韓国の台頭/国際コンクールから得るもの
言うまでもなく、音楽の世界にはオリンピックもノーベル賞もありません。
音楽で、国威高揚を図る手段は、国際コンクールで上位入賞するしかありません。
その意識が異様に高いのが韓国です。 近年、国を挙げて取り組んでいる印象があります。
そこで、今年開催される主な国際コンクールの予選状況などを見てみると、
3大国際音楽コンクールの一つ 2015 エリザベート王妃国際音楽コンクール( ヴァイオリン部門 )では、ファイナル出場者12人の内訳は、日本1名(毛利文香)、ドイツ2名、アメリカ2名、ウクライナ1名、オランダ1名、中国1名、台湾1名に対し、韓国は3名で最多でした。
※ 5月30日の最終審査の結果、優勝したのは、韓国のイム・ジヨンさんでした。毛利文香さんは6位入賞。
韓国は、昨年の米国インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールでは、1位、3位、4位5位、6位を独占しています。特にヴァイオリンの層は厚いようです。
公式サイト 2014インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール 受賞者リスト
また、2015 チャイコフスキー国際コンクールの事前審査の結果は、日本、中国、韓国の3か国だけを見ても、全部門合わせると、日本12名、中国11名に対し、韓国は36名と突出しています。特に、声楽部門は、13名と大量です。 (日本は声楽部門はゼロ)
2015 ショパン国際ピアノコンクールでは、同じく3か国で見ると、中国15名、次いで日本12名、韓国9名と健闘しています。 (人口比だけで見れば、韓国は中国の28分の1、日本の2,6分の1です)
韓国の物凄い意気込みが分かります。 このまま行けば、遠からず3大コンクールを韓国が制覇する日が来るのではないでしょうか。
また、2015 リーズ国際ピアノコンクールは、DVD審査を通過した79名の内、韓国18名、中国12名、日本8名、開催国イギリスが8名となっていて、ここでも韓国の進出ぶりが際立っています。
2015 ジュネーブ国際音楽コンクール作曲部門のファイナリストも、4名のうち2名は韓国です。 (他日本1名、ポルトガル1名)
今年開催の、ロン・ティボー国際コンクールや浜松国際ピアノコンクールなどでも、韓国の台頭が予想されます。
国際コンクール当たり年の本年、韓国の勢いが衰える様子はありません。
※ 国際コンクールは増え続けています。世界国際コンクール協会 (又は国際音楽コンクール世界連盟 WFIMC ) が公式サイトに掲載しているだけで115件。 このほど、日本の高松国際ピアノコンクールが、日本で10番目の国際コンクールとして加盟しました。
領土問題、歴史認識で対立する日本と中韓ですが、音楽の国際コンクールの場では、韓国が一歩リードしているようです。 そして、中国にも潜在力がありそうです。
しかし、このことは日本にとって良い刺激になっています。 音楽界のさらなる奮起を期待します。
ただ、音楽の世界は、「競争」 ではなく、「響奏」 です。 聴き手と響きあって奏でることが全てです。 綺麗ごとに聞こえますが、勝ち負けではありません。 音楽は、国境を越えると思います。
ですから、たとえ外交で対立しても、音楽文化の世界では、日中韓の3か国が、共に刺激し合い、共に励まし合い、共に成長できる関係を築けないでしょうか。
近い将来、3か国が良きパートナーとしての信頼関係を再構築する日が来ることを願ってやみません。
■ 当ブログ関連記事→ 第18回リーズ国際セミファイナル/中国、ロシア、韓国の台頭
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