シベリウスイヤーに平和を想う
今年は、北欧フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス(1865年生まれ)の、生誕150周年のシベリウスイヤーに当たります。最近良く耳にする○○イヤーの中でも、シベリウスは人気の大作曲家と言えるでしょう。シベリウスが91歳で亡くなったのは、1957年(昭和32年)ですから、ロマン派で最も長命の作曲家と言っても良いと思います。
シベリウスのファンが多い日本ですが、当時それほど人気のなかったシベリウスを積極的に日本に紹介したのは、指揮者の渡邉暁雄(わたなべあけお)氏でした。フィンランド人を母に持つ渡邉氏は、自身が創設した日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して、世界初のステレオ録音による「シベリウス交響曲全集」を出すなど、シベリウス音楽の普及に尽力されました。そして、1984年日本シベリウス協会を創設、初代会長となり1990年まで在任しました。
渡邉暁雄氏 新田ユリ氏
このほど、現日本シベリウス協会会長で指揮者の新田ユリ氏が、日本記者クラブで語ったところによると、日本人とシベリウスの音楽には親和性が認められ、特に自然との距離感が日本人の感性に合うと分析しています。シベリウスが愛してやまなかった森と湖のフィンランドと、海と山に囲まれた自然豊かな日本には、人々の感性に共通点があるのでしょうか。
さて、シベリウスの代表作は、「フィンランディア」と「交響曲第2番」、さらに、シベリウス自身が、その第1楽章の冒頭を「極寒の澄み切った北の空を悠然と滑空する鷲のように」と指示した「ヴァイオリン協奏曲」。どの曲も素晴らしいのですが、特に「フィンランディア」の中間部をシベリウスが合唱用に編曲した「フィンランディア賛歌」は、圧政に屈することなく愛国心に燃えたフィンランド国民の勝利の賛歌として世界中で歌い継がれています。日本語の歌詞の一部を次に紹介します。
「~七つの海越えひびけ はるかの国の人へ ふるさとの野に歌える 私の希望こそ 世界のすみまで同じ 平和へのうたごえ~」
戦後70年の日本では、中韓との関係が改善されないまま、イスラム国という新たな脅威にさらされる事になりました。ウクライナや中東の火種が絶えることはありません。今ほど「平和への思い」を強く感じるときはありません。「フィンランディア賛歌」のように、七つの海を越え世界が「平和のうたごえ」で包まれることを切に希求して、シベリウスイヤーの一年を過ごしたいものです。
1902年3月8日、ヘルシンキに於いて、シベリウスの代表作「交響曲第2番」が、シベリウス自身の指揮により初演されました。
本ブログは、113年前に想いをはせて書きました。最後までお読みいただきありがとうございました。
日本シベリウス協会
シベリウス 樅の木 youtube フィンランドの画家、アルバート・エーデルフェルトやエーロ・ヤルネフェルトの名画と共にご覧下さい。
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