曼珠沙華 manjusaka は天上の花
植物の生命というものは不思議で、どんな天候不順であっても、ちゃんとその季節が来ると、その季節の花が咲くようにできています。
もうすぐ秋の彼岸です。あちこちに野生の彼岸花が目立つようになりました。
彼岸花は、別名 「曼珠沙華」 とも言い、サンスクリット語(manjusaka)で、天上に咲く花と言う意味があります。
その姿は独特で、夏の終わりから秋の初めにかけて、高さ30 - 50cmの 「枝」 も 「葉」 も 「節」 もない花茎が地上に突出し(Wikipedia)とあるように、
まさに花茎が、天に向かって一直線に伸びる姿が特長的ですが、その様子は次の句に良く表れています。
つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華 山口 誓子
澄み切った空の青さ(紺)と、曼珠沙華の赤い花の対比が見事ですね。 つきぬけるように天に向かって咲き誇る曼珠沙華。
そんな誇らしげな曼珠沙華を見て、俳人 山頭火は次の句を詠みました。
悔いるこころの 曼珠沙華 燃ゆる 種田 山頭火(自由律の俳人)
山頭火は、我が身を振り返りますが、酒におぼれた人生は悔いる事ばかりです。 何の迷いもなく、秋空に向かって真っすぐに伸びる 曼珠沙華の燃えるような赤が、山頭火の眼に焼き付いて離れなかったのでしょう。
さて、今まで曼珠沙華(彼岸花)は、赤い花しかないと思っていましたが、いつもお世話になっている 「DADA’sブログ」 さんのサイトに、白い曼珠沙華の写真を見つけました。
何という上品な花でしょう。 まさに 「天上に咲く花」 です。
曼珠沙華が、多くの俳人や歌人に親しまれてきた訳が分かりました。
北原白秋の詩に、山田耕筰が曲を付けた 「曼珠沙華」 と言う歌曲があります。今夜はこの曲を聴いて秋の夜長を楽しみたいと思います・・・
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