加害者の視点も忘れてはならない
韓国を訪問中の鳩山元首相は、植民地時代の西大門刑務所跡地を訪れて、モニュメントの前でひざまずき、手を合わせました。 (各社報道)
沖縄戦や特攻隊の悲劇、 太平洋の島々での玉砕、本土も空襲で焦土と化し、さらに広島・長崎への原爆投下、そしてシベリア抑留。
今、日本は戦後70年の終戦記念日を前に、慰霊と鎮魂の祈りに包まれています。
日本は唯一の被爆国であり、先の大戦で310万人もの人命が失われました。その意味で日本は被害国であり、国民は被害者と言わねばなりません。 祖国のために命を捧げた御霊を追悼するのは当然です。
言うまでもありませんが、戦争ほど愚かなものはなく、戦勝国であっても、ロシアで2000万人、中国で1300万人が犠牲になっています。 ユダヤ人は600万人が殺されました。
どの国も大きな犠牲を払っていますが、その一方で相手国に対し大きな損害を与え、人民を殺傷してきました。 それが戦争なのでしょう。
被害者意識ばかりでは、正しく歴史を見ることが出来ません。
日本が資源を求め、中国や朝鮮を始めアジア地域を侵略したことは歴然たる事実です。
被害を受けたと同時に、被害を与えてきたのです。そのことは正当化できません。
今回、鳩山元首相が韓国で反省と謝罪の意思を表明したことは、加害者の視点に立った立派な行動です。
ここで言う 加害者の視点とは、被害を与えたことへの痛切な反省と謝罪の念を持つことです。
例によって自虐的だと批判する意見もあるかも知れませんが、史実は曲げられません。もちろん、国益を損ねることはなく、むしろ世界から称賛されるでしょう。
自国の犠牲者の霊を慰めると同時に、過去の間違いを認め、心からの反省と謝罪の念を持つことは人間として当然です。今回の鳩山元首相の行動を高く評価するものです。
さて、2013年4月、安倍首相は硫黄島で英霊にひざまずきました。滑走路の下に眠る日本兵の御霊に頭をさげて慰霊したのです。
この行為もとても立派なものです。現職の総理大臣が英霊の眠る滑走路に土下座したのです。歴代総理ではもちろん初めてのことでした。
安倍首相は明日、戦後70年の談話を発表しますが、侵略、反省、お詫びのキーワードは盛り込まれるのでしょうか。
被害者の視点と、加害者の視点の両方を持った正しい歴史認識に立った談話が発表されることに期待します。
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