優しさの欠落 杉山平一の詩に学ぶ
繰り返される いじめによる自殺。 学校ばかりではない。 海自の痛ましいニュースが連日報じられている。
また、児童や幼児への虐待事件が後を絶たない。 わが子を虐待する親。 深い闇を見る思いがする。
弱い者を攻撃する今日の社会。
ここに一遍の詩がある。 杉山平一(すぎやま へいいち)97歳の作品である。
わからない 杉山平一「希望」(2011)より
お父さんは
お母さんに怒鳴りました
こんなことわからんのか
お母さんはお兄さんを叱りました
どうしてわからないの
お兄さんは妹につっかかりました
お前はバカだなあ
妹は犬の頭をなでて
よしよしといいました
犬の名前はジョンといいます
立場の弱い人間に向かう やり場のない感情。 しかし、この妹は予想に反して、見事に兄の攻撃をかわして見せた。
「お前はバカだなあ」と言われ、もちろん素直に受け入れたわけではなく、ただ、その言葉に引っかからなかっただけである。
そこには兄に対する絶対の信頼があった。 妹の直観的な家族愛と、人に対する思いやりが、弱いものを攻撃する負の連鎖を断ち切ったのである。
ジョンが捧げる無償の愛。 妹の他者への思いやり。
この詩は、そんなことを私たちに教えてくれる。 私たちは地球という惑星の家族だということを忘れているのではないだろうか。
桃色の三等切符は疲れた心を運ぶ 関連ブログ
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