日本の高齢者は金持ちか貧乏か
特殊詐欺事件の2014年の被害額は、過去最悪の559億円。
初めて、500億円を突破して 2015年も急増中! (出典 まちなか情報キャット )
毎日310人が騙され、毎日1億5300万円が犯人の手元に渡っている。
そして、被害者の78%は65歳以上の高齢者である。
中でも、オレオレ詐欺の被害者は、5559人中 5118人 (92,1%) が高齢者である。
一人当たりの平均被害額は、738万円。 大金である。
この数字だけ見ていると、高齢者は金持ちが多く、だからこそ狙われている。
では本当に高齢者は金持ちなのか?
総務省統計局の最新資料(2015・5・19公表)によると、2013年度の家計調査による 「2人以上世帯の平均貯蓄額」 は、1739万円。
驚くことに、平均貯蓄額が 60歳~69歳では、2484万円。 70歳以上で2452万円となっている。
(出典 総務省サイト http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.htm )
サンプル調査とはいえ、上のグラフを見ると、高齢者に貯蓄が集中している。負債もほとんど無い。
この資料を見る限り、高齢者は確かに金持ちである。
しかし、内閣府の平成26年度版高齢社会白書 「高齢期に向けた『備え』に関する意識調査」 によると、 (内閣府サイト http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/gaiyou/s1_3_1.html )
60歳~64歳で 貯蓄が 「十分だと思う」 と答えた人は、3,6%。 「かなり足りないと思う」 と答えた人は、35,5% 。
高齢化に突入したばかりの世代は、老後の備え(貯蓄)が十分とは思っていない。
実際、老後の生活が破綻して、生活保護を受けている 「65歳以上の高齢世帯」 は、78万6634世帯にも上る(2015年3月時点)。
これらの数字をどう見れば良いのだろうか?
高齢者には、金持ちもいるが、貧困者もいる、ということになる。 備えが足りないので、今後は貧困者が増える可能性もある。
「一億総中流」 と言われたのは、戦後のごく限られた一時期だけで、戦前はもちろん、明治、大正、江戸時代も、その前も、格差社会が存在した。
その時代に戻っただけかも知れないが、経済的な格差=教育の格差に、教育の格差=仕事の格差に、仕事の格差=収入の格差に、収入の格差=子どもへの投資 (高度な教育) につながっているので、格差は解消されるどころか、次の世代に継承されてしまう。
新刊書 「下流老人」 一億総老後崩壊の衝撃 (2015・6・12朝日新書) 藤田孝典著によると、収入が著しく少なく、充分な貯蓄がなく、頼れる人間もいない 「下流老人」 が増えているという。 下流老人 アマゾンサイト
病気や事故による高額な医療費の支払い、高齢者介護施設に入所できない、子どもは、ワーキングプアや引きこもり、増加する熟年離婚。
有り余る資産で、人生の晩年を謳歌する老人がいる一方で、その日の暮らしもまゝならない老人もいる。 格差は広がるばかりである。
人生90年時代が到来しようとしているが、問題を積み残したまま、寿命だけが延びる社会が 「豊かな社会」 と言えるだろうか。
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