「民主主義に目覚めた日」 になるか
戦後70年、2015年9月19日は、主権者である国民が、民主主義に目覚めた日として、後世に残るだろう。
逆説的に言えば、安倍首相のお蔭で、やっと日本人は民主主義や立憲主義の大切さに目覚めたことになる。
そして、選挙権を行使して国政に参画しない限り、国を変えることが出来ないとの思いを、あらたにした日でもある。
民意を無視して可決成立した 「安保法案」。
怒号の中で強行された委員会採決で見た 政治の醜態に、国民は 「このままでは日本はダメになる」 と強く感じたはずである。
ニューヨークタイムズWeb版は、まるでアメフトの試合だと解説
国会の中は与党による賛成多数、国会の外は反対多数、この異常なねじれの中、国民の声は無視された。
良く考えてみると、
かねてより政治への無関心層の拡大は憂慮すべき状態にあり、原発事故後の2012年12月の衆議院選挙が、戦後最低の投票率だったことは、国民の深刻な政治離れを表していた。
今まで、日本人は選挙権を本当の意味で行使してこなかったのである。面倒だからと棄権する人、組織や団体の言われるままに投票する人、知名度だけの有名人に投票する人・・・
その結果が、本日未明の 「安保法案」 の可決、成立を招いた、と言っても過言ではない。
もちろん、民主党に野党勢力を結集するだけの求心力がなかったことも大きな要因と言わねばならない。
しかし今回の安保法案の攻防の中で、ついに日本人の多くが、憲法の平和主義や民主主義の大切さに気付いたのである。
特に、今まで無関心に見えた若い世代の人たちが声を上げたことは、日本の将来に大きな意味を持つ。
選挙権が18歳以上になって初めての選挙が、来年夏の参議院選挙である。その結果がどうなるか、そして、投票率がどうなるか、大いに注目される。
普通に考えれば、今回の安保法案に賛成した自公の勢力は大敗する可能性が高い。 年内には、原告が1万人規模の違憲訴訟も起こされる予定で、与党に逆風が吹くことは間違いないだろう。
ただ問題は、野党勢力が 「バラバラ」 で、有権者の支持を得られていないことにある。 「戦争法案」 とか 「徴兵制復活」 とか、感情に訴えるだけでは、やがて国民は離れていくしかない。要は、政権を奪還するだけの政策と気概があるかである。
どの政党が政権を取っても同じだと、国民は冷めた目で見ている。民主党政権の失敗が、政権交代を遠ざけることになった。 だから、並大抵の政策と気概では、国民の支持は得られない。
実は、今ほど野党の資質が問われる場面はないのではないか。
そして、もうひとつの問題は、安保法案のニュースがメディアから消えていくことにある。攻防が終わったことで、テレビなどの報道は極端に減って、次第に薄らいでいくだろう。
国民は、日々の生活に忙殺されて、安保法案どころではなくなるかも知れない。新しい事件や事故のニュースが 「安保法案」 に覆いかぶさってくることは想像に難くない。
果たして、今の国民の 「怒り」 がいつまで続くだろう。 国会前のデモがいつまで続くだろう。月日と共にトーンダウンしてしまうのではないだろうか。
もちろん、そうは思いたくないが、政府関係者は 「連休があれば国民は強行採決を忘れるだろう。」 とナメてかかっている。
同じことを誰かが言っています。
大衆の受容能力はきわめて狭量であり、理解力は小さい代わりに忘却力は大きい。 アドルフ・ヒトラー「我が闘争」より ※植草一秀「知られざる真実」より引用
大きな歴史の転換点に立っている私たちは、決して今日と言う日を忘れてはならない。2015年9月19日が、「民主主義に目覚めた日」 になるのか、 「民主主義が死んだ日」 になるのか、そのカギは主権者たる国民が握っている。
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