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    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

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壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2015年6月27日 (土)

ほのぼの一家の憲法改正ってなあに? 本の紹介(No.014)

ご存知、自民党憲法改正推進本部制作の 「憲法改正の広報マンガ」 ですが、是非お読み下さい。 (平成27年4月発行)

ここ から、全ページ( 68ページ ) が読めます。

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率直に感想を言うと、なかなか良く描けています。普通に面白いマンガでした。

要は、GHQ 連合国軍総司令部 (General Headquarters) が、たった8日間で草案を作った 「押しつけの憲法」 を、もっと今の時代に合ったものに作り変えようという内容です。


■ 平和憲法のくだりでは、

戦争を放棄すれば、戦争がないと思っとるのか?」 と、おじいちゃんが詰問する場面で、

え? 違うの 」 と、驚く家族。

「じゃあ、もし明日どっかの国が攻めてきたらどうするんじゃ?」 と、おじいちゃんは続けます

え? え? じゃあどうなんの? 一方的にやられるってこと!?」 と、顔面蒼白になって震える嫁の姿。


■ ここで言いたいことは、

今のままでは、日本どっかの国が攻めて来たら大変なので、憲法を変えて 「戦争が出来る国」 にしておこう。 と言うことでしょうか。

おじいちゃんは、さらに・・・

「敗戦した日本に、GHQが与えた憲法のままでは、いつまで経っても日本は敗戦国なんじゃ。」 とつぶやきます。

アメリカに 「押し付けられた憲法」 だと強調されています。

押し付けられたものが悪いなら、ペリー来航以来、洋服もコーヒーも、洋楽も野球も、すべて欧米から押し付けられたものでした。

日本中の米軍基地も、原発も、兵器も、旅客機も、医療も、保険も、米国債も、そして郊外型スーパーも、その多くは押し付けられたものです

日米地位協定も、建設中の辺野古基地も、TPPも押し付けられたもといえるでしょう。

本当に、日本にとって不利益なものは何でしょう? よく考えてみる必要があります。



■ このマンガでは、(マンガの表紙にはほとんど登場していない) 92歳のおじいちゃんが、家族全員の考え方を巧みにリードしているのが特長です。少し無理があるように思いますが・・・


しかし、読まれた感想は人それぞれでしょう。 考え方は自由です。


■ ただ、現憲法の草案が、GHQ(アメリカ人)によって8日間で作られたという説明は事実と違うようです。

戦後の研究によると、当時、法学者であった 鈴木 安蔵(やすぞう)が、憲法研究会でまとめた 「憲法草案要綱」 が、GHQに大きな影響を与えたことが判明しています。

そして、Wikipediaによると、その研究会の中心人物だった鈴木は、日本国憲法の間接的起草者といわれていると書かれています。( Wikipedia 鈴木安蔵

その辺りのことは、映画「日本の空」に詳しく描かれています。(ご参考に)

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日本国憲法誕生の真相 映画「日本の空」ダイジェスト版 


色々と憲法の草案について調べていくと、ユダヤ人ピアニスト レオ・シロタ氏の娘で、GHQに所属していた ベアテ・シロタ・ゴートン(当時22歳)の存在も気になります。日本育ちの彼女は、社会保障と女性の権利の分野で、憲法草案に大きな役割を果たしましたが
、その理念は今日も色褪せていません。 ( Wikipedia ベアテ・シロタ・ゴードン

まだまだ調べてみる必要がありますが、調べれば調べるほど、このマンガには都合よく解釈されている箇所が多く、問題が多いように思います。


押しつけの憲法でも、平和な 「いい国」

自民党の広報マンガが強調する 「押しつけの憲法」 で、日本は戦後70年平和を守ってきました。

仮に 「押しつけの憲法」 であったとしても、国民が平和であれば問題ありません。このマンガが危惧する「環境」や「災害」も現行法で対応してきました。 世界一 「治安」 の良い国も堅持してきました。 言論の自由も守られています。

マンガでは、最後のシーンで、昇る朝日を見て、「朝日が昇るぞ」 「日本っていい国よね」 と、言うセリフが印象的でしたが、その通り、日本は平和な 「いい国」 です。 実は、このマンガも認めているのです。

無理をして、憲法を変える必要があるのでしょうか。


本は紹介しましたが、その中身を鵜呑みにすることは危険だと思いました。

ただ、このマンガを読んで、憲法に関心を持つ人が増えたなら、このマンガが果たした役割は大きかったと思います。

今、一番大切なことは、自国の憲法に関心を持ち、議論を深めることです。そして、多様な意見に耳を傾け、文献を読み解き、将来あるかも知れない 「国民投票」 に向けて、自分なりの意見を持つことではないでしょうか。

そのような考えに至らしめた 「このマンガ」 の制作者に御礼申し上げます。

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