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  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2015年8月 9日 (日)

「 焼き場に立つ少年 」 は何処へ (本の紹介No.016)

長崎原爆投下の本日、先日買った本をあらためて読み返してみました。

「焼き場に立つ少年」 は何処へ   ジョー・オダネル撮影 「焼き場に立つ少年」 調査報告 吉岡栄二郎 長崎新聞社刊 (950円+税)

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米従軍カメラマン ジョー・オダネル氏が、原爆投下の翌9月に撮影した1枚の写真について、著者がその少年を探し求めて、2007年より5年間にわたり調査した報告です。

そこに写された少年の持つやさしい慈愛の心が見る人の心に感動を与えている。 と書かれていますが、その時の生々しい光景が次のように記されています。

 


長崎ではまだ次から次へと、死体を運ぶ荷車が焼き場に向かっていた。(中略)焼き場に10歳くらいの少年がやってきた。小さな体はやせ細り、ぼろぼろの服を着てはだしだった。

少年の背中には2歳にもならない幼い男の子がくくりつけられていた。その子はまるで眠っているようで、見たところ体のどこにも火傷の跡は見当たらない。

少年は焼き場のふちまで進むとそこで立ち止まる。湧き上がる熱風にも動じない。係員は背中の幼児を下ろし、足元の燃えさかる火の上に乗せた。

まもなく、脂の焼ける音がジュウと私の耳にも届く。炎は勢いよく燃え上がり、立ちつくす少年の顔を赤く染めた。

少年は気を付けの姿勢で、じっと前を見つづけた。一度も焼かれる弟に目を落とすことはない。軍人も顔負けの見事な直立不動の姿勢で彼は弟を見送ったのだ。

私はカメラのファインダーを通して、涙も出ないほどの悲しみに打ちひしがれた顔を見守った。彼は急に回れ右をすると、背筋をぴんと張り、まっすぐ前を見て歩み去った。一度もうしろを振り向かないまま。

 

あの少年はどこへ行き、どうして生きて行くのだろうか?

 

撮影した オダネル氏も、少年を探そうと4度の来日を果たしていますが、著者の懸命の調査にもかかわらず、未だ少年は見つかっていません。

一枚の写真が、70年前の戦争の悲劇を今に伝えています。

 

■ 平成19年、この写真を見られた 皇后美智子さまは、「今年8月の新聞に,原爆投下後の広島・長崎を撮影した米国の元従軍カメラマンの死亡記事と並び,作品の一つ「焼き場に立つ少年」と題し,死んだ弟を背負い,しっかりと直立姿勢をとって立つ幼い少年の写真が掲載されており,その姿が今も目に残っています。同じ地球上で今なお戦乱の続く地域の平和の回復を願うと共に,世界各地に生活する邦人の安全を祈らずにはいられません。」 と述べられました。 宮内庁サイト

 

■ ローマ法王が 「焼き場に立つ少年」 の写真配布を指示

2018年元旦に入った報道によると、フランシスコ・ローマ法王は、「焼き場に立つ少年」の写真をカードに印刷し、「戦争が生み出したもの」 との言葉を付けて広めるよう指示しました。 (ローマ法王庁(バチカン)が1日までに発表)

バチカンは写真について、亡くなった弟を背負った少年が、火葬場で順番を待っているところだと説明し、「かみしめて血のにじんだ唇により、悲しみが表現されている」 と指摘しました

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画像 CNN.co.jpより

法王はこれまでも核兵器廃絶を呼び掛けており、改めて平和を訴えました。

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