立夏に季語を考える
5月6日は、「立夏 」 でした。 ここ数日、日中の最高気温が25度Cを超えて、夏日を記録する日がありましたから、 「 立夏 」 と言っても違和感はありません。
習っている 「 書 」 の調和体では、早くも 「 朝顔 」 の文字が出て来ました。 すっかり夏モードに入ったようです。
「 瞬 間とは かうもたふとい(こうも尊い)ものであろうか 一りんの朝顔よ 」
山村暮鳥(やまむらぼちょう) 「朝顔」 より
考えさせられる一節ですが、この中に出て来る 「 朝顔 」 は、俳句の世界では 「 秋 」 の花に分類されるとのこと、知りませんでした。
なるほど、暦の上では立秋は8月8日ですから、晩夏に咲くことの多い 「 朝顔 」 は秋の季語になるそうです。 それから 「スイカ 」 も、秋の季語だそうです。
しかし、朝顔やスイカは夏休みの風物詩です。 秋の季語では、やはり違和感があると言うことから、現代俳句協会では、新刊 「 現代俳句歳時記 」 で、これまでの旧暦に従う季語から、新暦に基づく季語に区分を変更しました。 ここでは、「朝顔 」 は夏の季語に変更しています。
その原点は、8月6日広島原爆投下、9日長崎原爆投下、15日終戦記念日にあると言います。この三日は、共に夏の暑い日であった、との共通の思いがあります。
もし、旧暦に従えば、広島は「夏」で、長崎と終戦は「秋」と言うことになります。季節を分けることは確かに変です。
俳句の季語は、そのように一部変化していますが、俳壇からの異論も多く、結論に至っていません。ですから、「 朝顔 」 についても、一般的には、まだ 「秋」 の意見が多いようですが、意見は分かれています。
季語について学ぶことは、日本の気候風土、歴史、生活習慣などを知ることになります。「 朝顔 」 の二文字から、今日も知らない世界を探求できたことに感謝いたします。
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