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  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2015年10月31日 (土)

ショパンコンクール 2つの話題について

先の当ブログ 「ショパンコンクール記事」 と重複しますが、今回のショパン国際ピアノコンクールに関連する2つの話題について私見を載せることにしました。


1.何故、仏の審査員アントルモン氏は、優勝したチョ・ソンジンさんに最低点1点を付けたのか? 

■ アントルモン氏の胸中を探る

1位のチョ・ソンジンさんの評価は揺るぎないものですが、フィリップ・アントルモン氏が最低点(1点)を付けています。 この採点については大きな話題になっているようです。

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何故、アントルモン氏が1点を付けたのでしょう?あまりにも不可解ですが、もしかして、2位のアムランさんにどうしても1位になって欲しかったのでしょうか。対抗するアムランさんに8点、チョ・ソンジンさんには1点を付ければ、差は一気に縮まります。

現に、2人の差はそれほど大きくなく、むしろ多くの審査員が同点を付けています。ダン・タイ・ソン氏やユンディ・リ氏を始め 6人の審査員が同じ点を付け、2人の審査員は、チョ・ソンジンさんよりアムランさんに高い点数を付けています。

アントルモン氏が2人に極端な配点をすることによって、1位と2位が入れ替わる可能性はあったわけですが、もしそうだとすれば、一人の審査員によって、作為的に順位を変えることが可能となり、正しい審査とは言えなくなります。

もちろん、アントルモン氏がチョ・ソンジンさんの協奏曲が最低の演奏に聴こえたのなら、仕方ありません。評価は人それぞれ自由です。

ただ、今回のショパンコンクールで唯一フランス人の審査員である アントルモン氏が、伝統あるショパンコンクールの1位を、東洋人に取られたくないという思いが根底にあったとしたら・・・。 ショパンが愛し、その生涯を閉じたパリ。アントルモン氏の胸中は複雑だったかも知れません。


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公表された採点表、一番上の段がチョ・ソンジン(Mr Seong-Jin Cho)さん、1点を付けたのは、PE(フィリップ・アントルモン)氏。 他のほとんどの審査員は9点~10点を付けている。

 

今回は、公表された採点表で、世間で様々な議論が飛び交ったようですが、ショパンコンクールが、審査員の採点を公表していることは、とても素晴らしいことです。近年は、審査過程を公表する国際コンクールも増えて、公開審査のヨハネス・ブラームス国際コンクールや、採点表を公表するブゾーニ国際ピアノコンクールなどは有名です。また日本音楽コンクール(各部門)でも、採点を公表しています。

今後も、オープンでガラス張りのコンクールが増えることを望みます。




2.公式ピアノ4台、ヤマハ対スタインウェイの対決結果は?

■ ヤマハの勝利を確信する

今回のショパン国際ピアノコンクールの、もう一人の勝者はヤマハではないでしょうか。

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入賞した6名のうち、ファイナルでは3名がヤマハを、3名がスタインウェイを弾きましたが、スタインウェイを弾いた 3位ケイト・リュウさんと4位エリック・ルーさんは、3次予選まではヤマハを弾いて勝ち抜いてきました。

そして、2位、5位、6位 の3人は1次予選からファイナルまでヤマハを選択しています。結果的に10名のファイナリストのうち7名はヤマハを弾いて勝ち進んできたわけです。

ケイトさんとエリックさんは、ファイナルでスタインウェイを選びましたが、これは量感を求めたからでしょうか。もちろん、公式ピアノに性能の優劣はありませんが、ソロでは、繊細で磨き抜かれた 「ヤマハ」 を、そしてコンチェルトでは、「スタインウェイ」 の存在感を選択したように思います。

 

実は、優勝したチョ・ソンジンさんも、今回の予備予選ではヤマハを弾いていました。その後、予備予選から第1次予選に進んだ78名のうち、実に36名がヤマハを選んでいます。(スタインウェイ30名、カワイ11名他)

※参考 浜松国際ピアノコンクールで、3台の公式ピアノのうち、ヤマハを選んだチョ・ソンジンさんの映像 https://www.youtube.com/watch?v=ZHulvWpAa9k

 

コンテスタントがしのぎを削る国際コンクールの舞台は、ピアノメーカーにとっても社運をかけた大舞台と言えるでしょう。特にショパンコンクールは、ピアノのF1レースのような存在です。

その意味で、今回の第17回ショパン国際ピアノコンクールで、日本のヤマハが多くの若きピアニストに支持されたことは、意義深いことでした。

かつて国際コンクールの舞台は、スタインウェイの牙城でした。次代の世界的ピアニストが、ヤマハを弾いて芸術の高みを表現し、多くの聴衆に 「夢と感動」 を与える日は遠くないと確信します。


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