に出演する一方で、CD、本の発売、コンサート全国ツアー、CMの作曲、出演と、この1年大活躍でした。そして10月には、紀尾井ホールで 「新垣隆展2015」 を開催するなど、クラシック作曲家としても本格的に活動を始めました。
今後の期待も込め、10大ニュースにランクインさせました。応援しています。
今年も、当ブログをお引き立て下さり本当にありがとうございました。 壺中日月長
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