長崎平和祈念式典 谷口稜曄氏の訴え
戦後70年、被爆者の平均年齢が80歳を超え、広島、長崎の悲劇は次第に風化しつつある。
先ごろ、NHKが行った世論調査では、広島、長崎の原爆投下日を答えられない人が全国で7割を超えたという。 (20歳以上の男女約1000人を対象にした調査)
そのような中、広島に続いて行われた長崎平和祈念式典で、被爆者代表の 谷口稜曄 (たにぐち すみてる ) 氏 (86歳)は、「平和への誓い」 の中で次のように訴えた。
「今 集団的自衛権の行使容認を押し付け 憲法改正を推し進め 戦時中の時代に逆戻りしようとしています。 政府が進めようとしている戦争につながる安保法案は 被爆者を始め平和を願う多くの人々が積み上げてきた核兵器廃絶の運動 思いを根底から覆(くつがえ)そうとするもので許すことはできません。」 (文章と画像はNHKTV画面より)
谷口氏の焼けただれた背中の写真を見ると、このメッセージの重みが伝わるだろう。
また、田上富久長崎市長は 「平和宣言」 の中で、
「現在 国会では国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。70年前に心に刻んだ誓いが 日本国憲法の平和の理念が 今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には この不安と懸念の声に耳を傾け 英知を結集し慎重で真摯な審議を行うことを求めます。」 (文章と画像はNHKTV画面より)
と述べ、70年前に心に刻んだ「平和の理念」が、安保法案をめぐって揺らいでいるとし、政府に慎重で真摯な審議を行うよう求めた。
お二人の言葉を聞きながら、昨年の城臺美彌子( じょうだい みやこ) 氏のメッセージを思い出した。
昨年の記事→ 被爆者代表 城臺さんの訴えに感動した
多くの国民の声に、耳を傾けるかどうかは注視するしかないが、戦後70年談話と共に安保法案の行方に、世界も注目している。
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